やじうまの杜

“AI”のせいで「PostgreSQL 19」の公開が11月にずれ込み?

LLMで見つかるバグが急増してコミッターの手が回らず、大型機能の見送りも

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Robert Haas氏のブログ記事「Postgres 19 is late, and it's AI's fault」

 「PostgreSQL 19」の公開が例年よりかなり遅れていますが、これには大規模言語モデル(LLM)、AIの急激な発展が影響しているようです。コミッター(ソースコードへの変更を反映する権限をもつ開発者)のひとりであるRobert Haas氏が明らかにしています。

 代表的なオープンソースのリレーショナルデータベース(RDB)システムの一つである「PostgreSQL」は、ここ10年ほど、9月中旬から10月中旬の間にメジャーリリースを実施するのが通例でした。実際、昨年の「PostgreSQL 18」は9月25日に公開されています。

 しかし今年は、すでに11月に入ったにもかかわらず「PostgreSQL 19」がリリースされていません。この背景には、LLMを用いて見つかる問題が急増し、修正が追い付いていない現状があるのだそうです。

 「PostgreSQL」は毎年4月8日に機能凍結(フィーチャーフリーズ、メジャーリリースに導入する新機能の受け付けを停止)し、その後はベータ版を重ねながら正式リリースまで不具合の修正に集中するというスケジュールになっています。ところが、今年はベータ期間の終盤になって大型機能が相次いで差し戻されました。

  • UPDATE/DELETE FOR PORTION OF
  • SQL Property Graph Queries(SQL/PGQ)
  • ALTER TABLE … MERGE PARTITION/SPLIT PARTITION

 機能凍結の直後ならばいざ知らず、8月や9月になって目玉ともいえる複数の機能が取り下げられるのは異例です。また、4月8日から9月25日までの期間を前年と比較すると、リリース準備中の安定ブランチへのコミットは約61%、1つ前のバージョンへのコミットも約75%増えたとのこと。

 機能凍結してからの取り下げや不具合の修正が増えていることに関し、同氏はコミッターのミスが増えたわけではなく、LLMのおかげでミスが素早く見つかるようになったためだとみています。

 不具合の報告が増えれば、修正をレビューしてコミットする人間の負担も増します。また、LLMが書く修正案がつねに正しく、「PostgreSQL」の基準に沿っているとは限らないため、直すのに時間がかかるのも問題です。本来であれば新機能のレビューに充てるはずだった時間が、過去のバージョンのセキュリティ問題やバグへの対処に割かれているのも懸念材料といえるでしょう。「PostgreSQL」の進歩にブレーキがかかるかもしれません。

 もっとも、Haas氏は今回の延期自体を大きな問題とは考えておらず、品質を重視した結果だと受け止めています。懸念しているのは、増え続けるバグへの対応と新機能の開発を、長期的にどう両立するかという点です。

 LLMの発展には、いい面も難しい面もあるわけですが、人間が40年かけても見つけられなかったバグをLLMが次々と掘り起こすなか、どうやって追い付き、どうやって新しい機能を生み出していくのかが今後の課題になりそうです。

 なお、「PostgreSQL 19」は11月12日にリリース候補版「RC 2」を経て、11月19日に正式公開される予定です。