週末ゲーム
第594回
敵弾を吸収し無敵化するシューティング「ツルギノマイ」
7種の機体と3×3種のショットスタイルなど重厚なシステムも見どころ
(2015/4/17 11:00)
多彩な攻撃を使い分けるシューティング
「ツルギノマイ」は、SF世界を舞台にした横スクロールシューティングゲーム。最初は敵の攻撃が激しい弾幕シューティングに見えるのだが、敵弾を吸収して自らのエネルギーに変えるという要素があるのが特徴だ。
自機は武装の異なるものが6種類(一度クリアするとさらに1種類追加される)あり、事前にオプションで使用する機体を選んでおく。攻撃はボタンを押していると連射するノーマルショットと、CHARGEゲージを溜めて放つチャージショット、SPゲージを消費して使用する特殊兵装の3つがある。ショットは360度好きな方向に向けて撃つことが可能だ。
各機体にはそれぞれ3つの異なるショットがあり、さらに各武装には3つのショットパターンがある。たとえば標準機の“XOSF-3 ソードエッジ”では、炸裂弾、高速貫通弾、誘導弾の3つのショットがあり、それぞれ前方集中型、前方拡散型、広範囲拡散型と攻撃範囲が異なるショットパターンがある。それらの組み合わせで合計9種類のスタイルが存在し、状況に応じて自由に切り替えができる。
ショットは基本的にノーマルショットの射出中はチャージショットのチャージができず、チャージ中はノーマルショットを撃てない。チャージショットは溜めたゲージ量によって威力が変わるので、必ずしも最後までチャージしなくても構わない。
特殊兵装は機体によって大きく性質が異なる。攻撃兵器を持つ機体もあるが、“XOSF-3 ソードエッジ”では時間を止める(設定上では自分が加速することで敵が止まって見える)という補助的な能力を持つ。消費したSPゲージは、特殊兵装を使用していない間は時間経過によって回復する。
敵弾を吸収して無敵に、さらに被弾して無敵継続!
次は本題の、敵弾を吸収する仕組みについて。本作では自機が敵や敵弾に接触すると、吸収してDPゲージが溜まっていく。しかし連続して敵の攻撃を食らい続けたり、強力な弾に当たったりすると、HPゲージが減少する。
どこまで食らうと吸収しきれずダメージになるのかは、ゲージなどで明示されていない。小さな敵弾を少々食らう程度なら吸収するが、大きめのミサイルや貫通レーザーなど強めの攻撃だと即ダメージにつながる。敵との接触は、衝突した時の相対速度に応じてダメージを受けるとされており、ゆっくり接触する分にはダメージにはならない。
DPゲージが100%まで溜まると、自動的に“オーバードライブ(OD)”状態になる。その後は約5秒間の無敵状態となり、武装の連射力や威力がアップ。OD中に敵の攻撃を受けると再びDPゲージが溜まり、満タンになると“クロスドライブ”状態へと移行する。ODと同様に無敵状態だが、ODよりも攻撃力が高くなる。さらに敵弾を受けてDPゲージが溜まると再び“クロスドライブ”が発生。これを何度か繰り返すと、強力な範囲攻撃“オーバーロード”が発動する。
システム的な説明だとややこしく聞こえると思うので簡単に言うと、まず敵弾を一定量食らうとODが発生して無敵になる。ODが発生したら敵弾を食らいまくって“クロスドライブ”を継続させて無敵状態を保ち、その間に強化されたショットで敵を一網打尽にするという流れだ。ODが発生するまでは『適度にダメージを受け』、ODが発生したら『あえてダメージを受け続ける』というのが、本作の基本的なプレイスタイルとなる。
ただしODにもデメリットはある。無敵状態ならチャージショットも安定して使い放題と思うところなのだが、OD時はチャージが満タンになると勝手にチャージショットが発射されてしまう。敵弾を受けつつ、チャージショットが溜まる瞬間にきちんと射角を合わせておかなければ、せっかく強化されたショットも無意味になってしまう。
またODが切れると同時に通常状態へ戻るため、弾幕の中で戻ればいきなり大ダメージを受けてしまう。HPゲージは、敵を倒した時に出る青い光点を拾うと回復するほか、OD中も徐々に回復する。
HPゲージが0になればゲームオーバーとなる。その場でコンティニューも可能で回数制限もないが、ペナルティとしてスコアがマイナスされる。
もう1つ、OD絡みのシステムとして“リバースドライブ”がある。HPが0になった後も、自機は1秒程度、操作不能のまま画面に残る。この間も自機の命中判定は残っており、敵の攻撃によってDPゲージが溜まる。もし撃墜後にDPゲージが100%になると、HPが満タンになってその場で復活する。激しい弾幕で撃墜された時にHP満タンで復活し、ゲームオーバーだと思い込んでいたプレイヤーが驚くという事態が発生するので、この存在は頭の片隅に置いておいてほしい。
弾幕を食らうのが楽しくなる爽快な作品
本作は使用できる兵装の数や、覚えるべきシステム的要素が多く、最初はかなり戸惑うと思われる。まずはチャージショットの操作を覚えて、3種類のショットを切り替えつつ、普通のシューティングゲームとして楽しんでみるのがいいと思う。コンティニューは無制限なので、初プレイでもクリアは可能だ。その頃には、ひとまず操作方法は身についているだろう。
ショットと特殊兵装の使い分けに慣れてくると、機体ごとの能力差が見えてきて面白い。“XOSF-3 ソードエッジ”の時間を止めるという特殊兵装は、強力だが操作が忙しくなるため、最終的にはやや上級者向けに感じられる。他の機体は特殊兵装が純粋な火力アップになるものもあり、ボス戦もスピーディで爽快感が得られる。後は貫通レーザー主体や自動制御のビットを扱うものなど、機体の色に応じてプレイヤーの好みが分かれていく。
ストーリーを楽しめる“Stage Mode”は、初プレイでクリアまで1時間半ほどかかった。ボス戦で時間がかかりすぎたのもあるとは思うが、シューティングゲームとしては1周の長さがかなり長い印象だ。一度クリアした後はステージ選択も可能で、そのほか次々と現れる敵をひたすら倒して進むスコアアタック向けのゲームモード“Trial Mode”も用意されている。
オプションで難易度設定も可能だが、コンティニューが無制限にできるので、とりあえず普通にやってみるといいだろう。慣れるまではボス戦での難易度がやや高いのと、終盤はさすがに難しいものの、途中はそれほどコンティニュー乱発という事態には至らない。
操作はゲームパッドのほか、キーボードやマウスにも対応する。プレイしていて非常に難しいと感じたら、難易度設定の前にマウスで照準を動かす操作方法を試してみていただきたい。筆者は最初ゲームパッドでプレイしていたが、キーボードで移動、マウスで射撃方向を決める操作にすると、全方位シューティング的な感覚で快適にプレイできると感じた。
本作はとっつきが悪い点は否めないが、操作に慣れた後、あえてダメージを受けるという遊び方を理解できれば、急に爽快感が出てきて面白くなってくる。見た目は弾幕シューティングでありながら、中身はそのアンチテーゼと言うべきもので、集中して弾除けするのとは全く逆のプレイ感を持っている。本稿の解説がプレイの障壁を下げる役割を果たせることを祈りつつ、まずは一度クリアするところまで遊んでみていただきたい。
ソフトウェア情報
- 「ツルギノマイ」
- 【著作権者】
- Yab 氏
- 【対応OS】
- Windows(編集部にてWindows 8.1で動作確認)
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 1.2b(14/07/30)