週末ゲーム
第611回
魔法連携でコンボを決める!パズルのような戦略性を楽しむSRPG「Looking for 2」
装備品によって180度変わる能力値や、謎が謎を呼ぶ物語も魅力
(2015/9/18 11:00)
『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームの中から、編集部がピックアップした作品を毎週紹介していく。今回は、“魔法連携”などの特徴的なシステムが魅力であり、パズルのような戦略性を楽しめるシミュレーションRPG「Looking for 2」を紹介しよう。
なお、本作は前作にあたる作品「Looking for」の続編という位置付けとなっているが、前作をプレイしていなくとも問題なく楽しむことができる。プレイ時間は20時間ほどで、攻略の難易度も高めで挑戦しがいのある作品だ。
“魔法連携”が特徴となる、パズルのようなシミュレーションRPG
「Looking for 2」は、多くの星が点在している宇宙“コスモ”を舞台としたシミュレーションRPG。本作の主人公であり、“宇宙政府軍”の大尉である“トノン”は、かつて世界を脅かす事件を解決に導いた英雄として名高い軍人だ。特殊部隊である“スパルタンフォース”にてトノンが活躍していたある日、“フォノメ星”にて、反政府組織“レジスタンス”による暴動が発生。そこでトノンは、レジスタンス鎮圧のための部隊を率い惑星に降り立つ。そこに大きな陰謀が渦巻いているとは知らずに……。
本作の戦闘は、マス目で構成されたマップでユニットを動かし、敵の軍団を倒していく形式となる。戦況に応じて、豊富なシステムをパズルのように組み合わせ『いかに相手の弱点をつくか』『いかに敵軍を無力化するか』を考えることを楽しめる作品となっている。
本作ではゲーム開始時、物語の主人公であるトノンのほかにプレイヤーオリジナルのユニットを作成することができ、職業であるクラスも自由に決められる。仲間となるユニットにはバランスよくクラスが存在するので、好みで決めよう。
このゲームの特徴的なシステムとしては、本編の序盤でも習うことになる“魔法連携”が挙げられる。これは戦闘中、特定の順序で相手へ魔法を撃つことにより、プレイヤーにとって有利な状況を作り出すことができるコンボのようなシステムだ。
たとえば、水属性の魔法である“ウォクア”を使用すると、相手に“水化”のステータスを付与することができる。そこで氷属性の魔法である“フリズン”を使うと、その水を凍らせることによって相手を“凍結”させて、行動を封じることが可能。ひとつの魔法単体ではただダメージを与えるだけだが、それらを組み合わせることで通常以上の効果を発揮することができる。効果的な魔法連携を発動するためにはユニットを動かす順番を上手く考えなければいけないが、考えた分だけの強力な効果を生み出すことのできるシステムだ。
特徴のまったく異なるユニットを組み合わせ、敵を切り崩す
本作では、戦闘に出撃するユニットのクラスごとに、使用できる技や装備などが大きく分かれている。剣を用い、攻撃と回避を得意とする“フェンサー”、高い移動力を活かし、背後からの強力な一撃を放つ“アサシン”、高い防御力で仲間の盾となる“パラディン”、そして魔法攻撃を得意とする“マージ”。マージはさらに複数のクラスに分かれており、クラスによって得意とする魔法属性が異なる。複数のマージを上手く使うことで、魔法連携を発動させることができるのだ。他にも多彩なクラスが存在するので、状況に合わせて上手く運用しよう。
ユニットのスキルはそれぞれ特徴あるもので、使用するプレイヤーの戦術眼が問われるものとなっている。その中には、1ターンの間だけ回避率を大きく上昇させる“ドッヂステップ”、同じく1ターンだけ移動力を大幅に増やす“スプリント”など、ターン制限のあるスキルがとくに目立つのが特徴だ。
そのため、まずは敵軍との戦力差などを考慮しつつも『このターンで一気に攻める!』と決めたここぞの場面でスキルを発動して攻め込むといった、静と動のメリハリをつけた進軍も必要になってくる。スキルを使用するためのMPは豊富にあるわけではないので、使いどころが肝心だ。
ユニットにはそれぞれの物理攻撃・魔法攻撃の弱点があり、単騎で突出した場合は強いユニットでもすぐに倒されてしまう。そのため敵のユニット編成に対して有利となるユニットを組み合わせ、敵軍を少しずつ切り崩していくことになる。こういった攻略の楽しみはまさにシミュレーションRPGの醍醐味だ。
