生成AIストリーム

“生成AI作品の歴史”をつくる人が集結中! あなたも参加しませんか

「国際AIクリエイターアワード2026」

生成AIによる成果がタイムラインを流れていく

 「Claude Code」や「ChatGPT」、「Codex」など数多くの生成AIサービスのおかげもあって、日々、生成AIでつくられた静止画・動画・ゲームやツールといった作品がX(旧称Twitter)のタイムラインを流れていきます。『すごいな』『これは新しい』『どうやってつくったのだろう』と心が動きますが、Xのタイムラインではそのまま、その驚きが流れていってしまいます。このような技術が当たり前になった後も、誰かに伝わるでしょうか。

 この連載「生成AIストリーム」も早いもので4年、50回の連載になりつつあります。

生成AIストリーム 2026年 記事一覧

 そういえば「窓の杜」も30周年です。AIが道具だとして“道具”やそれを使って作られた“作品”や“業務”といった成果そのものが残っていても、なぜ当時の人がそれを『面白い!』と感じたのか『価値がある!』と感じたのかまでは、なかなか残りません。生成AIの変化を日々追っていると、なおさらそう感じますし、今日の最先端が、半年後、数カ月後には『当たり前』になっている……。そのスピードが加速しているストリームにおいて、このような連載やメディアでの視点や世相を書き残しておくことは大変に意味があります。

 筆者が実行委員長を務める「国際AIクリエイターアワード2026」はそんな視点から『生成AIによる成果を歴史に残す』という視点で作品を公募しています。応募分野は10分野、以下のような構成です。

「国際AIクリエイターアワード2026」応募分野
  1. SERVICE:サービス分野(生成AIサービス/プロダクト)
  2. COMMERCIAL FILM:商用映像分野(映画/配信作品/ドラマシリーズ/VFX)
  3. INDEPENDENT FILM:インディペンデント映像分野(個人制作/短編映画/映像作品)
  4. CHARACTER / WEBTOON:キャラクター分野(キャラクター/イラスト/漫画/ウェブトゥーン)
  5. MUSIC / MV / DANCE:音楽・パフォーマンス分野(楽曲/MV/ダンス/バーチャルアイドル)
  6. AD / BROADCAST:広告・放送分野(広告/PV/放送/SNS映像/インフルエンサー/空間演出)
  7. PUBLISHING:出版分野(書籍/雑誌/ZINE/デジタル出版)
  8. GAME / TOOL / APP:ゲーム・ツール分野(ゲーム/クリエイティブツール/アプリ)
  9. EVENT / XR:イベント分野(映画祭/イベント/見本市/メタバース)
  10. OPEN:オープン分野(科学技術研究/既存の9分野のどれにも当てはまらない作品)

 画像や映像だけでなく、生成AIによるクリエイティブにも多様な分野があるということが認識していただけると幸いです。皆さんが開発したAIならではのツールやゲームといったエントリーも、まだ間に合います。

すでに222作品がエントリー!

 2026年10月14日時点で、14の国と地域から127名、222作品が届き、10分野すべてに応募が揃いました。第2期の一般公募の締切は、10月15日(Anywhere on Earth/AoE基準)つまり、日本時間では10月16日20時59分59秒までです。まだ間に合います。

 まだ出していない作品がある方は、ぜひ応募を検討してください。ギャラリーを見て『僕はもっとすごい作品を作っている』『自分はもっと前から、この表現に取り組んでいた!』と感じたなら、その作品を、いま!残してほしいと思います。2025年から2026年の作品を収蔵できるのは今年しかありません。

 今後は、提携団体からの推薦受け入れ、フォーマット修正などの応募作品の資格確認を経て、10月26日〜11月15日の一般公開投票へ進みます。10分野それぞれに1票ずつ投票できます。

 好きな分野や自分の作品だけでなく、ぜひほかの分野にも目を向けてください。次に一緒につくる相手、見習いたい作家、まだ発見されていない新人や才能に出会えるかもしれません。その後、最終審査員が各分野の作品を評価し、講評を残します。

 授賞式は11月20日(金)15:50〜16:50、 幕張メッセ の「INTER BEE IGNITION」で開催し、オンライン配信も予定しています。会場に来られない方も、末尾のリンクから「YouTube」の視聴予約をご利用ください。

