山口真弘のおすすめ読書タブレット比較

高解像度なのに実売2万円切りの8.4型AndroidタブレットはFire HD 8よりコスパ良好か?

左がAmazonの「Fire HD 8」、右がBNCFの「BPad T1」。いずれも実売2万円以下で入手可能な8型クラスのタブレットだ

 手軽に使える8型クラスのタブレットとして真っ先に名が挙がる存在と言えば、Amazonの@@link|https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0CVDPZH2Y/impresswatch-18-22/ref=nosim|「Fire HD 8」だろう。「Google Playストア」には対応しないため、利用できる電子書籍ストアには制限があるほか、解像度も決して高くはないが、1万円台で入手できるコスパのよさもあって、支持する声は多い。

 もっとも近年では、価格および性能面でこの「Fire HD 8」の強力なライバルとなる8型クラスのタブレットが、各社から続々登場している。それらは「Google Playストア」に対応し、さまざまな電子書籍ストアが利用できる上、「Fire HD 8」を超える解像度を備える場合がほとんどで、同製品の購入を考えているユーザにとって見逃せない存在だ。

 今回はその中のひとつ、BNCFの「BPad T1」について、「Fire HD 8」と比べつつ、具体的にどのような違いがあるのかを見ていく。なお画質比較のサンプルには、『Kindle Unlimited』で配信されている、森田 崇/モーリス・ルブラン著『怪盗ルパン伝アバンチュリエ 第1巻』を、許諾を得て使用。またテキストは夏目漱石著『坊っちゃん』をサンプルとして使用している。

1万円台半ばから入手できる「Fire HD 8」

「Fire HD 8」。ベゼル幅はやや広くずんぐりとしたフォルム

 まずは両製品の特徴をひととおり把握しておこう。

 「Fire HD 8」(以下Fire)は、Amazonが販売する8型タブレットで、「Kindleストア」のほか「プライム・ビデオ」や「Amazon Music Prime」などAmazonのコンテンツに最適化されている。「Google Playストア」に対応しないことから、利用できる電子書籍ストアは「Kindleストア」以外では「dマガジン」のみと、汎用のAndroidタブレットに比べ制限はある。

 画面解像度は1,280×800ドットとやや低めだが、その他のハードウェアは一般的なAndroidタブレットと大きな違いはなく、ワイドサイズの画面にスピーカーを搭載。最近のタブレットとしては珍しくイヤホンジャックも利用できる。カメラも搭載しているが、性能的にはおまけ程度とみなして差し支えない。また防水機能には非対応だ。

 以上のようにどちらかというと制限が目立つ本製品だが、実売価格が1万円台半ばで、さらにセールでは1万円台前半で売られることもあるリーズナブルさは大きな強みだ。なおこの「第12世代」として販売されるFire HD 8にはメモリ容量・ストレージ容量が異なるバリエーションがあるが、本稿ではメモリ3GB・ストレージ32GBモデルについて紹介する。

電源や音量ボタン、USB Type-Cポート、イヤホンジャックは同じ面に集中している。背面カメラもその近くにある
生体認証は非対応でロック解除はパスコードで行う

セール時には2万円を切るAndroidタブレット「BPad T1」

https://www.amazon.co.jp/dp/B0GCCMWCN3

「BPad T1」。上下に比べると左右ベゼルがやや狭いデザイン

 もう一方の「BPad T1」は、BNCFが販売する8.4型のAndroidタブレットで、Amazonで販売されている8型クラスのタブレットの中でも、コスパに優れた一台だ。ちなみに本稿執筆時点では2万円をわずかに超える価格で販売されているが、今年1月以降では18,998円まで下がった実績がある。

 OSはAndroid 16で、「Google Playストア」が利用できるため、実質的にあらゆる電子書籍ストアが利用できる。また画面解像度は1,920×1,200ドットということで、1,280×800ドットのFireよりも表示のクオリティはワンランク上だ。このほか電子書籍ユースとは直接関係しないが、Widevine L1に対応しており、動画ストリーミングサイトの視聴も高品質で行える。

 CPUはUnisoc T7300と決してハイエンドではないが、比較対象がFireであれば十分すぎるパフォーマンス。ベンチマーク結果は後述する。なおメモリは製品ページなどでは24GBとされているが、実態は物理メモリ8GB+仮想メモリ16GBと、中華製タブレットによくある見せかけの表記になっているので気をつけたい。

カメラは若干突き出した設計で、その横に電源と音量ボタンを備える
USB Type-Cポートはカメラなどからは離れた下部にある
生体認証は顔認証を搭載。またパターンによるロック解除にも対応する

