今ならまだ無料!Windows 10を昔のPCに入れる手順をおさらい
Windows 7のサポート切れまで4年弱、7月末からは有料アップグレード……
(2016/5/9 06:10)
Windows 10へのアップグレードはもうすぐ有料に!
Windows 10の無償アップグレード期間は2016年7月29日までだ。
この期間を過ぎるとアップグレードは有償となり、その後、Windows 10を使いたいなら、Windows 10プリインストールの新規デバイスを購入するか、フルバージョンのWindows 10を買う必要がある、と改めて告知されている。
今はサポート期間内のWindows 7/8.1だが、当然、Windows 10より早くサポートが切れ、例えばWindows 7でも4年後、2020年1月14日には延長サポートが切れてしまう。
「サポート切れOS」はセキュリティ上大きな問題があるわけで、できることなら無償期間中にアップグレードしてしまうのが将来への投資になる筈だ。
さらに無償アップグレードの対象PCは、Windows 10にアップグレード後、元のOSに戻すこともでき、一度Windows 10アップグレードが認証されれば、無償アップグレード期間が終了した後も、再度Windows 10にアップグレードできるとされる。つまり“一度でもアップグレードしておけば、後々アップグレードする場合でも無償にできる”という寸法だ。
そこで今回、Windows 7世代のノートブックPCであるソニー“VAIO F24”を用い、Windows 7からWindows 10へのアップグレードを検証してみたい。
なお、窓の杜では、Windows 10の現状を紹介する集中連載「本当にWindows 10って使えるの?」やWindows 10を7風に使える集中連載「Windows 10を“7風”に使うワザ7選」、オンラインソフトを中心とした「対応ソフト一覧」、そしてWindows 10リリース直後の記事になるが、「Windows 10アップデートの前にシステムバックアップ」というテーマの記事群を掲載中だ。
無償アップグレードは「7月29日までに完了」する必要アリ
まずは無償アップグレードの対象をおさらいしよう。
Windows 10への無償アップグレード対象は、現在Windows 7または8.1を搭載したデバイスだ。32bit/64bitの違いや各OSのグレードは問われないが、基本的に旧OSの環境とグレードのままアップグレードされる。詳しくはMicrosoftのサイト内にあるエディション別のアップグレードの項目を確認してほしい。また、期限である“2016年7月29日”はアップグレードの完了日となっている。そのため、期限ギリギリにアップグレードするよりは余裕を持って、できれば連休のように時間のある時に試しておきたい。
なお、Windows 8に関しては少々特殊だ(*1)。セキュリティアップデートが2016年1月13日で終了しているWindows 8だが、Windows 8からWindows 10へは直接アップグレードできない。日本マイクロソフトによるサポートポリシーの記載は少々わかりにくいが、Windows 8→Windows 8.1へのアップデートは現在も提供されており、Windows 8.1を経由することで7月29日までの間であればWindows 10に無償アップグレード可能となる。
なお、手元のアップグレード対象OSは当然、ライセンス認証済みであることが必須だ。
次に必要となるのはインターネット接続環境。無償アップグレードの場合、Windows 10の本体を一度ダウンロードしてから実行する形をとる。この点で、アップグレード対象のPCに、Windows 10をダウンロード&インストールできるだけの空き容量が必要だ。旧OS環境はバックアップという形で移行後も残される。ちなみに、この旧OSのバックアップデータは、移行後、ディスクのクリーンナップなどを実行してしまうと消去されてしまう可能性がある。“安易にクリーンナップできないこと”という視点でも、十分な空き容量が必要だ。最近のPCはストレージにSSDを採用されていることも多く、それが64GBや128GB程度である場合は、まずデータファイルのバックアップや、一時的なプログラムファイルのアンインストールなどで空き容量を確保することから始めなければならない。
アップグレードに際して容量が足りない場合のトラブルシューティングに関しては、Microsoftの資料が参考になる。
続いて、Windows 10へのアップグレードして問題が生じないかどうか、事前に簡単な確認を行っておきたい。