 さらに先日、最終審査員9名のお名前とお顔を公式サイトで公開しました。

第1回の賞に、名前を貸すということ

 この賞は国際イベントですが、まだ歴史がありません。2026年が第1回。過去の受賞者も、誰もが知る権威や伝統もなく、その価値をこれからつくっていくところです。

 そんな賞の審査員になることは、すでに確立された賞の名簿に名前を連ねるのとは、違う決断だと思います。協賛企業・団体に参加された方々も同様です。OpenAI、ElevenLabs、TapNowといった世界のAIツールやAPI提供社、さらに一般財団法人デジタルコンテンツ協会(DCAJ)やデジタルハリウッド大学といった後援、フランス「Laval Virtual」や米国「Chroma Awards」といった海外イベント、さらに窓の杜や飛鳥出版「AI動画最前線」といったメディア企業が協賛に応じていただけました。『生成AIねえ……』と二の足を踏む企業や団体も多い中、みなさんには、それぞれ積み上げてきた仕事があり、社会的な信用があり、お忙しい日常があります。そのなかで取り組みに関心を持ち、名前と時間、そして協賛を企業・団体として取り付けてくださったこと、そして最終審査員として審美眼を預けてくださったことに、主催者として深く感謝しています。

最終審査員の皆さん

Anna Skrypkaさん――ツールの先にある文化を見る

Anna Skrypkaさん

 AI時代の「人間の側」をテーマにする東京拠点のカルチャー・スタジオ 「Augmented Society」の創業者で、「Culture Decides」の著者。「Autodesk」などでクリエイティブツールのマーケティングに貢献し、日本の製造業企業でAIプロダクト導入戦略を主導し成長させてきました。彼女のテーゼは「AIは加速させる。文化が決める。」という視点です。技術や企業の都合だけでなく、それを受け取る文化や社会に目を向け、文化こそが成長であるという実績を持つ人物です。2010年から日本在住で、日本文化にも強い関心をお持ちです。新しい技術がどのような文化を生み、人間の創造性に何をもたらすのか。産業やツールの先にある文化という観点から、作品を見ていただきたいと考えています。

Jerry Chiさん――世界のAIと製作環境の変化を知る

Jerry Chiさん

 「Stability AI」の日本代表として「Stable Diffusion」のオープンリリースに貢献し、さらに「PixAI」、「Supercell AI Innovation Lab」に携わってきた方です。世界のAIの渦中にいる視点から、完成した作品だけでなく、その背後にある技術や制作環境の変化にも目を向けていただけるでしょう。企業や投資家の視点も含め、創作を取り巻く変化を捉えていただくことを期待しています。

Matty Shimuraさん――賞を通じて創作文化を育てる

Matty Shimuraさん

 「ElevenLabs」の「Chroma Awards」を率いる、日系の名を持つフィルムアート出身のクリエイターです。「Civitai」や「ElevenLabs」で、クリエイターの次世代エコシステムを支えてきました。同じように賞をつくる立場の方に審査をお願いすることには、特別な意味があります。賞は競争のためだけでなく、創作文化を育てるためにも存在する。その視点を共有できる方だと考えています。

佐渡島庸平さん――作者の意思を受け止める

佐渡島庸平さん

 「株式会社コルク」で、「宇宙兄弟」をはじめとする数々の漫画ヒット作をプロデュースし、作家のエージェントという仕事を日本でカタチにしてきた方です。生成AI時代だからこそ、作者とプロデューサーという存在を大切にしたい。大量につくられていくAI漫画のなかで、何をつくり、誰に届け、どんな世界を描きたいのか。作者の意思を受け止める編集者・プロデューサーの視点は貴重です。

Scott Broockさん――キャラクターと人との関係を考える

Scott Broockさん

 「Totem Networks」の創業者。かつて「Illumination Entertainment」でデジタル戦略とイノベーションを担当し、「YouTube」ではVRのグローバル展開にも携わりました。VTuberをいち早く発見し、ロサンゼルスで話題にした人物でもあります。キャラクターIP、アニメーション、インタラクティブエンターテインメント、VR、生成AIと、接点の多い方です。キャラクターが動き、語り、ユーザーと関係を築く時代に、エンターテインメントの価値がどう変わるかを議論したいと思っています。

Simon Richir先生――創造性と技術を長い時間軸で見る

Simon Richir先生

 フランス国立高等工芸学校「ENSAM」(Arts et Metiers ParisTech)に所属し、XR分野の国際会議・展示会「Laval Virtual」のScientific Directorを長年務めてきました。私が20年ほど前にフランスの「ENSAM」で研究していたときからのご縁です。『メタバース』も『生成AI』も一般的ではなかった時代から、テーマパークの開発や、色・感性のデザイン、イノベーション理論、人間の創造性と技術の関係を考えてきた先生。11歳の頃からクラウン(道化師)として舞台に立ち、サーカス劇団の道化師チームを率いてきた芸人でもあります。その長い時間軸から、いま生まれている表現を見ていただきたいと思います。

