週末ゲーム

第602回

飛行ユニットで巨大メカに立ち向かう横スクロールSTG「バトルトラバース」

緻密に描かれた敵機を次々に撃破する爽快な作品。2人プレイにも対応

 『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームの中から、編集部がピックアップした作品を毎週紹介していく。今回は、特殊部隊の一員となって反乱部隊と激しい戦いを繰り広げる2D横スクロールシューティングゲーム「バトルトラバース」を紹介しよう。

 なお、本作は同人ゲームとして頒布されており、執筆時現在はダウンロード版およびパッケージ版が購入可能。作者サイトでは体験版も公開されている。

国連軍特殊部隊の一員となって反乱部隊をすみやかに撃破せよ

反乱部隊と戦うシューティングゲーム。緻密なグラフィックと派手な演出が見どころ

 「バトルトラバース(Battle Traverse)」は、国連軍特殊部隊の一員となって反乱部隊の撃破を目指すステージクリア型の2D横スクロールシューティングゲームだ。ステージは森林地帯、飛行場など作戦の進行に応じて移り変わる全5ステージ。攻撃範囲や機動力が異なる3人の主人公が用意されておりさまざまな戦い方ができるほか、難易度は5段階も用意されており、繰り返し楽しめるようになっている。

 ステージには2Dドットグラフィックで緻密に描かれた戦闘機や戦車などが多数登場し、それを次々に破壊していく爽快感はかなりのもの。低難易度ではシューティングが苦手な人でも気持ちよくプレイできる一方、高難易度では敵弾のスピードがアップする上に画面中を埋め尽くす勢いで弾が発射されるなど、上級者でも楽しめる内容となっている。さらに、ローカルでの2人同時プレイにも対応しており、友達などと盛り上がれるのも魅力的だ。

 舞台となるのは2038年の地球。人工的に作られた太平洋の島にある国連専用の兵器工場が、国連軍内部の反乱分子に占拠されてしまう。反乱部隊は“ルシャナ”と名乗り、国連軍兵器の殲滅を企てる。目立つ行動を極力避けて島を取り戻したい国連は、国連軍特殊部隊“TDJ”を緊急招集。TDJは技術部が極秘に開発した装備を手に、島の各拠点を攻撃するため出撃する。TDJは、生粋の軍人“アルベルト・T・ニーダー大尉”、運動能力の高い青年“トモー・テルロス中尉”、国連軍幹部の娘“リリー・ラーズ少尉”で構成され、プレイヤーはこのうち1人を選び、飛行ユニットを身に纏って大量の兵器相手に戦うことになる。

 時代設定が2038年ということもあり、登場する兵器は現代的なデザインと近未来なデザインがうまく融合されている。また主人公の3人は、特殊部隊とはいえ戦闘機や戦車相手に生身の人間がレールガンやエネルギーランチャーを背負って飛び回るという『マジか?』と言いたくなるようなトンデモぶりが面白く、戦闘機から主人公たちが出撃する演出も格好いい。ステージの最後には巨大兵器のボスが待ち構えており、倒すと反乱部隊のパイロットが『そんなバカな』的なセリフを残して爆発するのはお約束の展開だが、それがまたいいのである。

主人公は攻撃範囲などが異なる3人。出撃前にプレイヤーが選択する
3人の主人公が兵器工場の奪回に向け出撃するシーンも凝っていて気分を盛り上げる
ステージの最後には巨大兵器が待ち構えている。倒すとお約束のこのセリフ

ノーマルショットとロックショットの使い分けがポイント

ノーマルショットは広範囲のザコ敵を倒すのに有効。とくにアルベルト大尉のノーマルショットはワイド型で画面中を攻撃できる
ロックショットは敵機を自動的にロックオンするので敵弾を避けながら攻撃しやすい

