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「Firefox 67」が正式公開～暗号通貨採掘・フィンガープリンティング防止機能を搭載

NVIDIA製GPU搭載の一部Windows環境では“Quantum”改革の目玉「WebRender」が有効化

樽井秀人

2019年5月22日 13:37

「Firefox」v67.0

　Mozillaは5月21日（米国時間）、デスクトップ向け「Firefox」の最新版「Firefox 67」を正式公開した。本バージョンは、「Firefox Quantum」を冠した11番目のメジャーリリース。インストール済みアドオンが利用不能になる問題の影響で、予定より1週間遅れての公開となった。

パフォーマンスの向上

　「Firefox 67」で導入された新機能と改善は多岐にわたるが、なかでも注目したいのがパフォーマンス関連の機能強化だ。

　まず、Webページを読み込む際に使用頻度の低い機能を後回しにする仕組みが導入された。代替スタイルシートをページロードの完了後に読み込んだり、フォームがないWebページでは自動入力モジュールを読み込まないといった工夫を凝らすことで、ページを読み込んでから表示されるまでの時間の短縮を図っている。“Instagram”や“Amazon”、“Google 検索”といったWebサイトでは、メインスクリプトを優先して読み込むことで40％～80％も早く実行できるようになっているという。

　次に、アイドル状態のタブを一時停止する機能が実装された。「Firefox」がメインメモリをある程度消費すると（既定では400MBが閾値）、しばらく閲覧されてなかったり、まだ利用していないタブが積極的に中断される。メモリ消費の増加とパフォーマンスの低下を避けることが可能で、ついタブを開きすぎてしまうユーザーにとってはありがたい。休止中のタブは、クリックしてアクティブにすれば自動でリロードされる。

　また、カスタマイズ後のスタートアップが高速化された。これはテーマやアドオンを反映させる際のプロセスを見直し、不要な作業をスキップすることで実現されている。

　そのほかにも、NVIDIA製GPUを搭載する一部のWindows環境で、「WebRender（Quantum Render）」がデフォルトで有効化された。Mozillaが研究用のレンダリングエンジン「Servo」でテストしていた改善をベースにレンダリングアーキテクチャーを一新し、マルチコアCPUとGPUをフル活用したものに置き換えることで、描画の滑らかさを飛躍的に向上させる。今後は対応環境の拡充と、さらなるパフォーマンスの改善が図られるという。

新しいプライバシー保護機能

　「Firefox 67」では、これまでプレリリースチャンネルでテストされていた暗号通貨の採掘とフィンガープリンティングの防止機能が導入された。Webページの動作に悪影響を及ぼす可能性もあるため、初期状態で無効化されているが、オプション画面の［プライバシーとセキュリティ］セクション（about:preferences#privacy）から有効化できる。

プレリリースチャンネルでテストされていた暗号通貨の採掘とフィンガープリンティングの防止機能を導入

　また、プライベートブラウジング機能における拡張機能の管理方法が一部変更された。プライベートブラウジングモードの「Firefox」から機密情報を盗み取ろうとする不正な拡張機能からユーザーを守るため、プライベートブラウジングで利用する拡張機能にはユーザーによる明示的な許可が必要となった。その一方で、パスワード管理機能がプライベートブラウジングモードでも利用できるようになった。利便性を損なわずに「Firefox」のプライベートブラウジングを活用できるようになる。

プライベートブラウジングで利用する拡張機能にはユーザーによる明示的な許可が必要に

そのほかの改善

　そのほかにも、“Firefox アカウント”のツールバーボタンが新設。サインイン状況が簡単に把握できるようになったほか、同期したタブへのアクセス、アカウントや他の端末の管理といった作業が容易になった。組み込みのパスワードマネージャーも改善され、保存済みのログイン情報へすばやくアクセスできるようになっている。

“Firefox アカウント”のツールバーボタンが新設

組み込みのパスワードマネージャーも改善

　また、ロイヤリティフリーのビデオフォーマットとして期待されている「AV1」のデコーダーがより高性能な「dav1d」に差し替えられた。すべての機能をキーボードで操作できるようにするなど、アクセシビリティ関連の強化も図られている。

　なお、本バージョンにはセキュリティ関係の修正も含まれているので注意。Mozillaが公開したセキュリティ情報によると、今回修正された脆弱性はCVE番号ベースで21件。深刻度の内訳は、Mozillaの基準で4段階中上から最高の“Critical”が2件、上から2番目の“High”が11件、上から3番目の“Moderate”が6件、最低の“Low”が2件となっている。

　デスクトップ向け「Firefox」はWindows/Mac/Linuxなどに対応する寄付歓迎のフリーソフトで、現在MozillaのWebサイトからダウンロード可能。Windows版はWindows 7/8/10に対応しており、窓の杜ライブラリからもダウンロードできる。