髙野良和さん――表現を作品として社会に届ける

髙野良和さん

 「GROUNDRIDDIM」(グラウンドリディム)のプロデューサーで、デジタルハリウッド大学准教授です。『鉄拳4』等のCGデザイナーを経て30代から映像業界へ転身。FUJI ROCK FESTIVAL '11でのYMOのVJ演出や、藤井風『きらり』MVのプロデュースなど多彩な作品を手がけて来られました。大学では映像表現実践ゼミを通じ次世代クリエイターの育成に注力されています。生成AI作品の評価では、技術的新しさや視覚的完成度に注目が集まりがちです。しかし、ミュージックビデオやコマーシャルフィルムといった商業映像には、それだけでは超えられない価値があります。どんな人に届き、どんな文化を生むのか。表現を作品として成立させ、社会に届けるプロデュースの視点を期待しています。

三宅陽一郎先生――AIを表現そのものとして捉える

三宅陽一郎先生

 「フロム・ソフトウェア」「スクウェア・エニックス」で、ゲームAIの研究と実装を長年牽引してきた先生です。数多くの著書があり、東洋哲学の視点からAIを解説する著書でも知られています。2026年4月からは東京藝術大学ゲーム・インタラクティブアート専攻の教授に着任。AIを単なる制作ツールではなく、表現そのものを構成する技術として見る視点を、この賞に持ち込んでいただきたいと考えています。

さるどら/阿部由延さん――AITuber時代の個人開発

 「生成AIなんでも展示会」を牽引するおひとりであり、AITuberというかたちを、日本で最初に書物として手に取れる形にされた方です。キャラクターに声と振る舞いを与えたい。その一点のために、多くの人がPythonを学びはじめるという、異次元のことが起きました。企業の企画としてではなく、個人の活動として。AITuber時代の個人開発のカルチャーは、ここから広がったと思っています。いま、ゲーム・ツール・アプリの分野に集まっているのは、まさに個人が道具をつくり、キャラクターを動かし、世界を立ち上げた作品です。それを最初に広げた方に見ていただけることを、うれしく思っています。

チェア・白井暁彦―― AI時代に「つくる人をつくる」

チェア・白井暁彦

 そして私も、「AICU Inc.」の代表としてチェアを務めるとともに、審査に加わります。VR、XR、ゲーム、科学コミュニケーション、メディア、デジタルハリウッド大学大学院や完全オンラインの開志創造大学など研究・教育や出版を通した生成AIに三十年近く関わるなかで、大切にしてきたのは『つくる人をつくる』ことです。可能であれば全応募作品にコメントしていきたいと思っています。快適な作品共有の場をつくり、一般投票を通して10分野の作り手がお互いを発見できるようにする。そして、異なる立場の審査員がそれぞれの言葉で評価を残す。その歴史の1ページを編纂する責任者として、自分の判断の理由も説明したいのです。

作品を出す人も、投票する人も、歴史に参加できる

 この賞には、作品を出すほかにも関わり方があります。

  1. 作品を応募する:1作品 USD 10。第2期の締切は10月15日(AoE/日本時間16日20時59分59秒)
  2. 投票する:無料。サインインだけで、10月26日から11月15日まで、10分野に1票ずつ
  3. Award Supporter(個人協賛:USD 10。お名前がクレジットに載り、最終審査で講評を添えた票を投じられます
  4. 授賞式・交流会に来る:11月20日(金)幕張メッセ。チケット11,000円(税込・数量限定)

 Award Supporterは、このアワードへの支援者です。お一人10分野に1票ずつで、金額によって票数が変わることはありません。お支払いより先に、開催趣旨と行動規範への同意をいただいています。クラウドファウンディング的にご支援いただける方のお名前を記載させていただいております。

11月20日、幕張メッセでお会いしましょう

 メディアパートナーである窓の杜の読者に向けて、授賞式と、同日19時からの交流会に、数量限定でチケットをご用意しました。11,000円(税込)で、授賞式と交流会のご参加に加えて、AICUマガジン Vol.30「国際AIクリエイターアワード2026」が付きます。

