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~4小節(くらい)ずつ作るオリジナルソング~
【最終回】
オリジナルソング完成!! そしてケケ中の運命は……!?
(01/12/21)
ケケ中とモッティ
オンラインソフトでオリジナルソングを作曲、録音して、全世界に発信しちゃいましょう、ったらしちゃいましょうというこの企画もいよいよ最終回!
東大阪から単身上京してきたちょっとおマヌケな歌手志望の青年「ケケ中」の人生をゆっくりと狂わせながらゆっくりアバウトに作ってきたが、果たしてケケ中は本当にデビューできるのか!? っつーより、ケケ中はどこいったのよ????
何ごともなかったかのようにミックス作業は進む
前回、ボーカル&ギターの録音という最大の正念場で失踪したケケ中だが、その後関係者の前に姿を現さないどころか電話もない。しかし、ここでウダウダしていても仕方がないからオリジナルソング公開に向けてとっとと作業を進めてしまおう。
WAFファイルは1チャンネルにつき1ファイルになる
まずは、作成したMIDIファイルを「Music Studio Standard」で開いておこう。今回使ったのは、第8回で配布したMIDIファイル「olsdebut-08.mid」にギターを加えたり、細かな調整をしたものだ。MIDIファイルを開いたら、フランクン古田氏からもらったボーカルとギターのWAVEファイルを「MusicStudio Standard」に取り込む。「Music StudioStandard」では、オーディオデータを“WAF”という独自フォーマットのファイルで扱っている。このためWAVEファイルは[ファイル]-[Wavファイルのインポート]で変換しておく必要があるのだ。初回インポート時にはその曲(プロジェクト)で使用するフォルダのパスを設定する必要もある。WAFファイルはソースのWAVEファイルがモノラルならば1つ、ステレオならば2つ作られ、自動的にプロジェクトのオーディオエントリーに追加される。[ウインドウ]-[オーディオエントリー]を表示させるとインポートされているのがわかるはずだ。
クリックで全体が、ドラッグでその範囲のみが貼り付けられる
さて、ここからMIDIの演奏と録音されたオーディオのミキシング。[ウインドウ]-[オーディオトラック]にWAFファイルを並べていこう。今回はボーカルもギターもMIDIの1小節目を先頭に録音されているから面倒なことを考えずにオーディオトラックにペタリと貼り付ければいい。オーディオトラックウィンドウ右上にある鉛筆のアイコンをクリックすると、オーディオエントリーに取り込まれているWAFファイルをオーディオトラックに貼り付けるモードになる。そこでトラックの先頭をクリックしてやればトラックへの貼り付け完了だ。各トラックの「Pan」の値はそのトラックの左右の音量バランスを表している。-256だと左チャンネルのみ、256だと右チャンネルのみとなっている。WAFファイルは「Ch1」と記されている方は左チャンネル、「ch2」が右チャンネルだから、各トラックのPanの値を変更しておこう。今回、ボーカルはモノラルだが、左右別々のエフェクトをかけるため1つのWAFファイルを2つのチャンネルに並べてある。
この時点で再生ボタンを押すと、MIDIとオーディオがミックスされて再生される。音のズレがないか確認したら、MIDIの演奏もWAFファイルへと録音してしまおう。すべてのパートを一斉に録音してもいいけど、ドラム、ベース、ピアノ、オルガン、ギターの各パートを個別に録音しておくと、後でそれぞれに異なるエフェクトをかけることができるぞ。MIDIトラックで、録音したいパートの「S」ボタンを押して、そのトラックだけが演奏される状態にしたら、オーディオトラックウィンドウの未入力トラックの「R」ボタンを押して、メニューバーの下にある「Audio」ボタンを押せば録音開始。オーディオトラックは左右のチャンネルが別々だから、各トラックごとに2トラックを録音することを忘れないように。この作業を繰り返して、パートごとにWAFファイルに録音するという作業を繰り返す。
各オーディオトラックには5つまでのエフェクトがかけられる。作者のホームページではプラグインエフェクトもダウンロードできる
続いてエフェクトだ。各トラックにエフェクトをかけるには、オーディオトラックウィンドウの左上にある「EFF」ボタンを押す。前回、フランクン古田氏の教えにもあったように、ベースにはリバーブ系のエフェクトをかけないようにしておく。ボーカルには左右パラメーターを変えたちょっと強めのコーラスをかけておいた。
トラックダウンでマスター完成! お好きなメディアに……
すべてのオーディオトラックにエフェクトをかけ終えたら、ここで一旦再生してみよう。気が済むまでエフェクトや各オーディオトラックの音量を調節しよう。調整が済んだらこれらのトラックの音を左右1つずつのトラックにまとめるぞ。トラックダウンだ。まず念のためトラックウィンドウですべてのMIDIトラックを「M」ボタンでミュートしておく。さらに、ミックスしたいすべてのオーディオトラックで、再生を表す「P」ボタンが押されているかを確認する。新たに2つのトラックでRボタンを押し「Input Device」リストボックスから、「Bus」の下のほうにあるサウンドカードの名前の項目を選ぼう。サウンドカードが1つしかついていないマシンの場合は、17番と18番にあるはずだ。これで、Pボタンが押されているすべてのトラックの音が2つのトラックにまとめられる。
