週末ゲーム

第628回

台湾発、ウサ耳+弾幕+2D探索アクション「Rabi-Ribi」

広大なマップ探索、可愛らしいキャラ達、ド派手な弾幕ボスバトルがマッチング

 『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームの中から、編集部がピックアップした作品を毎週紹介していく。今回は、弾幕アクションゲーム「Rabi-Ribi(ラビリビ)」をご紹介する。

 本作はゲーム配信サイト“Steam”でダウンロード販売されているインディーゲームで、販売価格は2,100円(Steam、税込み)。作者サイトでは体験版も配布されている。

バニーと妖精のコンビで進む2D探索アクション

なぜか人間の姿(しかもバニーガール)になってしまったウサギのエリナ

 「Rabi-Ribi」は、バニーガール姿のエリナと空飛ぶ妖精のリボンが戦う2Dアクションゲーム。ある日エリナが目覚めると、自分がバニーガールを着た少女の姿になっていた。エリナは元々は本物のウサギだったはずで、なぜそうなったのかもわからないまま、自分の家へと帰る旅が始まる。

 開発したのは台湾のKano-Bi。ドット絵のレトロゲームスタイルや萌え系のキャラクターなどを見るに、日本のゲームやアニメの影響が強く出た作品だ。エリナのバニーガール姿も、台湾から見たトラディショナル・ジャパニーズ・バニーガール・スタイルなのだろう。公式サイトには日本語で、『ウサ耳娘を主人公にするゲームが欲しい、このゲームはそういうあなたに捧げます』とあり、ウサ耳娘に対する作者の思い入れの強さも間違いない。

 ゲームはサイドビューのアクションゲームとなっており、広大なマップを探索しながら進んでいく。エリナは最初、左右移動とジャンプしかできないが、ハンマーを拾うことで攻撃が可能になる。その後もフィールドで特定のアイテムを拾うと、ハンマーの攻撃パターンが増えたり、ジャンプ力が上がったりと、新たなアクションを身に着けていく。それによって行ける場所も増えていくという形だ。

 またゲームを進めていくと、妖精のリボンと出会い、共に冒険する仲間になる。リボンはエリナに付き従うよう動くので、キャラクター移動の操作はエリナだけ。リボンが仲間になると、魔法による遠距離攻撃が可能になる。エリナは基本的にハンマーでの近距離攻撃しかできないので、2人が役割分担する形になる。

 エリナとリボンの攻撃は、それぞれ攻撃ボタンが独立して用意されている。特にリボンの攻撃は、ボタンをしばらく押したままにして離すチャージショットが基本となる。敵に近付いてエリナが攻撃している間にリボンにチャージさせ、溜まったら撃つということも可能だ。

 フィールドにはあちこちに強化アイテムが落ちており、HPや攻撃力を伸ばすもののほか、リボンの攻撃魔法の種類を増やすもの、装備すると特殊な効果を得られるバッジなどさまざまなものがある。これらのアイテムを拾ってエリナ達を成長させながら、各地のマップを踏破していく。マップそのもののギミックは少なめで、謎解きやトラップの類はほとんどない。傾向としては、敵とのバトル部分に注力した作品となっている。

ゲームは横スクロールアクションで進行する
エリナはハンマーで攻撃できる
妖精のリボンと出会い、行動を共にする
リボンがいると、魔法で遠距離攻撃が可能になる
さまざまなフィールドを冒険しながら、強化アイテムを見つけていく
新たな操作が可能になった時はチュートリアルが出る。若干日本語が怪しいのはご愛嬌

弾幕シューティングをアクションに持ち込んだ独特なボスバトル

ボスの攻撃はまさに弾幕シューティング。弾の切れ目を探して回避し、反撃する

 本作の冒険部分は、フィールドにいる敵を倒しながら各地を探検するというオーソドックスなもの。道中にいる敵を倒すとお金が手に入り、街で強化アイテムや消費アイテムを購入できる。

 バトルで特徴的なのはボス戦だ。本作にはさまざまなキャラクターが登場する(ちなみにすべて女性)が、いずれも出会ってから一度はバトルになる。一般的なアクションゲームだと、ボスの行動パターンを見切って隙を突いていくという形になることが多い。しかし本作はボスキャラクターごとに動きは異なるものの、いずれも画面全体を埋め尽くそうかというような多量の弾やビームを放ってくる。シューティングゲームで言うところの、弾幕だ。

 弾幕シューティングをサイドビューのアクションゲームのスタイルでやろう、というのが本作のコンセプトにあるようで、プレイヤーはボスからの猛烈な攻撃を回避しつつ戦うことになる。どのボスも数パターンの攻撃方法を持っており、画面を埋め尽くす勢いのばら撒き弾やレーザー、無数の誘導弾などバリエーションも豊か。食らうと行動を制限される弱体効果を持つものもあり、ひとつひとつの攻撃を見極めて対処していく必要がある。

 プレイヤー側としては、リボンの遠距離攻撃には誘導弾タイプのものもあり、概ねどこからでも攻撃を仕掛けられる。ただダメージ的にはエリナの近接攻撃の方が桁違いに強力なので、弾幕をかいくぐりながら接近して、隙を見つけてハンマーで叩くというのが基本的な戦い方になる。

 ボスの攻撃は、パターンが切り替わるタイミングでいったん収まるので、そこが反撃のチャンスになる。ボスの攻撃中は回避に専念し、攻撃が止んだら一気に近付いて攻撃。ボスの攻撃が再開されたらまた離れて回避……という、メリハリが求められる。もちろんボスの攻撃の中には接近しながら回避できるものもあるので、あとはプレイヤーの腕次第だ。

