杜のVR部

第18回

マリオカートを強く意識したVR専用レースゲーム「VR Karts」

既存のゲームをVRに対応させるインパクトの大きさを予感させる体験

 Oculus RiftをはじめとするVRを体験すると、誰もが思うのは『あのゲームをOculus Riftを被ってVRで遊んだらもっと面白そう!』ということだ。筆者もこれまでさまざまな人にOculus Riftを被せてきたが、その感想として聞く“あのゲーム”はバイオハザードなどのホラーゲーム、メタルギアなどのFPS、アーマードコアなどのロボットアクション、そしてマリオカートなどのレースゲームだ。

 第9回でコロプラの「白猫VRプロジェクト」を紹介した際も触れたが、既存のゲームをVR対応したゲームには、VR向けに完全に一から作られたゲームとは違った面白さがある。

 今回紹介する「VR Karts」は、任天堂のマリオカートを強く意識した海外製のVR用レースゲームだ。

シンプルだが得られるワクワク感

 「VR Karts」は、現在Steam上で、発売されたら購入するかどうかの投票を行う“Steam Greenlight”に掲載中だ。ユーザーはデモ版をプレイし、投票することができる。

 さっそくデモ版を遊んでみると、お城が見える点や、カートとキャラクターのグラフィックがマリオカートを強く意識していることがわかるだろう。

メニュー画面。一目でマリオカートを意識していることがわかる
カートとキャラクターもどこかで見たことがあるようなデザインだ

 現在プレイできるのはアルファ版ということもあり、キャラクターやコースセレクトなどはまだ実装されていない。コース上に存在する、いわゆるアイテムボックスの中身は爆弾のみ。爆弾は他のプレイヤーの動きを遅くすることができる。使う時は攻撃ボタンを押して出現する照準を頭を動かして操作し、敵プレイヤーに合わせたところで使用する。

コース内に配置されている加速床
爆弾を使用するところ。運転しながら頭を動かして照準を合わせるのは新感覚だ

 レースゲームとしての面白さはまだ非常に荒削りだと言わざるを得ない。たとえばスピード感。最高速度でもまだ遅いので、アイテムをうまく当てない限り前を走る敵プレイヤーを抜くことはかなり難しい。

 しかし、このデモをプレイして感じるのは、『既存のゲームの中に入るのもワクワクする』ということだ。マリオーカートに似ているという話を冒頭から繰り返しているが、それゆえマリオカートの世界に入ったかのような感覚が得られる。また、ドライバーの一人称視点だが、酔いはあまりない。

 既存のゲームの中に入るということは、すでにそのゲームの世界観やキャラクターなどのひと通りの情報をプレイヤーは知っており、イメージが頭の中に出来上がった状態でゲームの中に入ることになる。すべてが新しい世界ではないので新鮮さが薄れる一方で、これまでの背景を知っているが故に、視覚と聴覚に加えて脳内でさまざまな情報が補完され、体験に深みが増すという現象が起きる。

 今回紹介した「VR Karts」自体は非常にシンプルなゲームだ。マリオカートを意識しすぎている点も気になるため、「VR Karts」として今後さらなるオリジナリティにも期待したいところではある。しかし何よりも、今後既存の人気タイトルがVR対応したときのインパクトは想像以上に大きくなるのだろうと感じさせられる体験だった。

まだ開発の初期段階なので、これからのアップデートに期待したいところだ

ソフトウェア情報

「VR Karts」
【著作権者】
Viewpoint Games Ltd.
【対応OS】
Windows(Windows 7で動作確認)
【対応ハードウェア】
Oculus Rift DK1/DK2
【ソフト種別】
体験版
【バージョン】
1.03 ALPHA版

評価PCスペック(参考)

マウスコンピューター G-Tune NEXTGEAR-NOTE i790SA1
【CPU】
Core i7-4700MQ 2.40GHz
【メモリ】
16GB(増設)
【グラフィックボード】
GeForce GTX870M
【fps】
75fps
【ヘッドホン】
Creative Sound Blaster EVO Zx

(もぐらゲームス:すんくぼ)