短期集中連載

10年を超える定番クリーナー「CCleaner」を10倍使いこなす 第2回

「Internet Explorer」の不要ファイル・レジストリエントリをクリーニング

「CCleaner」
本連載での動作検証には、プロセス監視ツール「Process Monitor」を利用した

 本連載では、定番クリーニングソフト「CCleaner」の機能を紐解き、各項目が実行しているクリーニングの対象を詳細に解説していく。第2回は「Internet Explorer」に関する項目の具体的な内容を紹介しよう。

 なお、今回から「CCleaner」がどのようなファイル・レジストリを削除するのか具体的に解説していくが、削除内容の検証はWindows 8.1およびIE11での動作を規準とし、Windows Sysinternalsのプロセス監視ツール「Process Monitor」を利用して検証作業を行った。

「Internet Explorer」の不要ファイルを削除

 最近はWindowsの標準Webブラウザーである「Internet Explorer」(以下、IE)を使わず、サードパーティ製のWebブラウザーを使っている方も少なくないだろう。だが、OSのインターネットアクセス機能はIEのコンポーネントを使うため、「Google Chrome」や「Firefox」を使っていても、IEに関する不要なファイルは溜まるのだ。

 そもそもWebブラウザーはWebページを表示させるため、HTMLファイルや画像ファイル、JavaScriptファイルなど数多くのファイルを受信し、レンダリングを行っている。そのため、不要ファイルが溜まりやすく、日々のメンテナンスとして多くのユーザーが一時ファイルの削除に取り組んできたのはご承知の通り。

 だが、たとえばCookieはWebページの設定情報などを格納することもあるため、すべてを削除するのは必ずしも得策ではない。Cookie以外にも、ダウンロード量を軽減するためのインターネット一時ファイルや、フォームへの入力履歴といった各項目が、どのファイルやフォルダ、レジストリエントリに保存されているのか把握するのはトラブル対応の役に立つ。

 これをふまえて以下、「CCleaner」の削除項目のうち“Internet Explorer”カテゴリー以下にあるものを見ていこう。

インターネット一時ファイル

“インターネット一時ファイル”項目では、“%LOCALAPPDATA%\Microsoft\Windows\INetCache”フォルダなどのファイルを削除する

 同カテゴリーの項目は“インターネット一時ファイル”から始まり、ここではWeb表示時に必要な一時ファイルを対象にクリーニングを行う。対象となるのは以下のフォルダで、リストに含まれる“%LOCALAPPDATA%”は通常“C:\Users\{ユーザー名}\AppData\Local”フォルダを指す環境変数だ。

  • %LOCALAPPDATA%\Microsoft\Feed Cache
  • %LOCALAPPDATA%\Microsoft\Windows\INetCache\IE
  • %LOCALAPPDATA%\Microsoft\Windows\INetCache\Low
  • %LOCALAPPDATA%\Packages\windows_ie_ac_001\AC\AppCache

 ただし、OSによって対象フォルダは一部異なり、Windows 7+IE11およびWindows 8+IE10の場合は“%LOCALAPPDATA%\Microsoft\Windows\Temporary Internet Files”フォルダが対象となる。また、IE10からはインターネット一時ファイルを“%LOCALAPPDATA%\Microsoft\Windows\WebCache”フォルダでも管理しているが、「CCleaner」の執筆時現在のバージョンでは削除対象に含まれなかった。

履歴

 “履歴”はユーザーがIEで訪れたWebページの閲覧履歴情報(URL、アクセス日時など)を削除する項目だ。対象フォルダは“%LOCALAPPDATA%\Microsoft\Windows\History”や“%LOCALAPPDATA%\Microsoft\Internet Explorer\Recovery\Last Active”、および“%LOCALAPPDATA%\Packages\windows_ie_ac_001\AC\INetHistory”フォルダ。フォルダによって格納内容は異なるが、“Last Active”フォルダの場合は、固有のIDを名前にもつバイナリファイルが複数格納されており、この一部が削除対象となる。

 IDはレジストリエントリ上にも存在せず、ランダムに生成されるようだ。「Firefox」などと異なり、IEの履歴保持期間は初期設定で20日間のため、履歴を溜め込んでも著しくパフォーマンスが低下するわけではない。だが、履歴を参照する機会が少ない方は削除対象に加えた方がいいだろう。

