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「FFmpeg 8.0」がリリース ~約2年半ぶりのメジャーアップデートは史上最大級
オープンソースのマルチメディアフレームワーク
2025年8月25日 12:30
The FFmpeg projectは8月22日、「FFmpeg 8.0」(コードネーム:Huffman)を公開した。2023年2月以来、約2年半ぶりのメジャーアップデートとなる。
「FFmpeg」は、音声・動画ファイルのフォーマットを変換するツールやライブラリから構成されるオープンソースのマルチメディアフレームワーク。「Google Chrome」や「MPlayer」、「VLC media player」といったオーディオ・ビデオを扱うさまざまなソフトで利用されている。ライセンスは「GNU Lesser General Public License version 2.1」およびそれ以降(LGPL v2.1+)。
「FFmpeg」は「FFmpeg 6.0」より年次リリースとなり、本来は2024年2月にリリースされるはずだったが、「FFmpeg 6.1」が遅れた影響もあって、当初の予定から1年半も遅れてのリリースとなった。しかし、その間に多くの新機能と改善が加えられたほか、インフラストラクチャーの全面的な近代化が実施されており、これまでで最大級のリリースの一つになっているという。
おもなな新機能は、以下の通り。
- ネイティブデコーダーの追加:APV、ProRes RAW、RealVideo 6.0、Sanyo LD-ADPCM、G.728
- VVCデコーダーの改善:IBC、ACT、パレットモード
- Vulkanベースのコーデック:FFv1(エンコードとデコード)、ProRes RAW(デコードのみ)
- ハードウェア支援デコード:Vulkan VP9、VAAPI VVC、OpenHarmony H264/5
- ハードウェア支援エンコード:Vulkan AV1、OpenHarmony H264/5
- フォーマット対応の拡充: MCC、G.728、Whip、APV
- フィルターの拡充:colordetect、pad_cuda、scale_d3d11、Whisperほか
なかでも注目すべきは、純粋に「Vulkan」コンピューティング実装に基づくデコーダーとエンコーダーの新しいクラスが追加されたことだ。「Vulkan」はクロスプラットフォーム対応のローレベルグラフィックスAPIで、スクリーンへの描画から並列コンピューティング、カスタムハードウェアアクセラレーターを介したビデオのデコードまで、さまざまなレンダリング・計算処理でGPUハードウェアを活用できる。
今回追加された新しいコーデックは、カスタムハードウェアアクセラレーターを利用するのではなく、コンピュートシェーダーに基づいており、「Vulkan 1.3」さえ実装していればどのアーキテクチャー、プラットフォームでも動作する。ハードウェアによっては、これらの新しいコーデックで劇的な速度向上が見込める場合があるという。
現在、サポートされているコーデックは「FFv1」(エンコードとデコード)と「ProRes RAW」(デコードのみ)だが、「ProRes」エンコードと「VC-2」(エンコードとデコード)の実装は完了しており、現在レビュー中とのこと。次回のマイナーリリースでマージされ、利用可能になる予定だ。