ニコニコ自作ゲームPick Up

東京ゲームショウ特別編(後編)

“インディーズゲームコーナー”レポート

世界各国から出展、マルチプラットフォームでの展開が目立つ

 9月19日から22日の4日間、千葉県の幕張メッセにて開催された“東京ゲームショウ2013”では、今年初の試みとして“インディーズゲームコーナー”が開設された。今回は前後編にわたり、このインディーズゲームコーナーをレポート。後編では、世界各国からクリエイターが集まり、みずから自作ゲームを紹介していたブース展示を紹介していこう。

 30以上の展示ブースは半数以上が日本からの参加だが、さまざまな国からもゲームクリエイターが参加。香港や中国といったアジア圏やヨーロッパ、遠いところでは南アメリカのベネズエラからの出展者も見られた。

ブースでの説明に力を入れていた、中国は台北から参加のQuibit Games。自機をブロック遊び感覚で自作できるシューティングゲーム「SPACE QUBE」を展示していた

 いずれもゲームのクオリティは高く、またマルチプラットフォームで積極的にリリースを行うケースが目立った。iOSやAndroidといったモバイル系OSへの対応に加え、Steam(Windows/Mac/Linux対応)やPlayStation Mobileといったプラットフォームでのリリースが多いようだ。

海外でダウンロードの多い3Dロボットシューティング「HERA 破滅の女神」

ジャイロセンサーを採用し、スマートフォンを傾けながらプレイする「HERA 破滅の女神」

 タイトル個別で見ると、長時間遊ぶプレイヤーが多かったのが3Dロボットシューティングの「HERA 破滅の女神」。スマートフォンのジャイロ機能(傾きセンサー)を使って遊ぶのが特徴だ。通常攻撃は自動発射となっており、スマートフォンを左右に傾けて自機を移動させ、敵を倒していく。

自機移動が直感的にでき、通常攻撃が自動で行われるため、シューティングゲームが苦手なプレイヤーでも遊びやすくなっている

 アーケードゲームを思わせる美麗なグラフィックと、没入感を味わえる3Dステージが印象的なゲームだ。制作は茨城県のWeb制作会社・スタジオインデックス。『自社開発コンテンツの必要性を感じ、3年ほど前からゲーム制作に乗り出した』(代表取締役の川瀬氏)とのこと。わずか数年のキャリアしかないとは思えないほどの作り込み具合で、海外でのダウンロードも多いという。今後のリリースにも期待大だ。

中国からの刺客!? レトロな面白さ「C-WARS」

近未来のストリートをイメージしたフィールドで敵と戦う「C-WARS」。自機はスタート時に左端へ配置され、右側から襲ってくる敵を倒していく

 中国は北京から来場していたのが、Onipunks Studio。クラウドファンディングサイト・Kickstarterの資金調達にて、予定額の3倍が集まったと話題のRTS「C-WARS」を引っ提げての展示となった。

 「C-WARS」は横長の画面を縦4、横7程度のグリッドに区切ったフィールドが舞台。敵味方ともユニットは将棋のように攻撃できるグリッドが決まっている(前方1グリッドのみ、横2グリッド貫通など)。プレイヤーは自由に移動し攻撃を仕掛けてくる敵に対して、攻撃タイミングを見極めて隣接し攻撃しなければならない。味方を呼ぶといった攻撃補助、キャノン砲を呼び出すといった爽快な攻撃も用意されている。

プレイアブルデモは、ほぼ完成を思わせる仕上がり。現在はAndroid対応のアルファ版がリリースされている

 RTSが苦手な筆者でも、初見で初期ステージをクリアできる程度の難易度で、操作も簡単だ。しかし何よりこのゲームの魅力は、レトロフューチャーな2Dグラフィックにある。ファミコン世代にはグッとくるはずだ。

 「C-WARS」は現在開発中で、iOSとAndroidでのリリースは今年の12月を予定。2014年にはSteam(Windows/Mac/Linux)と、遅れてPlayStation Mobileなどでも配信予定だという。

ダンスマットで操作! リズム系ダンジョン冒険ゲーム「Crypt of the NecroDancer」

テンポの良い音楽でノリノリになりながら、夢中でプレイする人が多かった「Crypt of the NecroDancer」

 とくに子供に人気が高かったのが、カナダのクリエイター集団が制作した「Crypt of the NecroDancer」。RPGのようなダンジョン冒険ゲームなのだが、ユニークなのは何といっても移動方法。ゲーム画面下に表示される心臓の鼓動に合わせて、タイミングよく方向キーを押しながら進むのだ。音楽のタイミングと合わなければ、移動できず元の位置に戻ってしまう。敵への攻撃もタイミングを合わせて行わなければ失敗してしまう。とにかくリズム感が重要なゲームなのだ。

