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文化祭のデジタルパンフ&運営システムを高校生が作る時代に!東京都主催「モバイルアプリコンテスト」表彰式レポート
「暗記ソングを作るAIアプリ」も高校生が制作
2026年2月2日 09:10
東京都教育委員会は、中高生が自分で開発したモバイルアプリを表彰する「モバイルアプリコンテスト2025」を開催し、その結果発表と表彰式を1月18日に開催した。応募総数47作品の中から、金賞4作品、銀賞4作品、銅賞4作品が選ばれた。
東京都教育委員会では、多くの子供たちがデジタル技術の基本的なスキルであるプログラミングに興味関心をもてるように、「みんなでアプリ作ろうキャンペーン」を実施し、その一環として「モバイルアプリコンテスト」を開催している。今回が3回目となる。
都内の高校、中学が参加するアプリコンテスト
テーマは「ひらめきでつくる、わたしたちの便利アプリ! ~あったらいいなをカタチに~」。都内にある国公私立高等学校及び中学校等の生徒を対象に、2025年8月28日から11月21日まで募集期間が設けられた。
応募には、モバイルアプリの作品に加え、3分間のプレゼンテーション動画を提出することが求められた。そのため、各チーム、中でも受賞チームは、作品だけでなくプレゼンテーション動画も工夫をこらして披露していた。
表彰式には小池百合子都知事もビデオメッセージで登場。「この変化の激しい時代に飲み込まれることなく、生活をより豊かに便利にする鍵となるのは、皆さんのような若い人たちの知恵と発想です。東京都も、デジタルの力で社会を変える挑戦を続ける人たちを力強くサポートしていきます。皆さんが最先端のテクノロジーを使いこなし、日本そして世界を舞台に、イノベーションを起こし活躍することを期待いたしています」とあいさつした。
表彰後には、審査委員長の株式会社インプレス 窓の杜編集長 鈴木光太郎氏が総評を行った。年々全体的にレベルが上がり、どの作品も良くなっていたこと、特に生成AIを駆使した技術やアイデアなどハイレベルな作品が多かったことを述べた。
そのうえでアドバイスで、差がつく点として「ブラッシュアップ」の大事さを挙げた。「当初のアイデアをもとにアプリがひとまずできた時点で完成度8割で、実はそこから2割の完成度を上げるのには、そこまでと同じだけのパワーがいると言われている」と説明。「ブラッシュアップの辛さを乗り越えるための、情熱なり、ノリなり、コンテスト入賞なりと、自分がやる気を生み出すことを考えていけば、さらにレベルアップできると思う」と語った。
金賞4作品
金賞には4作品が選ばれた。
宿題を撮影すると教材動画を探してクイズも生成する「Study Lens」
金賞の1作品目としては、かえつ有明高等学校の松山芯織さんによる「Study Lens」が選ばれた。
Study Lensは、宿題をスマホで撮影するだけで、AIが科目を判別し、内容に関連する動画をおすすめし、一人一人に最適な学習ルートを提案する、学習サポートアプリだ。解決する課題は、勉強のために適切な教材を集めるのに時間がかかって勉強自体の時間がなくなることや、AIが解説してくれるアプリではわかったつもりになるだけになりがちなことだ。
そこでStudy Lensでは、一人一人にあわせた学習ルーチンを提案する。宿題を撮影すると、アプリが教材動画をおすすめしてくるのでそれを視聴したあと、クイズに答える。クイズの途中では、動画の内容を理解したAIに質問することもできる。さらに、学校内などでグループを作って動画を共有し、先生に質問することもできるコミュニティ機能も備える。
講評として、審査員である、タレント・ソフトウェアエンジニアの池澤あやか氏が受賞理由を説明した。勉強という学生にとって身近な課題でありすでにいくつものアプリがある分野の中で、ユーザーフローとして宿題を撮影すると、勉強におすすめの動画を選びクイズを生成するという手軽さが、よく考えられていると評価された。また、宿題から関連動画を検索するときに、ワード(単語)ではなく科目を推定してそれを元に検索したほうが精度が上がると研究してアプリに仕上げた点についても、独自性を感じると語られた。
現在地と五感を表す項目だけで繋がれ外出のきっかけにもなるSNS「SenseMap」
金賞の2作品目としては、東京都立田無高等学校のチーム「田無高校SenseMap開発チーム」(木村凪希さんと濱本斎さん)による「SenseMap」が選ばれた。
