クリエイターが知らないと損する“権利や法律”
好きな曲の歌詞を使いたい
~第5章:先生……二次創作がしたいです~
2016年8月23日 07:20
オンラインソフト作者に限らず、あらゆるクリエイターが創作活動を続けるために、著作権をはじめとして知らないと損する法律や知識はたくさんある。本連載では、書籍『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本』の内容をほぼ丸ごと、三カ月間にわたって日替わりの連載形式で紹介。権利や法律にまつわる素朴な疑問に会話形式の堅苦しくない読み物でお答えする。
前回掲載した“コスプレしてもいいですか”の続きとして、今回は“好きな曲の歌詞を使いたい”というテーマを解説する。
好きな曲の歌詞を使いたい
今描いてる漫画の中で、どうしても大好きな曲の歌詞を使いたいんですけど、どうしたらいいんですか?
ある程度の長さのフレーズを使う場合、著作権の問題になりますね。
歌詞をどう使って、漫画をどこで公開するか次第ですが、一番問題がないのは、JASRACなどの著作権等管理事業者へ利用申請して、許諾番号を取得することです。
あ、JASRAC って聞いたことあります。そういう窓口をやってるんですね。
はい。レコード会社から発売されているような曲のほとんどは著作権が集中管理されているので、利用したい場合の申請はラクです。
ただしもちろん、利用にはお金がかかります。
ああ……やっぱりそうなんですね。
音楽クリエイターにお金を配分するのが、著作権等管理事業者の目的ですからね。
許可をもらわずに利用するとしたら、引用です。
例によって、必然性、明瞭な区別、主従関係、出所明示の4つが重要です。
まあ、漫画の中で歌詞を使うとなると、特に必然性と主従関係が問われることになるでしょう。
うーん、そうなのか。
ところで、その漫画はどこで公表する予定なのですか?
あ、ブログに載せようと思ってます。
それなら、許諾なしで利用できる可能性がありますね。
ええっ! 本当です?
動画投稿サイトやブログサービスなどの事業者とJASRACが包括的な利用許諾契約を結んでいて、ユーザーが個別に利用許諾手続を行わなくても良いようになっている場合があります。
おお!
もっとも、インディーズ系の楽曲などは著作権等管理事業者に登録していない場合があるので、まず『J-WID』などの作品データベースを検索してみた方がいいですよ。
※ JASRACの作品データベース検索サービス『J-WID』
※ JASRACと包括契約している動画投稿サイトとブログサービス『利用許諾契約を締結しているUGCサービスリストの公表について』
はーい。
次回予告
今回の続きとして次回は“替え歌って面白い! けど”というテーマを解説する。
原著について
『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本』
(原著:鷹野 凌、原著監修:福井 健策、イラスト:澤木 美土理)
クリエイターが創作活動するうえで、知らないと損する著作権をはじめとする法律や知識、ノウハウが盛りだくさん! “何が良くてダメなのか”“どうやって自分の身を守ればいいのか”“権利や法律って難しい”“著作権ってよくわからない”“そもそも著作権って何?”といった疑問に会話形式の堅苦しくない読み物でお答えします!