 エリナの当たり判定は見た目に比べてかなり小さく、首から上は敵弾が触れても問題ない。この辺りはいかにも弾幕シューティングらしい仕様だ。ただ一部のボスの攻撃は、筆者の目からはどう見ても回避しきれないものがある。本作はエリナのHPが0にならなければゲームオーバーにはならないが、それでも少々理不尽すぎる。

 これにはもちろん対策がある。ゲームを進めていくと取れる“お守り”を使用することでエリナが短時間無敵になり、回避不能な状態を脱することができる。しかも“お守り”は時間が経つと再使用でき、ゲームが進むと使用できる回数も増える。それに従って、ボスの無茶な攻撃も増えていく(笑)。

 もしボスにやられてゲームオーバーになったとしても、コンティニューすればボス戦の直前から再開できる。さらに何度もボスにやられていると、ダメージ軽減やHP回復などの強化効果を受けることもできる。リトライに対するフォローは手厚いので、理不尽な攻撃に対してもストレスはほとんどない。

 最大の強化効果をもらっても勝てないという時は、大人しく一旦引き上げる手もある。お金を貯めて街で強化アイテムを買い揃えたり、他のマップを探索して強化アイテムを拾ったりしてから、改めて挑んでもいい。特にジャンプ力アップなどの新たな能力を身に着けると、以前通ったマップでも新たなルートを開拓でき、そこでアイテムが見つかることもある。各地をくまなく探索して強化を図るのも本作の楽しみのひとつだ。

攻撃パターンはボスによって違う。ボスごとの攻撃も多彩で、まだ違う攻撃があるのかと驚くことも多い
攻撃パターンの変化の合間を突いて接近し、ハンマーによる攻撃を叩き込む
お守りによる無敵化がなければ切り抜けられそうにない弾幕もある
敵に倒された時のコンティニュー画面。作中で最も多く見ることになるイラストだ(笑)
どうしてもダメなら、お金を貯めて街で強化アイテムを買うなどしてから再挑戦する

惜しい部分もあるが、大ボリュームでコンセプトも伝わる作品

キャラクター同士の会話で物語が展開していく

 ゲームはエリナとリボンが出会い、家に帰り着いてからもまだまだ続く。ウサギを捕まえて回る謎の組織UPRPRCによってウサギが絶滅の危機にあり、エリナもまた組織に狙われる存在となる。さらに街に残された謎の石版を巡り、エリナはさまざまな人の手助けを求めるのだが、その中で舞台となるファンタジー世界とは違う、我々のいる現代世界の住人と思しき人物とも出会う。そして、そもそもエリナはなぜウサギから人間の姿になってしまったのか……。

 登場人物の多くは犬や猫などの動物の耳を着けていて、そうでない人は“ご主人”と呼ばれていたりもする。多くの謎を抱えながら、さまざまな人と出会い、そしてなぜかさまざまな人とバトルになる。世界にせよ人物にせよ、あらゆるところで謎だらけの展開で、話を進める中で少しずつその謎が紐解かれていく。

 登場するキャラクターはいずれも女性で、彼女らとのバトルの後には、ご褒美的なイラストが用意されているシーンもある。一度見たイラストは、メニューから何度でも見返せる。可愛らしいキャラクターは本作の大きな魅力なので、オマケとはいえイラストの存在はとても大きい。

 ただ肝心のストーリー展開がいまひとつピンと来ない。キャラクターがどれも似たような顔つきと同じような姿勢で描かれていて、見た目の個性が薄い。加えて、日本語ローカライズが『正しい日本語になるよう頑張りました』という感じで、セリフに個性が全くない。結局、誰が何をしたのかが頭の中で整理しきれず、ぼんやりとした展開に見えてしまった。ユニークな世界観や可愛らしいキャラクターが(少なくとも日本語版では)活きておらず、セリフだけでも直せば劇的によくなるだろうと思えるだけに残念だ。

 とはいえ本作はアクションゲーム部分だけで十分に価値ある作品だ。筆者は難易度ノーマルでプレイしたが、特に詰まるというほどのことはなくとも、クリアまでのプレイ時間は20時間を超えた。マップはとにかく広大で、クリアしてもまだ2~3割程度の場所が未達。クリア後にも引き続き探索できるし、Steamの実績集めのためにボスに再チャレンジもできるようになっている。ちなみにスタッフロールはなぜか中盤でも流れ、2度目のスタッフロールが流れたら本当にゲームクリアになる。途中で終わったと思わず最後までプレイしていただきたい。

 他にもひたすらボスと戦うボスラッシュモードなど、クリア後にアンロックされるゲームモードもある。さらにクリアするごとに上の難易度が開放される仕組みで、Steamの実績を見るに、ノーマルの上にまだ3つほどある。やり込み的な要素も備えており、アクションゲーム好きにはとても満足度が高い作品だ。イラストに惹かれる人も多い作品だと思うが、ゲーム部分にこそ本作のよさがある、と断言しておきたい。

キャラクターは可愛いのだが個性に乏しく、総じて印象が薄いのがつくづく惜しい
ボス撃破時などに時々用意されているご褒美イラスト。これは全部集めたい
とにかくマップが広大。クリア時点でもまだまだ探索できていない場所がある
ボスラッシュモードでは、次々と現れるボスと戦う。UIが格闘ゲーム風にアレンジされている

ソフトウェア情報

「Rabi-Ribi」
【著作権者】
Kano-Bi、CreSpirit
【対応OS】
Windows XP/Vista/7/8/10
【ソフト種別】
ダウンロード販売 2,100円(税込み)
【バージョン】
1.04c

(石田 賀津男)