SenseMapは、現在地で、感情、音、匂い、時間の色、触覚の五感について、選択肢から選び、地図上で他のユーザーの感覚を閲覧・共感できる、一種のSNSだ。表示された近くの場所の投稿には、「いいね」ボタンか「共感」ボタンを押せるようになっているのも特徴だ。
プレゼンテーション動画では、背景となる課題として、全国で146万人と内閣府が推計している引きこもりの問題が語られた。この問題に対して、外出する機会を提供し、外出の意欲向上をはかるという。
講評として、審査委員長である株式会社インプレス 窓の杜編集長 鈴木光太郎氏が受賞理由を説明した。五感を共有するSNSというコンセプトの面白さと、操作性がよくできているなど実装がしっかりしていることが評価された。
受賞者コメントでは、AI技術が普及する時代では、プログラミングとともに、アイデアを伝えることがより重要になっていくのではないかと語った。そして、今後もリリースに向けて頑張りたいと抱負を述べた。
表彰式後の記者会見によると、実際に不登校の友人がいて、ふとしたきっかけがあれば外に出る機会になるということが発想のきっかけになったという。同時に、今のSNSは写真や文章など投稿に“ひと手間”がかかるので、さらに簡単にできるように五感の共有を選んだとのことだった。操作性についても簡潔でシンプルになることを心がけ、プレゼンテーションも複雑な情報を省いてシンプルにわかってもらえるよう作ったことも語られた。
「暗記ソング」を教科書やノートの写真から作成、歌って覚えられる「UTAメモ」
金賞の3作品目としては、佼成学園高等学校のチーム「HOPE」(工藤優輔さん、志岐瑛太さん、田添義統さん、藤田光翔さん、湊悠さん)による「UTAメモ」が選ばれた。
UTAメモは、学習のために暗記すべき内容から暗記ソングを作ってくれるというユニークなアプリだ。教科書やノートの暗記箇所を撮影した写真をアップロードするかキーワードを入力し、曲調のジャンルなどを指定すると、AIが歌詞と楽曲を生成してくれる。ほかの人の曲を再生する機能(プライベート設定も可能)や、生成された歌詞を曲にする前に編集する機能などもある。
講評として、審査委員長である株式会社インプレス 窓の杜編集長 鈴木光太郎氏が受賞理由を説明した。「このアプリが私の学生のときにあったらいいなと思った。審査の場でも、審査員たちがいろいろ使って楽しく審査した」とコメント。いいアイデアとともに、歌詞や曲作り、音声合成などごとにAIを何種類も試して実装していて、よく作られていることも評価されたと語った。
受賞コメントでは、「これからもこのアプリを向上させて、暗記に革命を起こして、誰一人教育で取り残されない世界を目指していきたいと思っています」と語られた。
表彰式後の記者会見によると、ディスクレシアの友人がいて暗記に苦労していた経験が発想の元だという。自分たちでも定期テストのときに試しに使って「32点から78点と、向上が見られました」とのことで、メンバーの妹さんに使ってもらったりもしているとの話だった。
来場者も運営も知りたいことがリアルタイムにわかる文化祭デジタルパンフレット「Kurumi/Kurumi Dashboard」
金賞の4作品目としては、攻玉社高等学校の安部文悠さんによる「Kurumi/Kurumi Dashboard」が選ばれた。
「Kurumi」は、文化祭の紙パンフレットを代替するWebアプリ。紙パンフレットには、情報がわかりづらい、リアルタイムに更新できない、運営も非効率的という課題があった。この課題に対しKurumiは、インタラクティブマップにより、校舎や階層もわかりやすく表現し、タグやキーワードによる検索もできるため、初めての来場者でもわかりやすくなっている。混雑状況も一目でわかる。さらに、AIエージェント機能により、アプリ内の情報を自然言語で検索できる。
と同時に、運営側のための「Kurumi Dashboard」もいっしょに開発した。混雑状況や食品の管理情報を一箇所で管理でき、文化祭をより効率的に運営できる。なお、Kurumi/Kurumi Dashboardはすでに実際に2025年度の文化祭で実運用され、約4,500人が利用したとのことだ。
講評として、審査委員である、エンジニアの千代田まどか氏(Microsoft所属)が受賞理由を説明した。開口一番「神アプリでした」として、中でも来場者用と運営用ダッシュボードがあって、混雑情報などがリアルタイムで反映されているのがパンフレットを超えていると高く評価。さらに、UI/UXがよく考えられていて、食べたいものから店をサジェストしてくれる機能など、使いやすいことも挙げた。そして、他の学校でも使えるように作られていることから、ぜひ世に出してすべての学校に使ってほしいと語った。
