週末ゲーム

第615回

剣と魔法だけじゃない!“罠”を駆使して敵を撃退するSRPG「罠の騎士 銀閃の姫」

丁寧な難易度調整や、キャラクターたちの“絆会話”も魅力

 『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームの中から、編集部がピックアップした作品を毎週紹介していく。今回は、剣と魔法だけではなく、“罠”を駆使して敵を倒していくシステムが特徴的なシミュレーションRPG「罠の騎士 銀閃の姫」を紹介しよう。

 本作は10時間ほどの中編作品。ゲーム開始時に難易度の選択をすることができ、またゲームバランス自体の調整も丁寧になされているため、SRPG初心者にもオススメしたいゲームとなっている。

 なお、本作は有償の同人ゲームとして頒布されており、ダウンロード版およびパッケージ版が購入可能。作者サイトでは体験版も公開されている。

“罠”を駆使して戦う、王道ながら一味違うSRPG

 「罠の騎士 銀閃の姫」は、マス目で構成されたマップを攻略していく形式のシミュレーションRPGだ。舞台となるのは、お祭好きな王様が治めており賑わいのある王国“グランフェスタ”。

 主人公である青年“グリッツ”は、ある日、顔なじみの道具屋の娘が、貴族風の謎の集団に絡まれているところを見かける。そこに突然現れた弓使いの少女“リア”は娘を助けに入るが、それを見過ごせなかったグリッツは、リアとともに謎の集団に立ち向かうこととなる。無事彼らを撃退したグリッツとリアは意気投合し、下町で起こる厄介ごとの解決という仕事を行うことになるが……?

道具屋の娘に絡む謎の集団に立ち向かう少女リア
戦いを経て、グリッツとリアは意気投合することに。ここから、物語は始まる

 本作のゲームシステムは、基本的にSRPGとして王道なものとなっているが、その中でも特徴的な要素は、主人公であるグリッツが使用できる“罠”だ。たとえば、設置したマスの上を敵が通過した時に発動する“トラバサミ”。これは序盤から使える罠だが、罠にかかった場合に敵の行動を強制終了させ、さらに5ターン移動不能にするという強力なものだ。他にも、上を通った相手にダメージを与える“トゲトゲ”や、矢の発射装置を設置し、直線上にいる相手に向けて矢を発射する“アイアンアロー”など、さまざまな罠が使用できる。

罠はまず設置し、そして設置したマスの上を敵に通過させることで発動するものが多い。序盤から使えるトラバサミは非常に使いやすいため、積極的に使っていこう
アイアンアローは、設置した場所から矢を発射する罠。マップには複数の罠を置くことができるので、罠をたくさん仕込んだ場所に敵をおびき寄せるのも有効だ

 グリッツの使用できる罠は、仲間との“絆会話”で新たに取得できる。絆会話も、本作における特徴的なシステムだ。これは戦闘開始前の準備画面にて、特定の仲間同士の会話を見ることができるというもの。絆会話を行ったキャラクター同士はお互いに親睦が深まり、戦闘中に隣接した場合にお互いの能力が上昇するようになる。強敵相手に有効な支援効果なので、ぜひ活用していきたいところだ。

 もちろん、絆会話の内容自体も見ていて楽しめるものとなっている。ストーリー上ではあまり会話の機会がないキャラ同士の掛け合いも見られるため、キャラクターたちの人柄や魅力を、より深く知ることができるようになっているのだ。

登場するキャラクター同士は、絆会話で関係を深めることができる。グリッツが絆会話を行なう場合には、さらに新しい罠を取得できることも
キャラクター同士の絆が深まるごとに、戦闘中に隣接した時の能力アップ効果が上昇する

 本作は個性豊かな登場人物が多く、マップ毎の出撃可能人数も比較的多いため、『このキャラを出したいけど、出撃人数がオーバーする』といったことは起こりにくいようになっている。また、仲間キャラクターの個性や能力も極力被らないものとなっており、ゲームを進めていくうちに出番が少なくなってしまうようなキャラが出にくいのも嬉しいところだ。