オーディオエントリーウィンドウでトラックダウンされたWAFファイルを選択して、「WAF→WAV」ボタンを押すだけ。メディアプレイヤーなどのソフトで音が歪んでいないかなどのチェックをしておこう。
音の歪みなどがなければ、それがマスターのWAVEファイル。ついに完成だ。「Music Studio Standard」の標準設定では16ビット44KHzのWAVEファイルが生成されるので、これをマスターにして音楽CDを焼いて配布してもOK。
さてさて、この企画の趣旨はインターネット上でのオリジナルソングの配布だ。ネットで音楽を流通させるためにはそれに適したメディアフォーマットにエンコードしなければいけない。ネット上の音楽の主流といえばMP3。それに“Windows Media Avdio”や“RealMedia”もメジャーどころだ。しかし、こういったフォーマットに関してはいろんなところで語り尽くされているので、ここではモッティオススメのメディアフォーマットを紹介する。
「SoundVQエンコーダー」は、曲の配布用Webページの雛型を作るウィザードも装備
それは、ヤマハの「SoundVQ」だ。NTTが開発した高圧縮率、高音質の「TwinVQ」技術をもとにしたフォーマットで音楽配信にぴったり。プレイヤー、エンコーダーともにWindows版とMacintosh版が配布されている。エンコーダーは1ファイルずつのエンコード、複数ファイルの連続エンコードに加えて、PCのサウンドデバイスからの入力をライブでエンコードすることもできる。SoundVQのファイルを配布するページを作るための「ウェブページウィザード」機能もついていて便利だ。
また、SoundVQを使ったネット音楽コミュニティも存在する。「music-eclub」(http://www.music-eclub.com/ )内の「プレイヤーズ王国」だ。会員登録すると自分のページを持つことが可能で、自由にMIDIやオーディオの作品を発表できる。プレイヤーズ王国には専用のエンコーダーもあり、SoundVQ方式でエンコードしたあとに自動的に作品登録ができる。DTMで作品を作ったんだけど発表する場がないなぁ、という人には特にオススメだ。
カラオケにもなってるよ! みんなで歌って!!
さらにさらにうれしいお知らせが舞い込んだ。この曲のメロディを作るときに活用した「ソング頼太」の開発元ダイナシステムのご好意で、同社がソフト開発に携わっているインターネットカラオケサイト「カラオケパークうたきち」(http://karaoke.utakichi.co.jp/ )がこの曲のカラオケデータを作って配布してくれることになった!! ……って、まだ曲のタイトルが決まってなかったね。えーとえーと……。
「水の夢」!
ちと安直だけど、誰が何と言おうとコレでいく!
「カラオケ先生」は採点機能のついたカラオケソフト。100点を目指せ!
「カラオケパークうたきち」は、Webサイトからカラオケデータとフリーソフト「カラオケ先生」をダウンロードして、カラオケの練習ができるサービスを行っているサイト。メロディに合わせて歌詞が表示されるのはもちろんのこと、「採点機能」もついているぞ。ケケ中(のゴーストシンガーのモッティ)よりもうまく歌えるぞ! という自信のある人はガンガン歌って100点を目指してほしい! さらに、サイトでは採点結果のランキングも開催されているので、みんなで競ってみてもいいかもしれない。
ということで、カラオケ用のデータファイルを用意した(sn29993.exe)ので、みんなで歌ってほしい! このデータは「カラオケパークうたきち」サイト内の『「うたきちプロデュース」オリジナル曲』コーナーからもダウンロードできる。
さて、曲のタイトルがついたところでオーディオデータの正式発表。MP3とSoundVQの2つのフォーマットでエンコードした。(olsdebut.mp3、olsdebut.vqf)ぜひプレイヤーのプレイリストに登録していただきたい!!
……で、残るはケケ中だ。本当にどこにいっちゃったんだろう。いろいろとつらくあたったこともあったからなぁ。それとも自分の音楽的な才能のなさに気付いちゃったのかなぁ……。悪いことしちゃったなぁ。
と、そこに聞き覚えのある声が近づいてきた。ケケ中だ。
モッティ:
「ケケ中! どこいってたんだ~!!」
ケケ中:
「お、モッティはん、確か今日でしたなぁ、録音。ワシの才能ならもう練習せんでもバッチシやと思うて、ちょっと実家に服を取りに行ってたんですわ。ずーっとアロハやと寒うてかなわんで? ガハハ。でもアレでっせ、もう年の瀬やから街中どこ歩いとってもジングルベルですわ。そんなときに夏の歌ってのも変でっしゃろ。冬の歌、それもゲレンデに似合うようなウィンターリゾートの曲とかどうでっか??」
モッティ:
「もうええわ」
(完)
今回使用したオンラインソフト
(文:モッティ 監修:フランクン古田)
記事中の楽曲制作者は望月 貞敏氏です。著作権は同氏に帰属しますので、こちらのファイルの無断転用・転載は著作権法違反となります。