ダンジョンでの冒険は音ゲー風に進んでいく。BGMはノリの良い音楽が豊富に用意されているが、お気に入りのMP3を再生しながらのプレイも可能

 遊べば遊ぶほど攻撃も移動もうまくいくようになり、ノリノリで進めば進むほどダンスをしているときのように気持ちよーくなっていく。麻薬的な魅力を持ったゲームだ。

 なお、「DanceDanceRevolution」専用コントローラー(ダンスマット)による操作にも対応。最大4人まで、飛び跳ねながらのゲームプレイが可能だ。

 制作チームのライアン・クラーク氏によると、ゲームは現在制作中で、2014年春にSteamよりWindows版とMac版をリリース予定。価格はゲームのみが15ドル、サウンドトラック付きが25ドルとなっている。

ビジュアルノベル「MYTHOS」は電子書籍化&アプリ化も決定!

全ブース中、最も楽しそうに盛り上がっていたのが印象的だったなすびあん。東京ゲームショウ用に用意したという「MYTHOS」の紹介ムービーに足を止める人も多かった

 ジャングルをイメージした展示ブースと、野戦服を着たクリエイターの説明で盛り上がっていたのが、なすびあんのブース。ニコニコ自作ゲームフェス第1回にて、みごとヴィジュアルノベル賞を受賞したSFビジュアルノベル「MYTHOS」の制作サークルだ。

 受賞作「MYTHOS」は自作ゲームながら、参加クリエイターは総勢60名以上、フルボイスという凝った内容。OP・ED曲も採用されており、現在は第一部が公開されている。ストーリーもSFとオカルトの絡み合った重厚なもので、遊びごたえはバツグン。

「MYTHOS」は近未来を舞台としたオカルト風味のSFビジュアルノベルだ

 ニコニコ自作ゲームフェスの受賞後はさらに注目を集め、電子書籍化が決定したという。電子書籍版は9月中にAmazonで発売予定。2014年前半にはiOSアプリ化も決定しているとのこと。もともと実力のあったサークルではあるが、ニコニコ自作ゲームフェスをきっかけに多方面から注目を集めたようだ。さらなる飛躍に期待したい。

ニコニコ自作ゲームフェス2の締め切り迫る!

“ニコニコ自作ゲームフェス”の応募作品はのべ500以上。ゲームの実況動画もアップされている

 Wii UやPlayStation Vitaといったコンシューマー機でもダウンロードコンテンツが重要になり、より面白い作品が求められる流れから、かつてなく自作ゲームへの注目が集まっている。

 第1回“ニコニコ自作ゲームフェス”の受賞者達が多くのプラットフォームへ進出している中、“ニコニコ自作ゲームフェス2”の締め切りが間近に迫っている。募集締め切りは10月6日(日)。オリジナルのゲームを完成させ、ぜひ応募してほしい。

 優秀作品は11月4日(祝・月)に東京ビッグサイトにて開催される“ゲームマーケット2013秋”にて表彰が行われる。また、“ニコニコ自作ゲームフェス2”の参加作品は、下記のイベントでゲームフェススタッフがPRを行う予定だ。自作ゲームを動画でPRすることで、より多くの人の目に触れる機会を得られる“ニコニコ自作ゲームフェス”、ぜひ参加してほしい。

ニコニコ自作ゲームフェス2とは

 “ニコニコ自作ゲームフェス”は、ゲームを作る人、遊ぶ人、二次創作をする人をつなぎ、個人で作ったゲームがもっと多くのひとにプレイされるようになることを目指す祭典。2回目の開催となる“ニコニコ自作ゲームフェス2”は、2013年6月13日(木)から10月6日(日)の間で作品募集を行ない、11月4日(月)に“ゲームマーケット2013秋”の会場にて授賞式を実施する。

 応募対象は2013年6月1日時点で未発表のオリジナルゲームで、誰でも自由に遊べるように配布してあり、無料でもそれが体験できるもの。ニコニコ動画にゲームの紹介動画を投稿することで応募可能。詳細は下記公式サイトを参照してほしい。

(市川 美穂)