NEWS(10/05/18 15:02)

“合議アルゴリズム”を搭載した「Bonanza」の後継ソフト「Bonanza Feliz」が公開

並列実行された複数の「Bonanza」が次の着手を“合議”で決める

「Bonanza Feliz」v0.0「Bonanza Feliz」v0.0

 将棋ソフト「Bonanza」の後継となる「Bonanza Feliz」が、11日に公開された。Windows Vistaに対応するフリーソフトで、編集部にてWindows 7でも動作を確認した。現在、作者のWebサイトや窓の杜ライブラリからダウンロードできる。なお、無断で営利利用することは禁止されている。

 「Bonanza Feliz」は、第16回世界コンピュータ将棋選手権(以下、選手権)で優勝した将棋ソフト「Bonanza」をベースに思考ルーチンの改良を施すとともに、“合議アルゴリズム”と呼ばれる手法を取り入れている。

 “合議アルゴリズム”とは、複数の思考ルーチンによる判断を加味して着手を決定するアルゴリズム。具体的には、乱数によって指し手の評価関数をばらつかせて個性をもたせた「Bonanza」を複数生成し、それらの多数決により次の指し手を決定する。生成されたそれぞれの「Bonanza」は並列処理が可能で、複数のPCを繋いでクラスター化させることもできる。

 同アルゴリズムを初めて応用し第19回選手権に臨んだ将棋ソフト「文殊」は、8コアのCPUを搭載したPC3台を利用して4コアにつき1つ、合計6つの「Bonanza」を並列実行させることで“合議”を行い、本家「Bonanza」の5位を凌ぐ3位を獲得した。

 「Bonanza Feliz」は、「Bonanza」にこの「文殊」を取り込んだもの。「文殊」の合議アルゴリズム自体も改良が進んでおり、複数の「Bonanza」により提出された候補手の単純な多数決ではなく、その評価値の合計がもっとも高い候補手を選び出す“楽観的合議アルゴリズム”が採用されているという。

【著作権者】
保木 邦仁 氏、小幡 拓弥 氏、杉山 卓弥 氏、伊藤 毅志 氏
【対応OS】
Windows Vista(編集部にてWindows 7で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト(非営利利用のみ)
【バージョン】
0.0(10/05/11)

(柳 英俊)