 受賞された作家の方々、最終審査員のみなさん、協賛企業・団体のみなさんが一度に集まる日です。生成AIで何かをつくっている人同士が、タイムライン越しではなく直接会って話せる機会は、思いのほか多くありません。『あの作品、どうやってつくったんですか』を本人に訊ける夜になればと思っています。

 そして、物理参加だけではありません。オンラインや遠方の読者のみなさんも、作品の応募や一般公開投票、コメント、エモート、シェアを通じて加わることができます。心に残ったことは、どの言語でも構いません。AI時代なら、言語の違いも乗り越えやすくなっているはずです。

 生成AIを使った作品に多くの方々が抱く感想は『きれいだな』、『すごいな』といったシンプルなものかもしれません。同じ作り手であれば、『どんな人が作ったんだろう』、『何を意図して作ったんだろう』、『どれぐらいの時間や情熱をかけて作ったんだろう』という視点もありますし、その感覚は今後の作品の層や質を高めていくでしょう。コメント参加者や審査員にはこの歴史編纂に関わっていただく上での一定の責任があります。誰が、どの作品を選んだのか。それだけではなく、なぜ選んだのか。どこに価値を見いだし、何を評価し、何が残念だったのかを、建設的な言葉にして歴史に参加しましょう。

 投票は10分野すべてを見ていただきます。専門に近い分野もあれば、そうではない分野もあるでしょう。それぞれを評価し、理由を書くのは、決して軽い仕事ではありません。生成AI作品は、技術の変化とともに生まれ、流通し、ときには驚くほど短い時間で忘れられていきます。そしてこの分野、つまりビジュアルアートやクリエイティブだけでなく、ゲームやツール、サービス、業務やインフラといった分野に急速に広まっていくでしょう。だからこそ、窓の杜の読者のような皆さんが、昼間の本業とは別の名義で作ったアート作品、日曜大工で作ったツールや動画作品を歴史に残していく時期が来ています。Xのタイムラインで流れていくだけでは、その年に何が新しく、何が面白く、何が人の心を動かしたのかは、未来の人にはわかりません。

 みなさんのエモート(emojiで感想を残せます)や、各国からの審査員の言葉が残っていれば、そこから読み解けるものがあります。後の時代に評価が変わったとしても、その違い自体に歴史的な意味が生まれます。残したいのは作品だけではなく、その時代に、何が評価されていたのかという記録なのです。

作品評価の様子。どなたでも参加いただけます
エントリー作品例:「幻想いきもの図鑑」

 この作品はエントリーの一例ですが、ぼーっと見ているだけで癒されます。こんな作品もあるんだ、という感想を書いていただいたり、YouTubeのチャンネル登録やシェアをいただければ幸いです。

生成AI時代の賞の値打ちは、権威ではなく、理由の確かさで決まる

 生成AI時代は、作り手の方が消費を上回ります。これはiPodが生まれた頃の音楽で体感しています。『一生かかっても聞ききれない音楽が手のひらに』という時代が、世界中のデジタルコンテンツやゲーム、クリエイティブ全体でおきていきます。そんな時代において、視聴する人、鑑賞する人、そしてその作品に感想を書く人がいかに貴重か。

 『賞の値打ちは、権威ではなく、理由の確かさで決まる』、私はそう考えています。世界中の人々が全員同じ価値観を持つことを、私は期待していません。同じ作品を見ても、違うことを感じ、違う理由で評価する。そこにこそ意味があります。専門家の鋭い目とともに、一般の方や、専門の外にある表現から何を受け取るかも大切にしたいのです。それこそが、日本のコンテンツ市場の強みでもあります。

未来に読み返せる、最初の1ページを

 何年か後に、2026年の作品と講評を読み返した人が、『あの時代には、こんな作品が生まれ、こんな人たちが真剣にその価値を考えていたのだ』と感じられるものにしたい。そのために必要なのは、受賞結果だけでなく、選んだ理由と、それを語る人の存在です。

 まだ歴史のない賞に力を貸してくださった審査員のみなさんに、あらためて感謝します。そして読者のみなさんも、つくる、見る、選ぶ、言葉を残すという、それぞれの方法で参加できます。

 生成AI作品の歴史は、作品を保存するだけでは残りません。その価値を考えた私たちの言葉も、一緒に残していきませんか。

しらいはかせ(白井暁彦)X@o_ob

AICU Japan株式会社 X@AICUai 代表//国際AIクリエイターアワード2026 実行委員長。

「つくる人をつくる」をビジョンに、世界各地のCG/AI/XR/メディア芸術の開発現場を取材・研究・実践・発信している。