また、ユニットの装備品については能力値の上昇はもちろんのこと、攻撃への耐性が大きく変わるのも特徴だ。とくに、装備した防具の種類によって物理・魔法攻撃の耐性が大幅に変化するので、防御力の数値以上に、防具の属性耐性が非常に重要なものとなっている。装備品によっては固有のスキルを使えるようになることもある。
こういった装備品での能力変化は、スキルと組み合わせることでさらに効果的となる。たとえば、フェンサーのユニットに回避率を高める装飾品“ドッジピアス”と反撃力を高める“カウンターピアス”を装備させ、加えて回避率上昇の特技であるドッヂステップを戦闘中に発動。さらに回避率を高めて前線に突出させ、攻撃を次々と回避しつつ反撃を狙う……という作戦も有効だ。
なお、主人公であるトノンのクラス“ジェネラル”は、例外的にどんな相手にも上手く対応できるため、窮地に陥ったときに頼れる万能なユニットとなっている。戦闘中に倒された仲間に関しても、ユニットロストなどのペナルティはなく、次回以降の戦いからまた使用できる。そのため、難易度には歯ごたえがありつつも、戦略的な攻略が苦手な人でも何度か挑戦していくうちにクリアできるようになっていくだろう。
本作には他にもさまざまなシステムが存在するが、ここではその中から“魔法陣”と“援護攻撃”について紹介しよう。
戦場となるマップにはさまざまな色の魔法陣が存在する。これらはターンの開始時、上に乗ったユニットのHPやMPを回復する効果がある。本作では回復アイテムの所持数が限られているため、こういった魔法陣の効果を活用することが必要になってくる。万全な状態のメンバーで前線を支えつつ、消耗したメンバーを魔法陣に待機させて回復させる……といったローテーションを組むことも重要だ。
援護攻撃については、攻撃を仕掛けるユニットの隣に味方がいる場合、その味方のパラメーターのひとつである“援護力”に応じた確率で、相手に追加攻撃を与えるというもの。ゲーム後半になるにつれて敵軍は強くなり、1対1の戦いでは不利となる場面も多くなってくるので、仲間とのコンビネーションで撃破していくことが重要になってくる。
本作は、戦闘中の魔法連携や援護攻撃に加え、クラス、スキル、装備品……など、さまざまな要素が存在する。個々の要素においても試行錯誤の面白さがあるが、加えて装備品+スキルの組み合わせなど、要素ごとの組み合わせが上手くハマると、強力な相乗効果を発揮する。このように、ゲーム内の要素をパズルのように組み合わせて攻略していくシステムが魅力的だ。
そういったシステム面の充実の一方で、本作の軸となる物語も読ませてくれるものとなっている。
戦略性だけでなく、読みごたえのある物語も魅力
レジスタンス鎮圧のためにフォノメ星に降り立ったトノンは、氷と雷の魔法を操るシルバーマージである“ラムージャ”中尉の部隊と合流し、襲撃してきたレジスタンスの部隊と交戦する。しかしその戦闘後、宇宙政府軍の本拠地へ帰還するための転送装置が何者かによって破壊されてしまう。その状況に言い知れぬ不安を覚えるトノンだが、ひとまずは目の前の目的を達成すべく、レジスタンスの標的となっている権力者“リドステス”に会うこととなる。
しかし、護衛すべきリドステスは、傲慢な態度でトノンたちに接してくる。任務として守るべき対象ではあるが、彼がレジスタンスに狙われるのも理由があるのではないか……そんなことを思う中で、トノンはレジスタンスの将軍“ブロトン”らと出会い交戦することになる。そこで出会う、人間が巨人に改造されたかのような、異形の兵士。人間とも怪物ともつかない、この存在は一体何なのか?戦いが長引く中、何が正義で、何が悪なのか……。二転三転する状況に翻弄されるトノンは悩みつつも、生き残るために戦い抜くことになる。
魔法連携や装備品の組み合わせを代表とした特色あるシステムと、謎が謎を呼ぶ物語。本作は、それら2つの要素を楽しめる作品としてまとまっている。とくに、ゲームバランスの調整に関してはとても丁寧になされている印象を受けた。シミュレーションRPGが好きな方はぜひプレイしてみてほしい一作だ。
ソフトウェア情報
- 「Looking for 2」
- 【著作権者】
- RRR 氏
- 【対応OS】
- (編集部にてWindows 7で動作確認)
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 1.1(15/03/14)