レビュー

命を削って呪文書を生成、“自給自足”で戦う短編RPG「ローズマリーダスト」

魔法と召喚獣を駆使するバトル中心の作品。ダメージを受けると溜まるTPの活用が鍵

「ローズマリーダスト」

 「ローズマリーダスト」は、魔法と召喚獣を駆使して戦っていく短編RPG。フリーゲームとして公開されており、“ふりーむ!”のWebサイトからダウンロードできる。

 主人公の魔導師ローズマリーが、奪われた魔導書を追ってほぼ一本道のダンジョンを進んでいく。ダンジョンは道を塞ぐように敵が配置されており、一度倒した敵は復活しない。HPを全回復できる場所などもなく、限られたリソースを有効活用して戦い抜くタイプのRPGだ。

 ローズマリーの主な攻撃手段は通常攻撃と、消費アイテムの呪文書を使って発動させる魔法。呪文書はダンジョンに配置されている宝箱からも入手できるが、戦闘中に溜まる“TP”を消費してランダムに生成できるのが特徴だ。ゲームを進めることでより多くのTPを消費し、より強力な魔法を生成できるようになっていく。また、TPを消費することで召喚獣を召喚し、戦闘に参加させることが可能。召喚獣も個別にTPを溜めてさまざまな特技を使うことができる。

 TPは通常攻撃で1点溜まるほか、ダメージを受けると受けたダメージと同量だけ溜まる。被ダメージ量が多くなっていく中盤以降は後者が主なTP入手源で、そこで得たTPを目の前の敵を倒すことと、呪文書生成のどちらに振るかが戦略となる。

 敵の攻撃によるダメージは固定値で、召喚獣を召喚するタイミングや敵のターゲティングを制御する魔法などにより、TPがどう溜まるかはある程度予測と制御が可能。戦闘中に溜めたTPは次の戦闘に持ち越せないため、消費したHPに見合うだけの成果を得られるよう、効率よく戦っていくのがポイントだ。

 さらに呪文書や、敵を倒すと入手できるHP回復アイテムは分解して“マナ”に還元し、別の呪文書や装備品を生成することが可能。HPを糧にTPを稼ぎ、TPを呪文書に、呪文書を別の呪文書に……と、自らのHPを基幹リソースとした自給自足のやり繰りが醍醐味の作品となっている。本作は体力の最大値で買い物ができるノンフィールドRPG「ロードライト・フェイス」の作者による作品だが、回復アイテムを使わずマナに還元することも含め、“命を削ることで戦力を得る”要素は本作でも際立っており、緊張感のあるプレイを楽しむことができるだろう。

 もちろん、戦闘中に生成した魔法はその戦闘で使うことも可能。魔法の効果も特徴的なものが多く、ボス戦などではたまたま生成できた魔法が起死回生の一手となるようなシチュエーションが発生することも。ほどほどのランダム性がさまざまな魔法を使いこなす楽しさに繋がっている。1時間から1時間半ほどのプレイ時間のほとんどは戦闘が占めており、魔法生成から行使、加えて召喚獣の使役と、魔導師らしい戦いを存分に堪能できる作品だ。

3体いる召喚獣のうち2体の召喚時には、敵へダメージを与える効果も発生する。この際のダメージはTPに依存
呪文書や回復アイテムを分解したり、任意の呪文書や装備品を生成するには“プリマ・マテリア”というアイテムを使用してメニュー画面を開く。プリマ・マテリアは希少品かつ使い捨てだ

ソフトウェア情報

「ローズマリーダスト」
【著作権者】
ud 氏
【対応OS】
Windows(64bit版のWindows 8で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.00(15/06/06)

(中村 友次郎)