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東京ゲームショウ2013・インディーズゲームコーナーレポート

国内外から約40のデベロッパーが出展、試遊を中心に賑わう

 19日から4日間にわたって開催された日本最大規模のゲーム展示会“東京ゲームショウ2013”では、今年初めてインディーズゲームを集めたコーナーが開設され、国内外から約40のデベロッパーが出展。一般公開日にはインディーズゲームのイベントも開催され、試遊ができるブースを中心に賑わいを見せていた。

 本記事では、インディーズゲームコーナー出展ブースの様子をレポート。また併せて、東京ゲームショウ最終日終了後にインディーズゲーム開発者を集めて都内で行われたイベント“INDIE STREAM”での発表内容もお届けする。

NIGORO

 多様な仕掛けや練り込まれた世界観、そして高い難易度が特徴の遺跡探検考古学アクションゲーム「LA-MULANA」の開発元であるNIGOROのブースでは、今回発表された続編「LA-MULANA2」の出展用バージョンがプレイアブル展示されていた。公開時期は未定だが、“1年から1年半以内”が目処とのこと。プラットフォームはPCが予定されている。

 気になる難易度についてはNIGOROの楢村匠氏によると、国内からは易しくしてほしいという声もあったが、弱める予定はないという。「LA-MULANA」ではSNSや攻略サイトなどによるユーザー同士の助け合いが見られたが、そういったコミュニケーションも含めて楽しみ方のひとつではないか、とのこと。ちなみに、米国では“もっと難しく”という要望もあったという。

新たな女性主人公が登場する「LA-MULANA2」

クアッドアロー

 3D対戦格闘ゲーム開発環境「EF-12」を現在無償で提供しているクアッドアローのブースでは、本ソフトの公式サイトで開催されていた“TGSにあなたのキャラ/ステージを一緒に出そう!コンテスト”の受賞作品を搭載したバージョンがプレイアブル展示されていた。

ユーザー応募キャラクター“Montauk”(左)と“yNinja”(右)のバトル。ステージもユーザー応募によるもので、火山地帯のような“Lava_pahoehoe”ステージ。対戦用にアーケード型のジョイスティックが用意されていた

 また、アーケード・コンシューマーの2D対戦格闘ゲーム「アルカナハート」シリーズの主人公“愛乃はぁと”が「EF-12」に参戦、プレイ可能となっていた。これは、クアッドアロー代表の小野口正浩氏と、「アルカナハート」開発元である(株)エクサムの高屋幸治氏が旧知であることから実現したコラボ。

 これに伴いエクサムでは、ユーザーの力を借りて格闘ゲームを作り上げていくというプロジェクト“アルカナクロニクル”が立ち上げられ、公式サイトが公開されている。

「アルカナハート」の“愛乃はぁと”が「EF-12」でプレイ可能に

Onipunks Studio

「C-WARS」

 中国・北京のデベロッパー。開発中の「C-WARS」がプレイアブル展示されていた。ジャンルは格闘とRTSの要素を兼ね備えたユニークなもので、見下ろし型のマップ画面を移動してアクションで敵と戦いつつ、兵士を召喚して支援させることもできる。

 11月下旬にAndroid版、12月にゲーム配信サイトSteamでPC版をリリースしたのち、来年には3DS/PlayStation Vita/Wii Uとコンシューマーでもリリース予定とのこと。

FullPowerSideAttack.com & Lexaloffle Games(合同出展)

 FullPowerSideAttack.comサイドでは、四角い箱から四方へ棒を伸ばして転がり、障害物を越えていく2Dアクションゲーム「TorqueL」をプレイアブル展示。現在ゲーム配信サイトPLAYISMにて無料ダウンロード、またはPWYW(Pay What You Want:購入者が自由に価格を設定可能)方式で100円から購入可能。購入者には公式ガイドブックのPDF版といった特典がある。

 Lexaloffle Gamesサイドでは、「Voxatron」のアルファ版がプレイアブル展示されていた。ボクセル(小さなキューブ状のブロック)の組み合わせにより作られた“3Dドット絵”のような世界で遊べるアクションゲームで、キャラクターやステージを自由に制作できるエディターが付属している。エディターの自由度は高く、RPGなどさまざまなゲームを作ることが可能だという。現在、アルファ版がダウンロード販売中。

「TorqueL」
「Voxatron」
「Voxatron」のエディター画面
エディター画面で作ったステージをすぐにプレイできる

Studio F#

「パケットクイーン」

 PlayStation Mobileで配信中のパズルゲーム「パケットクイーン」をPlayStation Vitaの実機を利用してプレイアブル展示。そのほか、今後の開発予定タイトルのPV展示なども行われていた。

 Studio F#は元々PC向けの同人ゲームを“コミックマーケット(コミケ)”などの同人誌即売会で頒布しているサークルだが、今回PlayStation Mobile向けにゲームを開発したのは、自分達が子供の頃に遊んだ家庭用ゲーム機というものに憧れがあり、PC以外でゲームをリリースしたいという思いがあったためであるという。

