レビュー

シンプルながら十分な機能を備えるバイナリエディター「FavBinEdit」

4GBを超えるバイナリファイルもサクサク編集可能

「FavBinEdit」v1.0.2

 「FavBinEdit」は、4GBを超えるような大きなファイルもすばやく開き、閲覧および編集が可能なバイナリエディター。数多くの文字コードを用いた表示や検索、複数のバイナリファイルに対して検索を行うgrep機能も備えている。Windows 2000/XP/Vista/7/8に対応するフリーソフトで、作者のWebサイトからダウンロード可能。

 通常のコンピューターはバイトの集合体であるバイナリデータで処理を行っている。本来であればプログラムが任意の形式で処理するため、意識する必要はない。だが、何らかの理由で破損したバイナリファイルからデータの一部を取り出す場合などにはバイナリエディターが必要となる。

 決して使用頻度は高くないが、コンピューター中上級者であれば、手元に置いているユーザーも少なくないだろう。テキストエディターほどではないものの以前から多くのバイナリエディターがリリースされてきたが、既にメンテナンスが途絶えたものも少なくない。そこでバイナリエディターを必要とするユーザーに試してほしいのが「FavBinEdit」だ。

 最大の特徴は4GBを超えるファイルに対応している点。古いバイナリエディターではいくら使い勝手が良くても、大きなファイルを開く際に時間を要するものが多い。だが「FavBinEdit」は4GBを超えるファイルもすばやく開き、快適な編集が可能となる。

 また、多くの文字コードをサポートしているのも特徴の1つ。標準的なJISやEUCに対応するのはもちろん、Unicodeは各種文字符号化スキームにも対応。文字列を検索キーとして値を検索する際や、特定文字列を探し出す時に役立つはずだ。

表示文字コードの変更は[設定]メニューの[文字エンコード]から選択可能

 検索面ではgrepも注目すべき機能だ。本来grepはUnix系OS発祥のテキスト検索コマンドだが、本ソフトにおいては10/16進数や文字列を検索キーワードとして、指定フォルダ内のバイナリファイルに対して検索を実行する。

 筆者はレジストリエントリの動作検証方法の1つとして、バイナリ形式のシステムファイルにエントリ名が含まれているか検索を行っている。以前は同じくUnix系OS発祥のstringsコマンドでバイナリファイルをテキスト化し、そのファイルに対してgrepコマンドを使っていた。

 だが、本ソフトを使うことで特定のファイルに対して直接grep検索できるため、よりスムーズな処理が行えそうだ。前述のように10/16進数での検索も行えるため、特定の値を格納したバイナリファイルの検索も容易に行える。

 なお、検索時はビット長やビッグ・リトルエンディアンを切り替えることが可能。この機能は、バイナリファイル編集時の検索ダイアログにも用意されている。

バイナリファイルに対してgrep検索を行う機能
16進数による検索を行う時は[エンディアン反転]ボタン、10進数の場合はビット長を変更するプルダウンリストが用意されている
キーカスタマイズ画面

 ○○エディターと名乗る以上、重要なのはキーアサインだが、「FavBinEdit」は作者がVisual C++使いなのか、デフォルトでは同開発環境相当のキーアサインを採用。これらは自由にカスタマイズできるので、普段お使いの環境と異なる場合は最初にキーアサインのカスタマイズをお勧めする。

 ただし執筆時点のバージョンでカスタマイズできるキー割り当ては、[Ctrl]キーや[Shift]キーと組み合わせたフルキー、および[Home]キーやファンクションキーなどによる1ストロークに限定。そのためEmacs系のような2ストローク以上のキー操作に慣れている場合、これを実現することは難しい。キーアサインはエディターの重要箇所であるため、今後のバージョンアップに期待したい。

 1.0.2というバージョン番号からもわかるように、「FavBinEdit」はファーストリリースから日の浅いアプリケーションである。前述の通り気になる点もあるが、バイナリファイルの編集というメインの機能に関しては、疑う余地のない優れものだ。日常的にバイナリファイルを使っているユーザーは、新たな選択肢として本ツールを一度試してほしい。

ソフトウェア情報

「FavBinEdit」
【著作権者】
わびさび 氏
【対応OS】
Windows 2000/XP/Vista/7/8(編集部にてWindows 8.1で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.0.2(14/01/16)

(Cactus:阿久津 良和)