Inkscape独習ナビ!特別出張版

無料ドローツールでクマのイラストを描く! 第3回(全5回):ペンツールを使ってみよう

シンプルな図形を組み合わせてイラストを作る

この集中連載は、無料で使える人気ベクターグラフィックソフト「Inkscape」の便利さと素晴らしさをより多くの人に知っていただくことを目的に始めました。ステップバイステップで見栄えのする作品を描いているうちに、自然と「Inkscape」の基本が習得できるようになります。具体的には、使いこなし方を解説する書籍『できるクリエイター Inkscape独習ナビ Windows&Mac対応』の入門セクションから抜粋し、再編集した原稿を短期集中連載として、日替わりでみなさまにお届けします。なお、Windowsでの操作を前提に解説していますが、たとえばショートカットキーなどでMacの場合の操作を括弧書きで併記していますので、Macでも同じ要領で読み進められます。

クマのイラストの制作の流れ(全5回)

第1回:下絵のファイルを開こう
第2回:イラストのパーツを描こう
第3回:ペンツールを使ってみよう(今回の記事)
第4回:パーツをグループ化して操作しよう
第5回:フィルとストロークを設定しよう

●サンプルファイルについて
『できるクリエイター Inkscape独習ナビ Windows&Mac対応』の公式サイトを開いて[ダウンロード]項目にある[Dekicre_inkscape.zip]をクリックしてダウンロードし、ファイルを展開しておきましょう。レッスン1で使用するデータは、展開後の[Dekicre_inkscape]-[Lesson]-[Lesson1]-[sozai]フォルダーにあります。なお、Windowsでの操作を前提に解説していますが、たとえばショートカットキーなどでMacの場合の操作を括弧書きで併記していますので、Macでも同じ要領で読み進められます。

第3回(全5回):ペンツールを使ってみよう

[ペンツール]を使う場合も、直線で概形を描いてから[ノードツール]で調整していくほうがイメージどおりに仕上げやすくなります。

1. ペンツールでパーツを作る

縫い目部分を描きます。ここではまず直線を描き、後から[ノードツール]でカーブにします。

❶[ツールボックス]の[ペンツール]を選択します。

❷[ツールコントロールバー]で[モード]は[ベジエパスを作成]、❸[成形]は[なし]にします。

❹ ① ②の順でクリックし、右クリック(または[Enter]([return])キー)で終了して直線を描きます。

線を引く前にスタイルを引き継ぐ設定をしておくと、後からフィルやストロークを設定し直す必要がなくなります。

❺[ノードツール]で直線部分をドラッグして曲げます。

2. ペンツールで口と腕を作る

口の部分を描きます。ここでは複数のノードを持つパーツを細かく調整していきます。

❶[ペンツール]で①〜④の順でクリックし、右クリックで終了してパスを描きます。

仕上がりの曲線をイメージしながら、曲線の山の頂点となる部分をクリックしてノードを配置していきましょう。

❷[ノードツール]で② ③のノードを[Shift]キーを押しながらクリックして選択します。

[Shift]キーを押すと複数のノードを選択できます。

❸ 曲線にするために[ツールコントロールバー]の[選択ノードを自動スムーズに]をクリックします。

❹曲線になりました。

❺[ノードツール]で①のノードをクリックして、[Shift]+[Ctrl]([control])キーを押したまま下にドラッグすると、[ノードハンドル]が現れ、曲がり具合を変更できます。

ここで[Ctrl]([control])キーを押すのはハンドルの角度を垂直方向に固定するためです。

【H i n t】他のツールで使用したスタイルを引き継ぐ

直前に他のツール使用時に設定したスタイル(線の幅や色など)の設定を引き継ぐと、ツールを切り替えるたびにスタイルを設定し直す手間を省けます。
[ペンツール]のアイコンをダブルクリックして、[Inkscapeの設定]ダイアログを表示し、[ペン(パス)]の[新規オブジェクトのスタイル]を[最後に使用したスタイル]にします。

❻同様に④のノードをクリックし、[Shift]キーを押したままドラッグして[ノードハンドル]を出し、曲がり具合を調整します。

3. ペンツールで残りのパーツを作る

腕の部分を描きます。

❶[ペンツール]で始点と終点が重なるように①〜⑧の順でパスを描きます。

❷[ノードツール]で②④⑤のノードを選択して[選択ノードを自動スムーズに]をクリックします。

❸ ①のノードをクリックして[Shift]キーを押したままドラッグして端の曲がり具合を調整します。

❹同様にリボンの部分も始点と終点が重なるようにパスを描きます。

【H i n t】ノードの数は少なめに

ノードの数は多くすると曲線が歪みやすくなったり、描画処理が重くなったりするので、なるべく少なくなるように描きましょう。

❺曲線にするために、○で囲んだノードを選択して[選択ノードを自動スムーズに]をクリックします。

❻足の付け根部分も[ペンツール]でパスを描きます。

❼曲げたい部分を[ノードツール]でドラッグします。

4. 円/ 弧ツールでリボンの結び目を作る

これまでと同様にリボンの結び目の部分を描きます。

❶[円/弧ツール]で結び目のおおよその形を描きます。

[選択ツール]で描いた円を選択し、[パス]メニューの[オブジェクトをパスへ]をクリックします

❷[ノードツール]で下のノードを選択し、[Ctrl]([control])キーを押したまま下にドラッグします。

次回予告

本記事“第3回:ペンツールを使ってみよう”の続きとして、明日は“第4回:パーツをグループ化して操作しよう”を掲載しますのでお楽しみに!

山本潤一(やまもと じゅんいち)

本書のレッスン1〜2、練習問題1〜2を担当。InkscapeのほかにはNetBeans IDEにも興味があり、本体のPHPエリアにパッチを送ったり、プラグインを作ったりしている。

【ブログ】http://junichi11.com// 【Twitter】@junichi_11