#モリトーク

第37話

例年とは違う今年の窓の杜大賞

Windows 8および“Windows ストアアプリ”に対応した「ATOK 2013」

 前回の第36話、Windows 8への対応に関連したIMEの裏事情を取り上げた。タイミングがよかったのか悪かったのか、掲載直後に各社のIMEが立て続けにバージョンアップしたので整理しておきたい。まず、開発版にてWindows 8へ暫定対応していた「Google 日本語入力」が安定版となり、正式にWindows 8および“Windows ストアアプリ”へ対応している。また、Windows 8に対応するものの“Windows ストアアプリ”には対応していなかった“ATOK”シリーズも、「ATOK 2013」のプレビュー版にて“Windows ストアアプリ”に対応した。

 ほかにも、「Baidu IME」の最新正式版が公開され、本コラムでも指摘したアプリケーションとの相性問題が改善されている。ただし、同最新版ではWindows 8への対応が盛り込まれておらず、同ベータ版からの進展はない。主要なサードパーティ製IMEのなかでは「Baidu IME」が最速でWindows 8へ対応していたが、「Google 日本語入力」と「ATOK 2013」がそれを追い抜いた印象だ。

“2011年 窓の杜大賞”を受賞した「SignalNow Express」

 本題に入ろう。窓の杜では現在、年末の恒例企画である“窓の杜大賞”を開催中だ。毎年参加していただいている読者ならお気付きかもしれないが、今年の“窓の杜大賞”は例年とは少し違っている。その違いとは、ノミネートの選考基準だ。『このソフトがなぜ今になってノミネートされているの?』といったような感想を抱いた人もいると思うので、どのように選考基準が変わったのか、過去の“窓の杜大賞”を振り返りながら確認してみよう。

 2011年までの“窓の杜大賞”では基本的に、各年に初公開されたソフトや、窓の杜が初めて紹介したソフトをノミネートしており、受賞歴があるソフトはもちろん、ノミネート歴があるソフトも再びノミネートされることがなかった。つまり、まさに“その年のソフト”をノミネートの選考基準にしている。たとえば、去年の“2011年 窓の杜大賞”を受賞したソフトは、緊急地震速報を受信できる「SignalNow Express」であり、東日本大震災の2011年を象徴する結果になっている。

 この選考基準には、より多くのソフトに受賞のチャンスを与えられるというメリットがあるものの、名前が知れ渡っている途中のソフトがノミネートされることもある。そのため、窓の杜の記事を日々チェックしている人なら全ノミネートソフトを理解できても、そうでない人にとってはピンとこない部分があったかもしれない。また、“定番”と評されるソフトであっても、一度タイミングを逃してしまうと、ノミネート・受賞の機会が巡ってこなかった。

 そこで今年の“窓の杜大賞”では、今年初公開・初紹介でなくても、大幅なバージョンアップや数年ぶりのバージョンアップを果たしたソフトであればノミネートされており、そのなかには、昔から“定番”と呼ばれるソフトもいくつか含まれている。もちろん、2012年を象徴するソフトもノミネートされているので、『投票するソフトがなくて困る』といったことも減り、より多くの人に投票していただけるようになったのではないだろうか。

(中井 浩晶)