#モリトーク

第118話

Firefoxの10年と今後

 「Firefox」が先週、初の正式版であるv1.0の公開から10周年を迎えた。それを記念する最新版も公開されており、定期のメジャーバージョンアップではないものの、いくつかの新機能が特別に追加されている。そこで今回は、「Firefox」がこの10年間で成し遂げた功績を振り返りつつ、今後の方針や課題についてもまとめてみたい。

初の正式版だった「Firefox」v1.0
10周年を記念した「Firefox」v33.1

 「Firefox」の功績として真っ先に思い浮かぶのは、MozillaのCEOもブログで綴っているように、「Internet Explorer」の市場独占を崩したことだろう。そして、そのきっかけを作った「Firefox」の特徴が拡張機能だ。

 登場直後の「Firefox」は、カスタマイズを好むコアなオンラインソフトユーザーの間で広まり、Webブラウザーそのものと同様に、拡張機能が個別に大きく注目された。拡張機能の存在をまず最初に知り、カスタマイズすることを前提に「Firefox」を使い始めた人も多かったのではないだろうか。

 もちろん、「Firefox」は標準搭載の機能でもユーザーを魅了してきた。たとえば、10年前から搭載されている“ライブブックマーク”機能はほかのWebブラウザーにはなく、そのシームレスな使い勝手が今でも斬新に映る。

 一方、「Google Chrome」にその地位を完全に奪われてしまった現在の「Firefox」には課題も多い。とくに、マルチプロセスではないことや、64bit版が用意されていないことは時代遅れだろう。ただし、その2点は“Nightly”チャンネルで試験的に導入されており、同CEOは重要なプロジェクトのひとつとして挙げているので、その先のことも含めて期待しよう。

(中井 浩晶)