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日本語のテキスト翻訳にも。“Microsoft Translator”の音声翻訳にニューラルネットワークが導入

モバイル版「Translator」アプリや「Skype」の翻訳機能“Skype Translator”にも応用

機械翻訳サービス“Microsoft Translator”の音声翻訳にニューラルネットワーク技術を導入

 米Microsoft Corporationは15日(日本時間)、機械翻訳サービス“Microsoft Translator”の音声翻訳にニューラルネットワーク技術を導入したことを明らかにした。現在、“Microsoft Translator speech API”がサポートする9言語(アラビア語、中国語、英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ポルトガル語(ブラジル)、ロシア語、スペイン語)でニューラルネットワークによる機械翻訳が利用可能。また、日本語のテキスト翻訳にもニューラルネットワーク技術が利用されているという。

 “ニューラルネットワーク”は、シナプスの結合から成る人間の脳に着想を得たアプローチで、特定の事象に関わるデータを解析してその傾向を学習し、判断や予測に役立てる“機械学習”の方法論の1つ。なかでも多層構造のニューラルネットワークを構築して膨大なデータを処理する“ディープラーニング(深層学習)”は近年、音声処理や画像処理といった人工知能(AI)のシナリオで大きな成果を上げている。最近では、ディープラーニングを用いたコンピュータ囲碁プログラム「AlphaGo」が囲碁のトッププロを破ったことが大きな話題となった。

 同社によると、ディープニューラルネットワークを用いた機械翻訳は、これまで業界標準で用いられてきた“統計的機械翻訳(SMT)”と呼ばれる手法に比べ、テキスト全体の文脈を把握するのに長けており、より高品質で人間味のある出力を行うことができるという。

ディープニューラルネットワークを用いた機械翻訳は、これまで業界標準で用いられてきた“統計的機械翻訳(SMT)”と呼ばれる手法に比べ高品質で人間味のある出力を行うことができる(同社ブログより引用)

 ニューラルネットワークベースの機械翻訳を実際に試してみたい場合は、同社が用意しているオンラインの比較ツールで統計的機械翻訳との違いを体験することが可能。モバイル版の「Microsoft Translator」アプリや、「Skype」の翻訳機能“Skype Translator”にもニューラルネットワークベースの機械翻訳が応用されている。また、同社のクラウドプラットフォーム“Azure”で提供されている“Microsoft Translator API”を利用すれば、開発者が自分のアプリに組み込むことも可能だ。

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