受賞コメントでは、「今回の経験をもとに、これからもいろいろなアプリを作っていきたい」と語られた。
表彰式後の記者会見によると、実際に自身が文化祭の委員になったことが開発のきっかけとのこと。実際に文化祭で使われて、いろいろな人に使ってもらえたのがうれしいと同時に、まだ皆には届いていなかったので、機会があればそこを改善していきたいとのコメントだった。開発にあたっても、UI/UXにこだわって快適にユーザーが使えることを目指したと語られた。
銀賞4作品
銀賞には4作品が選ばれた。
交換日記×言語学習「Flango」
銀賞の1作品目としては、東京科学大学附属科学技術高等学校の山東優空さんによる「Flango」が選ばれた。
Flangoは、交換日記形式で学びたい言語を使いながら文章を書く、SNS型日記アプリだ。翻訳機能や、単語帳機能、単語帳からのテスト機能もある。さらに、学生をメインユーザーに、温かみのある色や親しみのあるノート感などのデザインにも力を入れたとのことだった
学んだことをキャラクターに声で説明して学習定着させる「IntelliTalk」
銀賞の2作品目としては、多摩大学目黒高等学校の平良真莉花さんによる「IntelliTalk」が選ばれた。
声を出して人に教えることが学習定着に役立つという考えから、学んだことをスマホ上のキャラクターに向けて声で説明するというアプリだ。説明した内容は学習履歴として残るほか、AIが誤りを指摘したり、関連知識を教えてくれたりする。
硬貨を撮影して貯金を記録する「Hello coin」
銀賞の3作品目としては、小平市立小平第四中学校の横田和樹さんによる「Hello coin」が選ばれた。
カメラで硬貨を判別して貯金額を記録するアプリだ。目標設定として金額や物の写真を設定する機能や、同じコインは連続で登録できないようにする機能、逆に制限時間内にいくら認識させられるか競うゲーム「RTAモード」などがある。弟が貯金できるように開発したとのことで、手書きのUIもユニークだ。
銅賞4作品
銅賞には4作品が選ばれた。
ジェスチャーや音声をシャッターがわりに写真を撮る「AirCam」
銅賞の1作品目としては、東京農業大学第一高等学校の田中志門さんによる「AirCam」が選ばれた。
集合写真における、シャッターチャンスが合わない、タイマー撮影が難しい、といった悩みに対し、写る側がシャッター相当の操作ができるアプリ。ピースなどのジェスチャーをすると3秒後に撮影するジェスチャー認識と、「ピース」や「チーズ」の声を出すと即座に撮影する音声認識により、写真を撮影できる。
1か月ぶんの献立を自動生成する「Menu log」
銅賞の2作品目としては、トキワ松学園中学校のチーム「ララピコ」(榊原由万さん、庄司琉香さん、深澤未来実さん、山本あおさん、劉千一さん)による「Menu log」が選ばれた。
毎日の献立に悩んでいる人が多く、予算や栄養を考えるともっと大変で、1週間の献立を提案するものはあるが1か月の献立を考えてくれるアプリはない、というのが課題として想定されている。そこで、予算と人数から1か月ぶんの献立を自動生成するのがMenu logだ。予算管理や、買い物リスト、栄養情報も確認できる。
薬の飲み忘れを防ぐ「おくすりメモ」
銅賞の3作品目としては、東京都立鷺宮高等学校のチーム「奥殊璃乃芽種音」(江口俊作さん、桑原さくらさん、小玉雪菜さん、渡邊湊仁さん)による「おくすりメモ」が選ばれた。
高齢者や薬を日常的に服用する人が薬の飲み忘れを防ぐためのアプリだ。薬の種類や服薬頻度などを記録できるようになっている。また、AIにチャットで相談することもできる。UIは、薬袋を模したシンプルなものになっている。
ジェスチャーを認識し音にして視覚障害者と聴覚障害者の間のコミュニケーションを支援する「Gesture App」
銅賞の4作品目としては、駒込学園駒込高等学校のチーム「プリキュア」(伊藤智咲さん、長谷川絢音さん、山本珠寧さん)による「Gesture App」が選ばれた。
視覚障害者と聴覚障害者の間のコミュニケーションを支援するためのもので、「バイバイ」「指差し」「OK」などの手のジェスチャーをAIで認識し、対応する音をスマホから鳴らすようになっている。画像認識には、Googleの機械学習ライブラリ「MediaPipe」を利用している。











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