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Embarcadero、「RAD Studio」「Delphi」「C++Builder」の新版「13 Florence」を公開
Delphi言語に三項の条件演算子、C++開発では「C++ 23」に対応
2025年9月16日 15:52
米Embarcadero Technologiesは3月14日(現地時間)、統合開発環境「RAD Studio」の最新版「RAD Studio 13 Florence」の提供を開始した。「Delphi 13」、「C++Builder 13」とともに、30日間無料で試用できるトライアル版も提供中。
「RAD Studio 13 Florence」では、64bit版Windows環境をターゲットとしたフル機能の64bit版統合開発環境(IDE)を追加。「RAD Studio 12.3 Athens」では“初期リリース”としてオプション提供されていたが、本バージョンではコア機能として初期インストールされる。品質も向上しており、「Visual Assist」によるC++向けコーディング支援、COM、ActiveX、タイプライブラリのサポート、ライブテンプレート、サラウンドメニューなどが追加された。従来からある32bit版「RAD Studio」も引き続き併用できる。
また、Delphi言語の仕様も拡張。「if」キーワードを利用した三項の条件演算子に加え、「NameOf」組み込み関数、新しいコンパイラーディレクティブ({$PUSHOPT}、{$POPOPT})、レコードクラス演算子「Initialize」および「Finalize」における暗黙的な「Self」パラメーター宣言、「is not」および「not in」演算子、プロシージャー宣言のための「noreturn」ディレクティブ、ジェネリック型への追加制約などが新たに導入された。
C++開発においては、Win64モダンコンパイラーが「Clang 20」へアップデートされた。これで「C++ 23」仕様のC++言語が利用可能になる。
さらに、開発アプリにAI機能を簡単に組み込める「SmartCore AI Component Pack」がパッケージ管理システム「GetIt」で提供されるようになった。ドライバーを切り替えることでさまざまなAIエンジン(OpenAI、Claude、Gemini、Ollamaなど)を利用できる。
そのほかの改善は、以下の通り。
- RAD Studio向けにカスタマイズされたチャットボット「RAD AIコンパニオン」をWebで提供
- WebBrokerとWebStencilsの改善
- パッケージ管理ツール「GetIt」で特定バージョンのパッケージを選択できるように
- プロジェクト マネージャ、構造ビュー、メッセージペイン、イベントログなど、多くのIDEペインに、カスタマイズ可能な検索機能が追加
- Windows APIのクリーンアップや、WinRT API/WinAPI/WinMDプロジェクションのアップデート、TEdgeBrowser向けのWebView2コントロールのアップデートなどを実施
- GUIライブラリ「VCL」、「FireMonkey」を拡充
- データベースエンジン「FireDAC」の強化
- LSP(言語サーバープロトコル)ベースの新しいコード補完エンジンではなく、従来のクラシックな「Delphi CodeInsight」エンジンも再び利用可能に
なお、フリーランス開発者、スタートアップ、学生向けに無償で提供されている「Delphi 12」「C++Builder 12」の「Community Edition」(CE)は、まだv12.1のままだ。