クリエイターが知らないと損する“権利や法律”
〈コラム〉パクツイは非親告罪
~第4章:無断で利用できる著作物を教えて!~
2016年8月16日 07:20
オンラインソフト作者に限らず、あらゆるクリエイターが創作活動を続けるために、著作権をはじめとして知らないと損する法律や知識はたくさんある。本連載では、書籍『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本』の内容をほぼ丸ごと、三カ月間にわたって日替わりの連載形式で紹介。権利や法律にまつわる素朴な疑問に会話形式の堅苦しくない読み物でお答えする。
前回掲載した“著作権には有効期限がある”の続きとして、今回は“〈コラム〉パクツイは非親告罪”というテーマを解説する。
〈コラム〉パクツイは非親告罪
著作権法では、著作権を侵害した者には10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金(119条)、法人の違反者は3億円以下の罰金(124条1項)という刑罰が規定されています。
窃盗罪が10年以下の懲役または50万円以下の罰金(刑法235条)なので、著作権侵害罪には物を盗むより重い刑罰が科せられることになります。
ただ、著作権が侵害されたときに刑事責任を追及するかどうかは、多くの場合、被害者である権利者の判断に委ねられています。これを『親告罪』といいます。
警察は告訴がない段階でも捜査を開始できますが、被害者が告訴しないと言えば、基本的には罪を問われることがありません。ただし、以下の行為は例外的に非親告罪です。
- 著作者死後の著作者人格権等の侵害(120条)
- 技術的保護手段回避装置の公衆譲渡(120条の2第1号)
- 技術的保護手段回避を業として行う(120条の2第2号)
- 著作者名詐称(121条)
- 出所明示義務違反(122条)
インターネットが普及して誰でも情報発信ができるようになったことで、特に出所明示義務違反と著作者名詐称は犯しやすい罪になっています。
例えばTwitterでは、他人のつぶやきを無断転載(パクる)して、自分が投稿(ツイート)したかのようにふるまう「パクツイ」と呼ばれる行為が、カジュアルに行われています。しかし、Twitterの投稿は最大140文字とそれなりに長いため著作物として認められる可能性が高く、しかも非親告罪ですから、被害者が告訴しなくても逮捕や起訴される可能性があるのです。危ない行為ですね。
次回予告
今回の続きとして次回は“二次創作してもいいですか”というテーマを解説する。
原著について
『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本』
(原著:鷹野 凌、原著監修:福井 健策、イラスト:澤木 美土理)
クリエイターが創作活動するうえで、知らないと損する著作権をはじめとする法律や知識、ノウハウが盛りだくさん! “何が良くてダメなのか”“どうやって自分の身を守ればいいのか”“権利や法律って難しい”“著作権ってよくわからない”“そもそも著作権って何?”といった疑問に会話形式の堅苦しくない読み物でお答えします!