Inkscape独習ナビ!特別出張版
おしゃれカフェ宣伝チラシを制作する! 第1回(全5回):写真にギザギザ模様の帯を加えよう
テキストとパスを使ってチラシを作る
2016年11月14日 06:10
この集中連載は、無料で使える人気ベクターグラフィックソフト「Inkscape」の便利さと素晴らしさをより多くの人に知っていただくことを目的に始めました。ステップバイステップで見栄えのする作品を描いているうちに、自然と「Inkscape」の基本が習得できるようになります。具体的には、使いこなし方を解説する書籍『できるクリエイター Inkscape独習ナビ Windows&Mac対応』の入門セクションから抜粋し、再編集した原稿を短期集中連載として、日替わりでみなさまにお届けします。なお、Windowsでの操作を前提に解説していますが、たとえばショートカットキーなどでMacの場合の操作を括弧書きで併記していますので、Macでも同じ要領で読み進められます。
おしゃれカフェ宣伝チラシの制作の流れ(全5回)
●サンプルファイルについて
『できるクリエイター Inkscape独習ナビ Windows&Mac対応』の公式サイトを開いて[ダウンロード]項目にある[Dekicre_inkscape.zip]をクリックしてダウンロードし、ファイルを展開しておきましょう。レッスン4で使用するデータは、展開後の[Dekicre_inkscape]-[Lesson]-[Lesson4]-[sozai]フォルダーにあります。なお、ダウンロードしたファイルに含まれているすべてのサンプルファイルは、記事を利用して「Inkscape」の操作を学習する目的以外の用途には、使用することができませんのでご注意ください。
第1回(全5回):写真にギザギザ模様の帯を加えよう
まず、印刷物に必要な裁ち落としのガイドライン(トンボ)を作成します。全面に写真を配置して、下にギザギザ模様付きのピンク色の帯を加えます。
1. ドキュメントの単位やサイズを設定する
A4の新規ファイルを作成します。このレッスンではサイズの単位をすべて「mm」にするので、最初にオブジェクトのデフォルトの単位を変更します。
[ファイル]メニューの[ドキュメントのプロパティ]をクリックします。
❶[デフォルトの単位]を[mm]に設定します。
❷[ページサイズ]が[A4]であることを確認します。
次にドキュメント上でページの境界線の表示を設定します。
❸[表示]の[描画より前面に境界線を表示する]にチェックマークを付けて、[境界線に影を表示する]のチェックマークを外します。
❹[×]をクリックしてダイアログを閉じます。
2.「裁ち落とし用のマーク」を作成する
Inkscapeのエクステンションを利用して、裁ち落とし用のマークを設定しましょう。
❶[エクステンション]メニューの[レンダリング]-[レイアウト][- プリントマーク]を選択します。
❷[マーク]タブをクリックし、[クロップマーク]と[裁ち落としマーク]にチェックを入れて、他はチェックを外します。
❸[位置調整]のタブを選択し、[クロップマークの設定]から[キャンバス]を選択します。
❹[単位]は[mm]を選択します。
❺印刷業界では一般的に裁ち落とし幅を3mmにするので、数値は[オフセット][上][下][左][右]のすべてを「3」mmにします。
❻[適用]をクリックします。
❼ページの四隅にプリントマークが作成されました。「Printing Marks」レイヤーも自動で追加されています。
【H i n t】裁ち落としとプリントマーク
用紙の端まで写真などを配置したい場合、商業印刷ではページサイズより数ミリ広めに配置しておいて余った部分を切り落とします。これを「裁ち落とし」といい、切る位置がずれても紙の白が見えないようにする工夫です。裁ち落としの位置などを示す印を「プリントマーク」「トンボ」「トリムマーク」などと呼びます。
3.背景に写真を配置する
❶[レイヤー]ダイアログで「img」レイヤーを追加します。
「img」レイヤーに写真とピンク色の帯、「レイヤー1」レイヤーにその他のオブジェクトを配置します。
❷「img」レイヤーを選択して[ファイル]メニューの[インポート]をクリックし、背景の写真をインポートします。