限られた装備品をやりくりして戦う、練られたゲームバランス

 次に注目したい要素は、キャラクターの持つ装備品だ。本作では、装備品ごとに使用回数が存在する。使用回数は攻撃するごとに減っていき、回数がなくなると使用不能となってしまう。その一方で、各キャラクターごとに持っている初期装備などは、マップクリアごとに使用回数が全回復する。

 しかし、使用回数が回復するといっても、使用回数の上限自体はそこまで多くはない。そのため一人の仲間に頼り過ぎていると、戦闘中に装備品の使用回数を使い切ってしまう。バランス良く仲間たち全員を活躍させることが重要なのだ。

 本編を進めていくうちに、初期装備以外のアイテムを入手することもできるが、強力ではあるものの使用回数が回復しない装備品が多く、入手機会も限られている。戦闘では基本的に初期装備を活用し、ここぞというときに特殊な装備品を使用する、という戦い方が必要になってくる。装備品の使用回数制限という特徴自体はオーソドックスな内容ではあるものの、このような点から、ゲームバランスとしては練られているものとなっているのだ。

キャラクター毎の初期装備は使用回数がマップクリアごとに回復するので、安心して使うことができる
特定の相手に対して大ダメージを与える特殊な装備品も存在するため、場面に応じて使い分けることも重要だ

 ゲーム本編の難易度調整も丁寧になされており、SRPG初心者にもオススメできる作品となっている。ゲーム序盤から中盤にかけては易しめの攻略難易度で、少しずつ操作や戦術を覚えながら先に進むことができる。そして段々と難易度が上がっていき、後半になってくると歯ごたえのあるマップも存在するようになる。さらに、ゲーム開始時に“ノーマル”と“ハード”の2つから難易度を選択できるため、初心者だけでなく上級者にも楽しめる作品となっているのが特徴だ。

グリッツとリアの二人を待ち受けるものは……

 本作は、“罠”を中心とした特徴的な戦闘システムに加え、物語上でのキャラクターの関係性にも注目だ。先述した絆会話でのキャラ同士のやり取りも多数あり、ゲームを進めるごとに、登場人物たちに愛着が湧いていくことだろう。ここからは、そんなキャラクターたちの織り成す物語の一部を紹介したい。

 物語の始まり、貴族風の集団を追い払ったグリッツは、仕事仲間である戦士“ラント”と守りに特化したシールドナイト“ガインツ”のコンビ、そしておっとりとした雰囲気の魔法使い“エレアノ”をリアに紹介していく。そこに、グリッツとリアが追い払った謎の集団がまたしても現れ……。

戦士のラントと、シールドナイトのガインツのコンビ
不思議な雰囲気を持つ魔法使いのお姉さんエレアノ

 グランフェスタで起こるさまざまな事件に巻き込まれていく中で、背中に翼を持つ種族の少女“カザハ”や、孤児院で暮らす“ショウ”と“ニニィ”も仲間に加わり、だんだんと大所帯になっていく。そして、王国に潜む“魔女”の存在を知った時、グリッツとリアの二人から始まった物語は、大きな陰謀に関わるものとなっていく……。ヒロインとの出会いをきっかけに大きな事件に巻き込まれるといった流れは、これぞ王道という感触があり、楽しく読み進めることができる。

街で起こるさまざまな事件を解決していくうちに、グリッツとリアの周りには多くの仲間が集まってくる
グリッツたちの前に立ちはだかる数々の敵。そして、グランフェスタ王国で暗躍する魔女の存在とは……?

 罠を活用するという一風変わった要素や、魅力的なキャラクターたちの掛け合いを楽しめる本作。ゲームバランスも良好、SRPG入門作としてもオススメしたい一作なので、ぜひ遊んでみてほしい。

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ソフトウェア情報

「罠の騎士 銀閃の姫」
【著作権者】
ですのや☆
【対応OS】
Windows Vista/7/8
【ソフト種別】
ダウンロード販売 1,620円(税込み)など(体験版あり)
【バージョン】
1.21(15/04/03)

(もぐらゲームス:poroLogue)