本当にWindows 10って使えるの?
実は老眼向けのWindows 10!?仮想デスクトップとDPI設定で情報量を失わず文字を大きく
(2016/4/28 05:05)
Windows 10への無料アップグレードが、今年7月29日で終了する予定だ。また、Windows 7の延長サポート期間も残り4年を切っており(*1)、“その後”をどうするか、そろそろ考えたいところ。
そこで本連載では『Windows 10にすべきか悩む……』という人向けに、“Windows 10って使えるのか?”を紹介している。
*1Windows 7の延長サポート期間は2020年1月14日まで
仮想デスクトップとDPI設定で見やすく使いやすいデスクトップ環境を構築
Windowsが世に登場して約30年。長年PCの世界を見てきた本誌読者も年を重ね、体に不自由を覚えてくる頃だろう。かく言う筆者も最近は近視に加えて老眼が始まり、ディスプレイを見るのが辛くなってきた。そこで改めて感じるのが仮想デスクトップの便利さである。
仮想デスクトップ自体は目新しい機能ではなく、他のOSでは以前から、Windows XP時代も「Virtual Desktop Manager」というツールで仮想デスクトップ環境を享受できた。Microsoftが本腰を入れて機能を実装し、仮想デスクトップの切り替えやアプリケーションの移動もスムーズに行える。
Windows 10 バージョン1511(Threshold 2)までは、“ひとまず実装した”レベルながらも、Windows 10 Insider Preview ビルド14316では、特定のウィンドウをすべての仮想デスクトップにピン留めする機能が加わった。たとえば作業中のフォルダーを開いたエクスプローラーをピン留めすれば、一方の仮想デスクトップでは文章作成、もう一方の仮想デスクトップではフォトレタッチといった作業が容易になる。きっとWindows 10 Anniversary Update(Redstone)では、さらに使い勝手が向上するはずだ。
さて、冒頭の話に戻るが視力が衰えると、テキストエディターのフォントサイズを大きくするだけでは追いつかず、DPI設定を変更するようになる。必然的にディスプレイへ表示する情報量が減るため、マルチディスプレイ環境が欠かせなくなってしまう。だが、外出先の作業時にディスプレイを持参することはできないため、仮想デスクトップの活用につながるのだ。
視力の衰えという意味では、高DPI(High-DPI)も重要なポイントだ。過去を振り返ると、Windows Vistaから高DPIに取り組み、Windows 8.1からWindows XP時代の旧DPI設定を排除。Windows 10ではDPI設定を容易に切り替えられる仕組みを組み込んだ。その意味では、高DPIはWindows 8.1のトピックとなる。
上図は“Build 2013”のセッションでMicrosoftが説明した、高DPI環境におけるアプリケーションの動作だ。高DPIに対応しないアプリケーションを“DPI Unaware”、システムDPIに対応するアプリケーションを“System DPI Aware”、そしてWindows 8.1からサポートしたディスプレイごとのDPIに対応するアプリケーションを“Per Monitor DPI Aware”と説明している。
『Windows 10にしたらアプリケーションの文字がぼやける』という現象は、古い開発環境で作られたDPI UnawareもしくはSystem DPI Awareにあたるわけだ。4Kディスプレイが10万円を切る現状を踏まえると、“Windows Forms”ではなく“Windows Presentation Foundation(WPF)”を使用するなど、アプリケーション開発者の対応が求められるだろう。
残念ながらWindows 10の標準機能でも高DPIに完全対応しているとは言えない。たとえば「mmc.exe(Microsoft管理コンソール)」を使用するデバイスマネージャーなどを、高DPI環境で使用すると文字やアイコンがぼやけてしまう。Microsoftは最終的にUWP(ユニバーサルWindowsプラットフォーム)への移行を目指しているため、将来的に廃止するであろう「mmc.exe」など一部のアプリケーションは放置しているのだろう。
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