 操作はゲームパッドやキーボードに対応。攻撃はショットボタンの連打でノーマルショット、長押しで“ロックショット”となる。ロックショットは自機の正面の敵または近付いた敵を自動的にロックオンして、その敵機に向かって自動で攻撃するというもの。敵弾を避けつつ、耐久力の高い敵機を攻撃するのに便利だ。そのほか自機が一定時間無敵になり、強力な攻撃を繰り出すボムも利用できる。

 キャラクターごとの性能の違いで一番目立つのはノーマルショット、そしてロックショット中にロックした敵以外へ飛ぶショットの攻撃範囲だ。たとえば、アルベルト大尉はノーマルショットの範囲が広くザコの掃討がしやすい。

 敵弾または敵機に触れるとミスとなり、ライフが減ってその場で復帰する。なお、地上の敵機やヘリコプターのローター、爆風には当たり判定がないので、敵弾を避けることに専念できる。また、ライフがゼロの状態でミスをするとゲームオーバーとなるが、コンティニューに制限はなくその場から復帰が可能なので、全ステージクリアまで到達するのは難しくない。

 アイテムはショットのパワーアップとボムのほか、ショットが一気に最大まで強化される“マックスパワー”とライフが増える“1UP”がある。1UPはステージ3とステージ5である条件を満たすと出現するので、探してみるのも面白いだろう。

 また、覚えておきたい要素としては“弾消し”がある。これは敵機を倒すと一定範囲の敵弾が消えるというもので、敵弾が画面を埋め尽くすような高い難易度でプレイするときは必須と言えるテクニック。敵弾が多い地点でうまく敵機を倒していけば、敵弾を避ける必要が格段に減る。

 このほか、スコア稼ぎに重要なのが爆発しているような見た目の“弾素点アイテム”。敵機を倒すことで出現し、自動的に回収されて“弾素点”となる。この弾素点が高い状態で、ロックショットで弾消しなどを行うと多くのスコアを獲得可能。獲得できる弾素点は敵機を遠くで倒すとプラス1だが、近くで倒すほどプラス2、プラス3と増えていく。ハイスコアを狙うなら、弾素点を稼ぎ、多くの敵弾を巻き込んで敵機を倒すことが重要だ。

 他にもスコアシステムには、主人公機から発射されるロックショットをすべて当てた状態で敵機を倒すと“FULL LOCK BONUS”が発動するなどさまざまな要素がある。若干ややこしいためクリア重視ならそれほど気にする必要はないが、ハイスコアを狙うなら作者のブログに詳細が掲載されているため研究してみるのも面白いだろう。

ボムは広範囲に強力な攻撃を繰り出し、しかも自機が青く光っている間は無敵になる
敵機を倒すと周囲の敵弾が消える“弾消し”が発生。敵弾を消すほどスコアがアップする

 なお、5段階ある難易度のうち、上位のVERY HARDの開放にはHARDで全ステージクリアが必要、最上位のEXTREMEの開放にはVERY HARDのクリア、またはHARDにのみ存在する2周目のクリアが必要となる。どちらもコンティニュー可だが、HARDの2周目をプレイするには1周目のノーコンティニュークリアが必要なので、VERY HARDをクリアするよりハードルが高い。

 シューティングームの作りとしては驚くような仕掛けがあるわけではないオーソドックスなものだが、描き込まれたグラフィックは美しく、プレイするだけで気分がいい。難易度も豊富にあるので、破壊の快感を味わいたい初心者からスコアラーまで、実力に合わせて楽しめるのも嬉しいところ。難易度EXTREMEは敵機の攻撃が恐ろしいほどに激しくなるので、横スクロールシューティングが好きならぜひとも挑んでみてほしい。

ソフトウェア情報

「バトルトラバース」
【著作権者】
Naut Mark
【対応OS】
Windows XP/Vista/7/8
【ソフト種別】
ダウンロード販売 1,296円(税込み)など(体験版あり)
【バージョン】
-

(芹澤 正芳)