この作業はMicrosoftが提供するアップグレード用ツールを利用する。Windowsアップデートを自動実行する設定のPCであれば、タスクトレイにWindowsロゴのアイコンが表示されているだろう。これはWindowsアップデートの「KB3035583」を導入することで表示されるようになる。これをクリックすると、[Windows 10 を入手する]というタイトルのウィンドウが開く。[今すぐアップグレード]と[ダウンロードを開始し、後でアップグレード]というボタンはアップグレードを行うためのものなので、ここではその下の4つのチェック項目を確認したい。
互換性に関してチェックが必要なのは、左上のチェック項目だ。
ここにチェックが表示されていれば、互換性ありということになる。その上で、“レポートの表示”という下線付きリンクがあるので、ここをクリックしたい。クリックすると表示が切り替わり、[ご使用のPC](画面左、PCのハードウェアに関する互換性についてのチェック)および[アプリとデータ](画面右、PCのソフトウェアに関する互換性についてのチェック)という項目が表示される。これにより、アップグレード時にトラブルが生じないかどうか、事前に確認できるわけだ。すべてに緑のチェックが表示されているかを確認しておこう。
また、アップグレードに際し、旧環境がバックアップされるとはいえ、完全に元に戻せるのかどうかという不安がある。アップグレードの前に旧環境のバックアップをとっておけばより安心だ。バックアップに関しては、OS純正のツールでもよいし、フリーソフトや有償のソフトでもよいだろう。この点で、外付けのデータドライブ(HDDやUSBフラッシュメモリなど)の用意があれば、移行作業をよりスムーズに行うことができる。
*1 お詫びと訂正:記事初出時、Windows 8からWindows 8.1へのアップデートに関する表記に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。(編集部)
いざアップグレード!……の前に“今すぐ”と“後で”の違いを知ろう
アップグレード作業は、先にも紹介した「Windows 10 を入手する」アプリで可能なほか、何らかの問題でこれが表示されない場合でも、Microsoftの“Windows 10 を入手する”サイト内の“今すぐアップグレード”または“ツールを今すぐダウンロード”からダウンロードを行い実行すれば可能だ。アプリから、そしてサイトからダウンロードしたファイルから、どちらを利用してもよい。
さて、“今すぐアップグレード”と“ダウンロードを開始し、後でアップグレード”という2つの方法があるのだが、これの説明をしておこう。
まず、前者は必要なファイルをダウンロード後、そのまま実行される。一方、後者は、アップグレード前に一度必要なファイルをダウンロードしたうえで、ブータブルのUSBフラッシュメモリまたはISOファイル形式(これをDVDなどのメディアに書き出せばDVDドライブからインストールできる)としてファイルに残しておける方法だ。
後者であれば、アップグレード用のファイルを残せるので、たとえば無償アップグレード対象のPCが複数台ある場合などで時間の節約にもなる。必要となるUSBフラッシュメモリの容量に関しては“少なくとも3GB必要”とあるが、実際にはもう少し余裕が欲しい。
今回の“VAIO F24”でWindows 7 Professional SP1 64bit版の環境を構築したうえで、Windows 10へのアップグレードを試みた。
アップグレード方法は、タスクトレイに表示される「Windows 10 を入手する」アプリの[今すぐアップグレード]ボタンから行うこととした。
いちおう、ほかの方法ではWindows 10をダウンロードするまでの表示が異なる場合もあるようだ。確認した限りでは、今回の環境と手法ではWindows UpdateからWindows 10をダウンロードしたが、Microsoftサイトの“今すぐアップグレード”から実行ファイルをダウンロードしそこからアップグレードする場合は、青い背景のウィンドウが開き、そこでWindows 10をダウンロードしていた。ただし、どの方法でもアップデートプロセス部分に関しては共通のようだ。
起動速度/体感速度とも向上新UIに慣れないうちは“検索”を活用しよう
さて、Windows 7は当然スタートメニューがあり、Windows 10もスタートメニューがある。一度Windows 8でスタートメニューが廃止されたわけだが、その意味でWindows 7から10への移行は、Windows 7から8への移行の際よりは戸惑いが少ないかと思う。
ただし、Windows 10ではUIの詳細に関してかなり手が入っており、PCの設定に関しても、従来のコントロール パネルに加え、スタートメニュー内の“設定”も用意されている。この2つに分散しているものもあるので、やや複雑に感じることもある。画面の解像度設定なども、デスクトップ上で右クリックしたメニュー内にあるわけではなく、一度同メニュー内の“ディスプレイ設定”を開き、そこにある“ディスプレイの詳細設定”に進む必要がある。
