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昨年のランサムウェア被害は前年比3.4倍、過去最大に~トレンドマイクロ調査

オンライン銀行詐欺ツールの国内検出台数も過去最大

 トレンドマイクロ(株)は10日、2016年1月から11月までに日本国内で観測された脅威情報や統計データをもとに分析した“2016年国内サイバー犯罪動向”を発表した。昨年はランサムウェアの感染被害が急増し、“日本における「サイバー脅迫」元年”といえる年になったという。

 ランサムウェアとは、感染したPCの操作をロックしたり、ファイルを勝手に暗号化して復旧の代わりに金銭を要求する不正プログラム。2016年1月から11月にかけての国内被害報告件数は2,690件に上り、前期(2015年1月から12月)比で約3.4倍にまで増加しているという。これは同社が集計を開始して以来最大の数値だ。検出台数ベースでは62,400台となり、前期比で約9.3倍となっている。

ランサムウェア被害報告件数推移(同社リリースより引用。以下同)

 国内で活動するランサムウェアの多くは英語だが、2016年10月以降は日本語のものも断続的に確認されているとのことで、今後の被害増加が懸念される。

 また、オンライン銀行詐欺ツールの国内検出台数が過去最大の98,000台に達したのも大きなトピック。こちらはランサムウェアとは異なり日本語のものが主流で、ターゲットも都市銀行や地方銀行、信用金庫と幅広く、日本の利用者を意図的に狙った攻撃であることが読み取れるという。

オンライン銀行詐欺ツール検出台数

 オンライン銀行詐欺ツールは感染するとオンラインバンクのログイン情報だけでなく、クレジットカードの利用者情報を詐取するケースもある。また、遠隔操作機能を持つものが多く、SNSのアカウント情報も詐取される恐れがある。そのため、オンラインバンクを利用していないユーザーも注意が必要だ。

 一方で、標的型サイバー攻撃と思われる国内の公表被害例は減少した。しかし、標的型サイバー攻撃の疑いのある不審な通信は、常に月10万件以上確認されている。また、攻撃されていることを把握できていない組織も以前少なくないと思われ、引き続き注意が必要となっている。

 なお、“2016年国内サイバー犯罪動向”のより詳細な分析やその他のトピックについては、1月初旬より同社の公式ブログにて解説されるとのこと。

編集部注:記事掲載後にトレンドマイクロ社より、ランサムウェアの検出台数について訂正がありましたので、記事の該当箇所を修正いたしました。

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