“履歴”項目では、IEが管理するWebの閲覧履歴情報を削除する
対象となるのは“%LOCALAPPDATA%\Microsoft\Internet Explorer\Recovery\Last Active”フォルダ内のファイルなど

クッキー

“クッキー”の削除では、“%LOCALAPPDATA%\Microsoft\Windows\INetCookies\Low”フォルダ内のテキストファイルなどが削除対象となる

 “クッキー(Cookie)”は前述したようにWebサイトとクライアント間で保持すべき情報を格納するテキストファイルだ。IEの場合、“%LOCALAPPDATA%\Microsoft\Windows\INetCookies”や“%USERPROFILE%\AppData\LocalLow\Microsoft\Internet Explorer\DOMStore”フォルダが対象。なお、“%USERPROFILE%”は通常“C:\Users\{ユーザー名}\”フォルダを指す環境変数だ。Cookieは各フォルダに8桁の英数字を名前にもつファイルとして保存されており、これらすべてが削除対象となる。

 Cookieの利用は利便性を向上する一方、セキュリティやプライバシーの問題も付きまとうのは有名な話。Cookieに保存されたユーザー名やパスワードを利用したなりすまし行為や、Cookie情報を元に異なるWebサイトでの閲覧履歴を把握するトラッキング行為が問題視されている。

 そのため原則としてすべてのCookieを削除対象とし、特定のWebサイトが発するCookieを保存したい場合は、第1回でも紹介した“オプション”の“クッキーリスト”で除外リストに追加しておくのが無難だ。

入力したアドレスやパスなど

 “入力したアドレスやパスなど”は、IEのアドレスバーに直接入力したURLやパスを削除するための項目。こちらはファイルではなく、レジストリの“HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Internet Explorer\TypedURLs”キーに格納された各文字列値を削除するというもの。IEには同履歴情報やお気に入りの登録情報などを用いて、URLタイプ時に情報を列挙する機能が備わっている。ここに不要な情報がある場合は、クリーニングの対象項目として加えると便利だろう。

“入力したアドレスやパスなど”項目では、“HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Internet Explorer\TypedURLs”キーの各文字列値を削除する
アドレスバーに任意のキーワードを入力した際、先頭に示されるのが“TypedURLs”キーで管理する履歴情報だ

Index.datの削除

 “Index.dat”は、IEの検索クエリやCookieなど各種データベースをバイナリファイルとして保持し、IEの動作を高速化させるために導入された仕組みの1つである。だが、IE11では使われていない。

 Windows 8.1上で動作を観察すると、“%APPDATA%\Microsoft\Windows”フォルダ下の“PrivacIE”や“IECompatCache”、“IETldCache”フォルダに対してクリーニングを行っていた。なお、“%APPDATA%”は通常“C:\Users\{ユーザー名}\AppData\Roaming”フォルダを指す環境変数である。つまり、項目名は“Index.datの削除”だが、IE10/11をインストールした環境では、従来の“Index.dat”に類するファイルを削除しているのだ。

保存場所

 多くのアプリケーションが利用するコモンダイアログでは、最後にファイルを保存したフォルダをレジストリ上に保持している。「CCleaner」の“保存場所”は、その保存先である“HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Explorer\ComDlg32\LastVisitedPidlMRU”キーにあるバイナリ値“MRUListEx”や、履歴情報となる各バイナリ値をクリーニングする項目だ。

フォームへの入力履歴

 “フォームへの入力履歴”は住所や名前といったWeb上のフォームに対して入力した履歴を削除するというもの。レジストリの“HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Internet Explorer\IntelliForms”キーには、“FormData”キーや“Storage1”キーが存在し、入力した文字列がバイナリ値で格納されている。

保存されたパスワード

 “保存されたパスワード”項目は、オートコンプリートで利用する入力済みパスワードが削除対象。実行すると、レジストリの“HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Internet Explorer\IntelliForms\Storage2”キーや、“HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\WindowsRuntime\ActivatableClassId\Windows.Security.Credentials.PasswordVault”キーの情報が削除される。

 いずれの項目も、個人情報の漏洩を防ぐには削除対象に加えるべきだが、毎日のようにアクセスするWebサイトの利便性が著しく低下するため、自分の利用スタイルに応じて選択するべきだろう。

次回予告

 今回は「CCleaner」のカテゴリー“Internet Explorer”について解説してきたがいかがだろうか。次回も“エクスプローラー”について詳しく紹介するので、興味をもたれた方はぜひご覧いただきたい。

(Cactus:阿久津 良和)