なぜ分割したのだろうと疑問に思うところは多々あるが、これがWindows 10のデザインポリシーなのだろう。ただし、直感的に見つけられる範囲ではある。
なくなってしまったというわけではないので、2つのPCの設定画面やそれぞれの作業でクリックして表示される画面に“詳細”と書かれた箇所がないかをひとつひとつ把握していけば見つかるはずだ。その上でどうしても分からない場合は、検索窓、あるいは「Cortana」を頼るのがよいだろう。特にここ数年のWindowsでは、検索をうまく活用することで目的の機能にすばやくアクセスできるようになっている。たとえば「ペイント」を呼び出す場合、検索窓に日本語で「ペイント」あるいは「mspaint」と入力すればよく、あるいは「ペ」だったり「msp」と数文字入力するだけで候補が絞り込まれる。Windowsのメジャーアップデートでは、UIの大幅な改変があるわけで、その度に『新UIに慣れない』という話を聞く。慣れることは大変であることは事実だが、検索のようにコツを覚えてしまえば、UIすべてに慣れる必要はない。
さて、パフォーマンス面ではWindows 10は特に起動が高速化している。たとえば電源投入からデスクトップの表示までは素晴らしく高速だ。これはWindows 7からのアップグレードならWindows 8.1からよりもより感動できるだろう。
【起動速度の比較】 | 1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 |
---|---|---|---|---|---|
Windows 7 | 1分04秒 | 58秒 | 1分00秒 | 1分00秒 | 59秒 |
Windows 10 | 1分06秒 | 30秒 | 23秒 | 23秒 | 23秒 |
Windows 7側はWindows Updateの都合、すでに何度か再起動を繰り返した後であるため、おそらく最適化済みの状態だが平均で1分あたりだ。一方、Windows 10はアップグレード直後から計測した。初回こそ1分を超えているが、2回目で30秒まで半減し、3回目以降は23秒前後で安定した。Windowsでは起動を繰り返すことでプロセスの最適化が進む。Windows 10も初回の起動には時間がかかるので、ここで『Windows 10は遅い』と感じてしまうことがあるかもしれないが、2~3回繰り返せば一気に短時間になる。Windows 10は、アップグレードから数回起動終了を繰り返し、落ち着いたところで評価するのがよいだろう。
なお、Windows 7はデスクトップ表示から起動音がするまでプラス10秒前後、Windows 10はデスクトップ表示後も10~20秒程度砂時計(すでに砂時計マークではないが)が回るものの、アプリケーションの起動などの操作は可能だった。これを考慮しても、Windows 10のほうが起動の待ち時間は短い。ほかにも、エクスプローラーの起動およびファイルの表示もすばやい。ちょうどWindows 7から8へのタイミングでエクスプローラーが改善されているためだろう。Windows 8.1から10へのアップグレードではあまり違いを感じられないが、Windows 7から10では顕著に感じられる。
最後にWindowsエクスペリエンスインデックス値を確認しておこう。そもそもWindows 7と10のWindowsエクスペリエンス値に互換性があるのかという問題があるので、点数の紹介だけにしておこう。とりあえず、いくつか数値が大きくなっている箇所もあるが、基本的には似たような範囲にあるとは言えるだろう。
「良いタイミング」でのアップグレードが重要
Windows 10のアップグレードステップはこのような流れだ。
検証はいくつかアプリケーションを導入している環境とはいえ、クリーン状態に近いため、なんのトラブルもなく進んだ。ただし、使い込んだ環境では、先に解説したとおり互換性の確認や、事前のバックアップのような万全の体制で臨みたい。
また、すでにアップグレードを試み、その上で旧環境に戻した方も、そろそろもう一度アップグレードを試みてもよいだろう。Windows 10になって以降、SP1のようなバージョンがなくなり、アップデートが随時行われることになったため、名称はWindows 10のままだがすでにかなり広範囲でアップデートが行われてる。そのなかで以前トラブルが生じた点でも、改善されたものがいくつかあることも考えられる。
OSのアップグレードはタイミングがある。まさに現在のようにOS移行コストを節約できる期間が用意されているわけで、これを逃せばコストがのしかかる。さらに移行を渋ればWindows 8のようにセキュリティアップデートが打ち切りとなりセキュリティ問題を抱え込むリスクも生じる。より古いWindows XPではOS、ハードウェアに続きソフトウェアのサポートでも打ち切りが進んでいる。コストとリスク双方の点から、よきタイミングでアップグレードしていくことが重要と言えるだろう。