【第496回】
姉弟で共闘するFPS「アルフール小国物語 -エルグス侵攻戦争-」
見た目は可愛く、銃撃戦はリアルとFPSの楽しさを知るのにピッタリ
(12/08/31)
『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームのなかから、編集部がピックアップした作品を毎週紹介していく。今回は、敵国に捕らわれた姉弟が生き残るために戦場を駆け抜けるシングルプレイのFPS「アルフール小国物語 -エルグス侵攻戦争-」を紹介しよう。
FPSの楽しさが詰まった貴重な国産タイトル
「アルフール小国物語 -エルグス侵攻戦争-」は、可愛らしいグラフィックながら、実在する銃器をモチーフにした武器を手に激しい戦闘が行われている戦場を駆け抜ける、いわゆる“リアル系”の国産FPS(First Person Shooter:一人称視点シューティング)。近距離での戦闘に優れたハンドガン、中距離に強いアサルトライフル、遠距離にいる敵を攻撃するのに有効なスナイパーライフルなど特性の異なる豊富な武器や、プレイヤーの攻撃に合わせて動く敵、しゃがみやジャンプ、ダッシュなどのアクションが用意されている。
頭に攻撃を受けると一発で倒れる“ヘッドショット”こそないものの、攻撃を激しく受けるとアッという間にゲームオーバーになるなど、リアル系FPS最大の楽しみである緊張感のある銃撃戦を充分に楽しめる。パズル的な仕掛けや複雑な操作を要求される場面はなく、基本的には敵を倒して進めばいいため、入門用のFPSとしても最適だ。
なお、本作は同人ソフトで、委託販売店や通販などで購入できるほか、ダウンロード販売も行われている。詳細はサークルの公式サイトで確認してほしい。公式サイトでは、オープニングからステージ1までプレイできる体験版も公開されている。
舞台となるのは、ラーニア大陸の北西部に存在する小国群。帝国歴312年、ディオニウス歴1048年の初夏、主人公となる姉“シャルナワーゼ・オーリック”と弟“レオン・オーリック”の姉弟が暮らす“アルフール小国”の隣国“エルグス自治領”は、突如アルフール小国へ侵攻を開始。姉弟は奴隷として捕らえられエルグスへと護送されていたが、護送中に事故が起き、二人は逃げ出すことに成功する。敵国エルグス領のまっただ中で、二人は追っ手のエルグス軍から逃げながら、故郷アルフール小国へ帰ることを決意。そして二人の旅が、二つの国の運命を動かしていくことになる。
突破力のレオン、俊敏性のシャルナワーゼ、どちらを選ぶ?
ゲームの進行は敵を倒しながら、コンパスの示す方向へ進み、一定の地点に到達すればステージクリアとシンプル。全ステージをクリアすればエンディングとなる。
操作方法は[W][S][A][D]キーで前後および左右へ移動、[C]キーでしゃがみ、スペースキーでジャンプ、[Shift]キーを押しながらの移動でダッシュ、マウスを動かすことで視点の移動、左クリックで射撃となる。これらの基本操作に加え、[F]キーで武器などを拾う、[R]キーで武器のリロード、マウスのホイールで武器の持ち替え、マウスの右クリックで銃を構えて狙いやすくなる“エイム”が可能。スナイパーライフル装備時のエイムはスコープを覗き込むことになり、遠くの敵を狙いやすい反面、近くの敵が見えにくくなる。
本ゲームで面白いのは、操作キャラクターをシャルナワーゼとレオンから選べること。操作するキャラクターはステージごとに変更が可能で、選ばなかったキャラクターはパートナーとなって自動で一緒に戦ってくれる。パートナーは[Q]キーで呼び寄せることが可能だ。
レオンは移動やリロード速度が遅い反面、体力が多いので倒されにくいため突破力に優れるという特徴をもつ。一方のシャルナワーゼは移動やリロードが速く、スナイパーライフルを覗き込んだときの画面の揺れ幅が少ないので遠くにいる敵も照準を合わせやすいが、体力が低いため敵に接近されると倒されやすいのが弱点だ。それぞれに長所、短所があるので、敵に突撃して一気に倒したいならレオン、離れた位置からゆっくりと確実に倒していきたいならシャルナワーゼを選ぼう。
画面は中心に照準、左下に現在装備している武器と残弾数、右下に目標地点とパートナーの位置を確認できるコンパス、上部にキャラクターのメッセージが表示される。敵からの攻撃でダメージを受けると徐々に画面の周囲が赤くなり、さらに攻撃を受けるとゲームオーバー。チェックポイントから再開となる。ステージ中のチェックポイント数は少ないので、なるべく死なないように慎重な行動が必要だ。なお、ダメージは敵の攻撃を受けなければ時間経過で回復する。周囲の赤色がなくなったら回復した証拠だ。これは最近のFPSにはよくあるシステムなので、知っている人も多いだろう。
武器は全部で10種類!好みや状況に合わせて使い分けよう
ゲームを進める上で重要になるのは武器の選択だ。AR-47、GUR-36c、Sixteenといったアサルトライフルは中距離での戦闘に強く汎用性の高さが魅力。主力となってくれる武器だ。ハンドガンは近距離で命中しやすく威力も高いため、敵が目前に迫ったときに役立つ。武器は基本的にリロードするよりも切り替えた方が早い。弾切れして敵が目前に迫ったときは、すばやく武器を切り替えるクセをつけておきたい。
スナイパーライフルはとにかく長距離に強いが、威力が低く一発では倒せない上に当てるのが難しい。ただし、スナイパーライフルはエイム中に[Shift]キーを押すと短時間だが息を止めて照準の揺れを止められる。敵の止まった瞬間を狙い撃ちできるように練習しよう。ちなみに武器は2種類まで持てる。突撃型のレオンならアサルトライフルとハンドガンの組み合わせ、遠距離攻撃が得意なシャルナワーゼならアサルトライフルとスナイパーライフルの組み合わせが戦いやすい。なお、武器は10種類が登場するが、それぞれ威力や連射性能が異なる。自分が使いやすい武器を見つけるのも楽しい作業だ。
軍はなぜ、執拗に姉弟を追い続けるのか。そして軍に追われた二人は最後にどういう行動に出るのか、といったストーリー展開も見どころ。また、リアル系のFPSではあるが、手榴弾といった投げる武器はなく、グレネードランチャーといった特殊な武器も登場しない。ただ敵を倒していくだけとわかりやすいので、取っつきやすいのも魅力だ。それでいながら、敵の数は多く、適当に突っ込むとアッという間にゲームオーバーと簡単すぎない難易度もまたすばらしい。さらに難易度は4段階から選べるので、初心者だけではなくFPSに慣れたユーザーでも充分に楽しめる。国産しかも同人のFPSは非常に貴重な存在。完成度も高いため、FPSが好き、または興味があるという人ならプレイしてみてほしい1本だ。
- 【著作権者】
- あやえも研究所
- 【対応OS】
- Windows XP/Vista/7
- 【ソフト種別】
- ダウンロード販売 1,000円(税込み)ほか(体験版あり)
- 【バージョン】
- 1.00(12/05/11)