いまさら聞けないExcelの使い方講座
【Excel】消費税の計算1円以下の金額はどう処理する?エクセルで端数処理する際のテク
2017年10月18日 06:55
Excel(エクセル)は、仕事や普段の生活で使う機会の多い、最も身近なアプリケーションのひとつです。しかし、「イマイチよくわからないまま使っている」「実は少し苦手……」という人も多いのではないでしょうか? この連載では、いまさら人に聞けないけど、知っていれば必ず役に立つ、Excelを使いこなすためのノウハウを紹介します。
数値を丸めるときに使用する関数(ROUND、ROUNDUP、ROUNDDOWN)
請求書や見積書を作成する際、消費税の計算は避けて通れないですよね。支給されたテンプレートを使っているけれど、消費税などの端数が出る金額の計算は少し苦手……という人も多いのではないでしょうか。
Excelには、数値を丸めるときに使用できる関数が数種類あります。今回は、これらの関数(ROUND、ROUNDUP、ROUNDDOWN)について解説します。まずはROUND関数の概要を説明したあと、消費税を計算する方法を解説します。最後に、これらの関数を応用した便利な使い方も紹介します。
ROUND関数とは
ROUND関数は、数値を四捨五入したい時に使用する関数で、指定した桁数で数値を四捨五入します。「=ROUND(数値,桁数)」という書式で記述します。例えば、326.354を四捨五入して小数第一位までの値を求めるときには、「=ROUND(326.354,1)」と記述し、計算結果は「326.4」となります。引数の「桁数」の指定方法については、あとで説明しますね。
数値を丸める時に使う関数には、ROUND関数のほかにROUNDUP関数とROUNDDOWN関数という仲間がいます。ROUNDUP関数は、指定した桁数で数値を切り上げ、ROUNDDOWN関数は指定した桁数で切り捨てます。関数の名前が異なるだけで、書式は同じです。
次の表に、それぞれの関数の特徴をまとめてみます。
これらの関数を使うときは、引数の「桁数」の指定がポイントになります。例として、ROUND関数の場合を見てみましょう。
例えば、ROUND関数の桁数に「-1」を指定すると、数値の一の位が四捨五入されます。つまり、「=ROUND(326.354,-1)」と記述すると、一の位の「6」が四捨五入されるので、計算結果は「330」となります。
同様に、ROUNDUP関数の場合は一の位を切り上げ、ROUNDDOWN関数の場合は一の位を切り捨てます。
基本的な使い方を理解できたでしょうか。次項では実際に消費税の計算をしてみましょう。
基本テク:消費税を計算する
例として、請求書に記載された小計の消費税を計算してみましょう。既に明細の金額の小計が算出されており、セルE9(①)に入力されているものとします。
前項で、数値を丸める関数として3つの関数について触れましたが、ここでは数値を切り捨てるROUNDDOWN関数を使います。ROUNDDOWN関数の書式は「=ROUNDDOWN(数値,桁数)」でしたね。
消費税率は8%なので、消費税は「小計×8%」で計算できますね。整数の値になるように数値を丸めたいので、桁数には「0」を指定します。実際に、セルE10に「=ROUNDDOWN(E9*8%,0)」(②)と入力します。
小数点以下の数値が切り捨てられ、消費税が計算されました(③)。
セルE11に「=E9+E10」と入力し(④)、合計(⑤)を算出すれば請求書は完成です。
応用テク:割引価格を計算する
ROUND関数は、消費税の計算以外にも応用できます。次の例として、割引セールのために割引価格(10%割引)を求める場面を考えてみましょう。
まずは、定価の10%割引の金額を計算してみましょう。10%割引の価格を求めるので、定価に90%を掛ければよいですね。セルC3に「=B3*90%」(①)と入力します。
10%割引の金額が計算されました(②)。
C列の他のセルにも同じように数式を入力します。セルC3をクリックした状態でマウススポインターをセルの右下に合わせると、マウスポインターの形が変わります(③)。そのままセルC8までドラッグ(④)します。
C列のすべてのセルの値が計算されました(⑤)。
10%割引の価格は正しく計算できましたが、金額が1円単位の細かい表示になってしまいました。例えば、3行目の「スニーカー用ソックス 3足組」の金額は「927円」となっていますね。
「セールをするからには、一の位も切り捨ててしまおう」と会議で決まったとしましょう。慌てなくても大丈夫です。ROUNDDOWN関数で簡単に対応できます。一の位を切り捨てる場合は、ROUNDDOWN関数の桁数に「-1」を指定すればよいのです。セルD3に「=ROUNDDOWN(C3,-1)」(⑥)のように記述します。
一の位が切り捨てられて、「920円」(⑦)となりました。この方が価格もわかりやすく、価格設定としては適しているかもしれませんね。
D列の他のセルも同じように計算してみます。セルD3をクリックした状態でマウススポインターをセルの右下に合わせると、マウスポインターの形が変わります(⑧)。そのままセルD8までドラッグ(⑨)します。
D列のすべてのセルの値が計算されました(⑩)。
桁数に負の値を指定するというのは、一見思いつきにくいですが、実際の割引価格としてより適した金額を求めることができました。
消費税以外にも使い方はさまざま!
今回は、ROUND関数(主にROUNDDOWN関数)を使って、消費税や割引価格を計算する方法を解説しました。
ROUND関数は、小数点などの端数処理に使えるだけではなく、金額を10円単位、100円単位などで丸める時にも使えます。ぜひ使いこなしてみてください。