クリエイターが知らないと損する“権利や法律”
パクられる前に自衛しよう
~第8章:作品がパクられた!どうしよう?~
2016年9月20日 07:20
オンラインソフト作者に限らず、あらゆるクリエイターが創作活動を続けるために、著作権をはじめとして知らないと損する法律や知識はたくさんある。本連載では、書籍『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本』の内容をほぼ丸ごと、三カ月間にわたって日替わりの連載形式で紹介。権利や法律にまつわる素朴な疑問に会話形式の堅苦しくない読み物でお答えする。
前回掲載した“〈コラム〉コンテンツ制作は今後も稼げるのか”の続きとして、今回は“パクられる前に自衛しよう”というテーマを解説する。
パクられる前に自衛しよう
先生、さっき『ひとたびアップロードしたら、もう無断転載を防ぐことはできないと思っておいた方がいい』って言ってましたよね?
どうにもならないものなんですか?
まず、無断転載を嫌だと感じるかどうかは、そのクリエイターの活動の種類や、無断転載のやられ方次第ですよね。
自分はどんな拡散のされ方が嫌なのか、まずイメージを持つことです。
無断転載自体が嫌だという場合は、無駄かもしれませんが、目立つ場所に『無断転載お断り』と意思表示しておきましょう。
それを読んだ方は、『あ、この作品の作者は、無断転載を嫌がっているんだ』と気づいてくれるかもしれません。
大事なのは、意思表示ですか。
次に、イラストや写真であれば、画像に直接自分の名前を刻んでおくといいです。
自分のウェブサイトのURLを入れておくのもいいでしょう。
名前がわかるようにしとけ、と。
そう。画像投稿サイトにアップロードしたままの状態であれば、投稿者の名前やその他の情報と、画像がセットになっているから大丈夫なのですが、画像だけが無断転載されてしまうと誰の作品かわからなくなってしまう可能性が高いのです。
画像に名前を刻んでおけば、それを防ぐことができます。
絵にサインや花押を入れる風習は、昔からありますね。
なるほど、サインって考えるとわかりやすいですね。
名前が刻んであれば、もし画像だけが無断転載されたとしても、第三者が見たときに誰の作品かを判別できるので、むしろ名前が売れるわけです。
おお!
もっとも、画像に名前が刻んであっても、悪意を持った輩は画像編集ツールで消します。
まあ、少しでも消しづらいよう、名前を半透明にするなどの工夫をしておくのも手でしょう。
いろいろ手はありますね……でも、刻んだ名前がわざわざ消してあるなら、悪意でやってるんだと判断できますね。
そういうことです。
悪意でやっているなら、著作者名詐称(121条)や出所明示義務違反(122条)などで懲らしめてやることも可能です。
この2つは非親告罪で刑事罰対象ですから、非常にリスクが高い行為なのですけどね。
カジュアルに詐称する人がいるから困りものです。
ぜんぜん違う人のサインが書いてある絵を次から次へ無断転載して、『私が描きました!』って言ってるアホを見たことがあります……通報すべきだったかなあ。
ちなみに著作物が文章の場合は、文字に名前を刻むことができないので、残念ながらこういう対処は難しいです。
そりゃそうですね。
次回予告
今回の続きとして次回は“写真が勝手に記事で使われた”というテーマを解説する。
原著について
『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本』
(原著:鷹野 凌、原著監修:福井 健策、イラスト:澤木 美土理)
クリエイターが創作活動するうえで、知らないと損する著作権をはじめとする法律や知識、ノウハウが盛りだくさん! “何が良くてダメなのか”“どうやって自分の身を守ればいいのか”“権利や法律って難しい”“著作権ってよくわからない”“そもそも著作権って何?”といった疑問に会話形式の堅苦しくない読み物でお答えします!