Nyamyam

「TENGAMI」

 開発中のアドベンチャーゲーム「TENGAMI」をプレイアブル展示。飛び出す絵本のような世界観で、絵本をめくったり押し込んだりといった操作で仕掛けを解いていく。PC版がPLAYISMで配信予定。

Christine Love

「Analogue: A Hate Story」日本語版デモ

 カナダでビジュアルノベルを開発するデベロッパー。「Analogue: A Hate Story」が日本語化され、10月にPLAYISMでリリース予定。会場では日本語版のデモが流されていた。

なすびあん

 浮上したムー大陸と人類の戦いを描いた長編ビジュアルノベル「MYTHOS」を開発している同人ゲームサークル。現在公開されている第一部だけでもプレイ時間15時間以上の長編でフルボイスとなっている。無料でプレイでき、後からプレイヤーが自由に価格を決めて支払うことができるという“自由後払い形式”を採用。ブースではデモムービーが展示されていた。

「MYTHOS」デモムービー

オニオンソフトウェア

 プログラミング言語「HSP(Hot Soup Processor)」開発元のオニオンソフトウェアでは、過去の“HSPプログラムコンテスト”応募作品などHSP製ゲームのPVを展示。また、HSPの標準命令でUSB接続されたロボットアームを動かすデモが展示されていた。これは中学校の技術科の授業でも採用されているという。

HSP製ゲームのPV
HSPを使ってロボットアームを動かすデモ

インディーズゲームフェス2013

“インディーズゲームフェス2013”

 東京ゲームショウ一般公開日の21日から22日にかけて、インディーズゲームコーナーでは“インディーズゲーム”と“ゲーム実況”をテーマにしたイベント“インディーズゲームフェス2013”が開催された。ゲームの実況プレイや対戦ゲームのエキシビジョンマッチ、トークライブなどが行われ、常時多くの観覧者が詰め寄せる大盛況のイベントとなった。

 また、イベントで紹介されたゲームの試遊コーナーなども設けられ、こちらも人気を博していた。なお、本イベントの詳細については連載記事ニコニコ自作ゲームPick Upでレポート予定。

ステージの裏にはイベントで紹介されたゲームの試遊コーナーが
イベントのスポンサー企業も一部出展。Microsoftのブースでは、“Xbox Live インディーズ ゲーム”の試遊が可能となっていた

INDIE STREAM

コミュニティサイト“Indie Stream”は事前登録を受け付け中。当初より日本語、英語、中国語に対応し、世界中の開発者がノウハウを共有したり、メディア展開などで協力し合える場を目指すという

 東京ゲームショウ最終日終了後、ソニー・コンピュータエンタテインメント SSJ品川ビルにてインディーズゲーム開発者を集めたイベント“INDIE STREAM”が開催された。主催はNIGOROとnyamyam、共催はゲーム配信サイトPLAYISMを運営する(株)アクティブゲーミングメディアとソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジア(SCEJA)。

 当初募集人数250人のところ、国内外の開発者や関係者400人以上が集まり、活発な交流や情報交換がなされるイベントとなった。また、開会プレゼンテーションではインディーズゲーム開発者同士やパブリッシャー、ミドルウェア開発者、メディアを繋ぐオンラインコミュニティ“Indie Stream”の開設などが発表された。Indie Streamは現在事前登録を受け付け中。

「LA-MULANA」のPlayStation Vitaでの配信が発表
PlayStation Vita上に表示された「LA-MULANA」のタイトル画面を掲げる開発元・NIGOROの楢村氏。ゲーム自体はまだ動作しないとのこと
PLAYISMから、タワーディフェンスシミュレーションゲーム「メゾン・ド・魔王」の英語版「Unholy Heights」のSteamでの配信決定が発表された。Steamでの配信作品を投票で決める“Greenlight”を通さず直接のリリース。「LA-MULANA」のSteam配信時にできたコネクションが活きているという
PLAYISMはSCEJAとも協力し、国内インディーズゲームをPS4で配信できるよう目論んでいるという。写真は「TorqueL」だが、リリースされるかどうかは「TorqueL」の開発に利用されている開発環境“Unity”がPS4で使えるかどうか次第のため調整中とのこと
PLAYISMは非法人の開発者であっても、PS4でゲームをリリースできるよう支援していくという
SCEJAはパブリッシャーリレーション部 ディベロッパーリレーション課を新設。国内ゲームの海外展開、海外ゲームの国内展開の両面でインディーズ開発者を支援していくという
開発者によるトークセッションも開催された
ゲームやミドルウェアの展示なども。窓の杜読者には漫画制作ソフト「コミPo!」でお馴染みの(株)ウェブテクノロジ・コムは、ゲーム開発用の2Dスプライトアニメーション制作ソフト「OPTPiX SpriteStudio」のインディーズゲーム開発者向け無償ライセンスをPR。19日に発表されたもので、ロゴ表示など一定の条件のもと全機能を無償で利用できる

(中村 友次郎)