BPadのほうが多彩なストアに対応、かつ高精細な表示が可能

 では外見から比較していこう。画面サイズはFireが8型、BPadが8.4型ということで、BPadのほうがひとまわり大きいが、Fireはベゼル幅が広いため、ボディの幅はほぼ同等。重量はFireが337g、BPadが316gとわずかにBPadのほうが軽量だが、持ち比べてようやく分かる程度で、製品を選ぶ決定的な差にはなり得ない。

 ストレージはどうだろうか。Fireは現在販売されているのは32GBモデルのみで、BPadの128GBと比べるとかなりの差がある。両者ともに最大1TBのメモリカードに対応するので、そちらで補完する形になるだろう。BPadは汎用性が高いぶん、Fireよりも多くのアプリをインストールして利用するはずで、メモリカードの必要性はFireより高いだろう。

左がFire、右がBPad(以下同じ)。画面サイズはFireのほうが小さいがベゼルが太いためボディの面積は両者ほぼイーブン
厚みはBPad(右)のほうが薄く、手に持っても違いがはっきりと分かるレベル

 電子書籍ユースでの最大の違いは画質で、Fireは189ppiと低く、BPad(270ppi)とはかなりの差がある。単ページ表示ではそれほど気にならないが、本体を横倒しにしての見開き表示では、Fireは細い線や文字が潰れることが多い。高精細なコンテンツを楽しむのであれば、BPadのほうがベターだろう。またFireは見開き表示は実質不可能と考えておいたほうが、がっかりせずに済むはずだ。

単ページでの比較。表示サイズはほぼ同じになる
見開きでの比較。こちらも表示サイズはほぼ同じ
見開き表示時における画質の比較。Fire(左、189ppi)のほうがBPad(右、270ppi)よりも明らかに粗く、高精細なコンテンツを楽しむにはネックとなる

 また利用できる電子書籍ストアについても、Fireは「Kindleストア」と「dマガジン」の実質2つのみで、「Google Playストア」対応であらゆる電子書籍ストアが使えるBPadとの差は明らかだ。BPadはプレーンなAndroidであることから、音量ボタンを使ってページをめくれるというAndroid固有の機能も利用できるなど、操作性の面でもFireに比べてアドバンテージがある。

Fireは「Kindleストア」のほか「dマガジン」にも対応する。ただし前述のように解像度が低いため雑誌コンテンツのグラビア表示で実力を発揮しづらい
BPadは「Google Playストア」に対応するためさまざまな電子書籍アプリが利用できる。これは「書籍」でアプリを検索したところ

 パフォーマンスはどうだろうか。ベンチマークアプリによる簡易チェックでは、BPadのほうがスコアは3~5倍ほど高い値を示す。iPad miniなどミドルエンド以上の製品ではスコアは10万点近くなるのでBPadが高性能かというとそうではないが、Fireとの性能差は明らか。体感ではスコア差ほどの差はないが、それでもBPadはFireほどのもっさり感は感じない。

「Google Octane」でのベンチマーク結果。左から順に、Fireが「7683」、BPadが「34817」と4倍程度の開きがある

実機を使って初めて分かる細かい違いとは

 以上のように、総じてBPadのほうが優秀という評価になるのだが、実機を手に取ってしばらく使っていると、Fireのほうが優秀と感じられるポイントも少なからずある。ここではそれらの細かい違いについて見ていこう。

 ひとつは画面の明るさ。画面の輝度はFireは非公開、BPadは400ニトとされているが、並べるとFireのほうが明るい。BPadも暗くて困るほどではないが、陽が当たる窓際などでの利用では、もう少し明るさが欲しいと感じることがあり、この点ではFireのほうが有利だ。

白い背景色で輝度を最大にして比較すると、Fireのほうが画面が明るく感じられる

 もうひとつはボディの堅牢性。樹脂とはいえ多少ひねった程度ではびくともしないFireに対して、BPadは軽くひねるとミシミシと音がし、内部の密度がいびつで強度が一定でない様子を感じさせる。実際に落下などの試験は行っていないが、どちらがより頑丈と感じるかモニターテストを行えば、10人中10人がFireのほうが頑丈と答えるはずだ。

 人によっては、こうした保護性能はアクセサリで補うべきで、本体側は最低限のレベルが確保されていればよいと考える場合もあるだろうが、サードパーティー各社から多種多様なアクセサリが発売されているFireと異なり、BPad向けの保護カバーやフィルムは数少ない。アクセサリのラインナップも評価ポイントとするならば、BPadは圧倒的に不利だ。

BPadは本体を軽くひねった限りでは少々ひ弱な印象を受ける

 まとめると、価格および堅牢性の部分ではFireが有利、性能や汎用性の部分ではBPadが有利ということになる。今回のBPadのようにFireの競合となりうる「8型クラス」「2万円前後」「解像度フルHD以上」のAndroidタブレットはほかにも複数存在しており、入れ替わりも激しいので、本稿でFire以外の選択肢に興味を持った人は、Amazonなどで探してみることをお勧めする。