【使用素材】
[Dekicre_Inkscape]-[Lesson]-[Lesson4]-[sozai]フォルダ
珈琲写真……[coffee.jpg]
4.写真を裁ち落としに合わせる
[ズームツール]を選択して、左上隅を拡大します。
❶画面右にある[スナップコントロールバー]の[境界枠にスナップ]と、❷[境界枠の角にスナップ]をクリックしてオンにします。
❸[選択ツール]を選択して、「裁ち落とし用のマーク」に写真を合わせます。
スナップ機能の働きで写真の角が裁ち落としマークに吸着します。
❹写真を裁ち落としに合わせて配置できました。
スナップはもう不要なので、[境界線にスナップ]と[境界線の角にスナップ]をクリックしてオフにしておきます。
5.ピンクの帯を作成する
ギザギザ模様が付いたピンク色の帯を作成します。最初に大きな長方形で帯を作成します。
❶[矩形ツール]を選択して、ドラッグして長方形を作成します。
サイズは後で変更するのでだいたいでかまいません。
❷[フィル/ストローク]ダイアログを表示して、[フィル]タブをクリックし、[単一色]の[CMYK]で、C「0」、M「45」、Y「30」、K「5」、A「100」に設定します。
[ストロークの塗り]タブをクリックして[塗りなし]にします。
❸[選択ツール]を選択して、[ツールコントロールバー]で、[X]を「- 3」、[Y]を「- 3」、[幅]を「216」、[高さ]を「47」に設定します。
❹ピンク色の帯ができました。
【H i n t】枠の位置を3mmずらす
X軸とY軸の原点はドキュメントの左下です。3mmの裁ち落としを考慮して位置は(-3, -3)から開始し、幅はA4サイズより6mm大きくします。6.ギザギザ模様を作る
山型のギザギザ模様のもとになる正方形を作成します。
❶[矩形ツール]を選択して、ドラッグして四角形を作成します。
色は大きな長方形と同じピンク色にし、サイズは幅「5」mm、高さ「5」mmにします。
[オブジェクト]メニューの[変形]をクリックします。
❷[回転]のタブをクリックし、❸[角度]に「45」と入力して❹[適用]をクリックします。
❺正方形が45度回転しました。
正方形をタイル状に並べて複製します。
❻[編集]メニューの[クローン][- タイルクローンを作成]をクリックします。
❼[対称化]タブをクリックします。
❽[P1:シンプル移動]を選択します。
❾[行、列]を選択し、「1」×「31」と設定します。
❿[作成]をクリックします。
【H i n t】列の個数
列の個数は作成する長さに適した個数にします。計算が面倒な場合は多めに作って、不要な分を削除するといいでしょう。⓫正方形が横に31個複製されました。
7. ギザギザ模様を帯に合わせる
❶[選択ツール]を選択して、作成したギザギザ模様をすべて選択します。
❷[コマンドバー]の[選択オブジェクトをグループ化]をクリックしてグループ化します。
❸[選択ツール]の[ツールコントロールバー]で幅と高さの間にある鍵のアイコンをクリックします。
サイズ変更の縦横比が固定されます。
❹[幅]を「216」に設定します。
❺ギザギザ模様全体の幅が216mmになりました。高さは縦横比が変わらないよう自動調整されます。
❻[選択ツール]でピンクの帯の近くに移動してから、[ズームツール]を選択して、配置箇所を拡大表示します。
❼[スナップコントロールバー]の[ノード、パス、およびハンドルをスナップ]と、❽[矩形の角を含むシャープノードをスナップ]をクリックしてオンにします。
❾[選択ツール]でドラッグし、ピンクの帯の角に合わせます。
❿ギザギザ模様が付いたピンクの帯が作成できました。
[スナップコントロールバー]の[ノード、パス、およびハンドルをスナップ]と、[矩形の角を含むシャープノードをスナップ]のチェックは外して元に戻しておきます。
⓫[レイヤー]ダイアログを表示して、うっかり写真や帯を操作してしまわないように、「img」レイヤーの鍵のアイコンをクリックしてロックします。
次回予告
本記事“第1回:写真にギザギザ模様の帯を加えよう”の続きとして、明日は“第2回:アーチ型のタイトル文字を作成しよう”を掲載しますのでお楽しみに!