山口真弘のおすすめ読書タブレット比較

雑誌表示にも最適! 高解像度タブレット対決 ~Amazon「Fire Max 11」対ODEA「A12」

解像度は2,000×1,200ドットで同一でも価格差は倍、価格2万円を割る「A12」に勝ち目は?

左がAmazonの「Fire Max 11」 、右がODEAの「A12」。いずれも2000×1200ドットの高解像度を売りとするタブレットだ

 全世界に吹き荒れている原材料費の高騰もあり、これまで低価格を売りにしていた中華製の格安タブレットまでもが、ここのところ続々と値上がりし始めている。メーカーによっては30%近い値上げもあるほどで、これまでのように『待っていればより性能が高く、より安いモデルが出てくる』という常識は、もはや過去のものとなりつつある。

 もっともそうした中でも、依然としてリーズナブルな価格で大手に対抗しようとしている格安タブレットメーカーは存在する。とはいえそうした製品も、いつ値上げに転じるかはメーカーの方針一つであり、言い換えればリーズナブルな価格で購入できるのは、今が最後のチャンスかもしれない。

 今回はそうした格安タブレットの中から、高解像度を売りにするODEAの12型Androidタブレット「A12」を取り上げ、解像度が同じ2,000×1,200ドットのAmazon製タブレット「Fire Max 11」との違いをチェックしていく。11~12型クラスのタブレットを選ぶにあたっての参考になれば幸いだ。

 なお画質比較のサンプルには、『Kindle Unlimited』で配信されている、森田 崇/モーリス・ルブラン著『怪盗ルパン伝アバンチュリエ 第1巻』を、許諾を得て使用。また、雑誌は『DOS/V POWER REPORT』の最終号をサンプルとして使用している。

拡張性が売りの11型タブレット、Amazon「Fire Max 11」

 まずは両製品についてざっとおさらいしておこう。「Fire Max 11」は、Amazonが販売するメディアタブレット「Fire」の最上位モデルで、画面サイズは11型、2,000×1,200ドットという、フルHD(1,920×1,080ドット)よりも若干高い解像度を売りにしている。

 実売価格は39,980円と、1万円台がほとんどのFireのラインナップの中では高価な部類に入る。その理由は拡張性の高さで、別売で用意されるカバー一体型キーボードを組み合わせることで、Chromebookのように活用できることを売りにしており、Microsoft 365 Personalも利用できるなど、文教用途にも使えるポテンシャルの高さが特徴だ。

 その一方で、ほかのFireと同じくGoogle Playストアには対応せず、アプリの入手先は原則Amazonアプリストアのみという制限がある。対応する電子書籍ストアは実質的にKindleおよびdマガジンのみで、拡張性の高さに反して、汎用性という点ではやや疑問符がつく。

 その他のスペックは、ストレージが128GB、ほかに最大1TBまでのメモリカードに対応している。メモリは4GBとFireタブレットの中ではもっとも多く、下位にあたるFire HD 10との差別化要因になっているが、性能的にはハイエンドというよりもミドルレンジに位置づけられる。また指紋センサーを搭載するなど、格安系のタブレットとは一線を画する特徴も備えている。

Amazon「Fire Max 11」。Fireの最上位モデルで画面サイズは11型、実売価格は39,980円と高め
電源ボタンと一体化した指紋センサーを搭載。メモリカードの追加にも対応する
底面には、ケース一体型キーボードを増設するためのポゴピンを搭載する
プリインストールアプリの一覧(dマガジンのみ後日追加)。電子書籍アプリは実質Kindleとdマガジンのみの対応となる

実売2万円を切る高解像度12型Androidタブレット、ODEA「A12」

 その「Fire Max 11」と比較する今回の主役が、中国ODEA社のAndroidタブレット「A12」だ。解像度は2,000×1,200ドットと、「Fire Max 11」とまったく同じだが、こちらは12型と、11型の「Fire Max 11」よりもひとまわり大きい。

 ストレージは128GB、最大1TBまでのメモリカードに対応するなどの特徴も、「Fire Max 11」とそっくり。メモリも同じく4GBだが、こちらは最大8GBの仮想メモリを利用できることから、メーカーでは「実質12GB」という表現を用いている。同列に扱うのはNGだが、仮想メモリが使えるぶん本製品のほうがメリットがあることになる。

 またAndroid 15を搭載し、Google Playストアが利用できることから、電子書籍ストアも選び放題。さらにAmazonではたびたび2万円を割る実売価格で販売されるなど、コスト的には大きな利点がある。解像度などのスペックは「Fire Max 11」並み、価格は「Fire HD 10」並みと考えれば、本製品のメリットが見えてくる。

 ちなみにこの製品、「Fire Max 11」の存在を意識しているのか、キーボードおよびスタイラスとのセット製品も用意される。こちらは29,900円ということで、リーズナブルさはお墨付きだ。なお今回は電子書籍ユース中心ということでチェックしていないが、Widevine L1にも対応しており、Netflixなど動画コンテンツの再生もこなせる。

ODEA「A12」。画面サイズは12型、実売価格は2万円を切ることもしばしば
密閉式が多くを占める現在では珍しい露出式のカードスロットを搭載。イヤホンジャックも備える
上面には音量ボタン、電源ボタンを搭載。指紋センサーは非搭載
プリインストールアプリの一覧。Google Playストア対応でアプリ選択の自由度は高い。電子書籍系はGoogle Playブックスが導入済み
物理メモリ4GBに加えて仮想メモリを最大8GBまで追加できる

性能面では予想以上の開きあり。バッテリーの持ちもネック

 このように目に見えるスペックや仕様は酷似している一方、価格面および汎用性では「A12」に圧倒的な分があるわけだが、現物を実際に使ってみると、そう単純に優劣を判断できないことが見えてくる。ここからは実機を使って初めて分かる両者の違いについて見ていこう。

 まずはベンチマーク。両製品ともSoCは「8コア」なのだが、メーカーサイトなどでSoCを調べると、Fireはミドルレンジ向けの「MediaTek MT8188J」、「A12」はエントリー向けの「Unisoc T7200」を採用していることが分かる。この時点で、Fireのほうが性能が上であると予想がつく。

 ではどのくらい差があるかということで、Google Octaneでベンチマークを取ってみると、スコアは「Fire Max 11」が2万半ばのところ、「A12」はわずか1万ちょっとと、およそ半分。下位の「Fire HD 10」でも1万後半はあるので、エントリークラスの中でもかなり控えめであることが分かる。

 実際のところ、「A12」を使っていると、全体的に動きがもっさりしており、スクロールにもカクつきが見られる。完全に無応答になり何度も再起動を強いられるといったタイプの性能の低さではなく、致命的というほどではないのだが、しばらく使ったあとに「Fire Max 11」を使うとそのサクサクぶりに驚かされたりするので、おおよそベンチマークのスコア差に準じた性能差があると見てよい。

Google Octaneによるベンチマークスコア。「Fire Max 11」(左)は「23985」、「A12」(右)は「11542」と約2倍の差がある

 さらにバッテリーについては、「Fire Max 11」は7,500mAh、「A12」は8,000mAhと、容量自体はほぼ横並びだが、実際に使ってみると「A12」はバッテリーの減りがかなり速い。試しに輝度を最大、音量をゼロにしてAbemaアプリでストリーミング再生を約5時間行ったところ、「Fire Max 11」はバッテリー残量100%から37%まで減少したのに対し、「A12」は24%まで減少した。

 バッテリー消費のスピードはアプリによっても違うので、電子書籍アプリにそのまま当てはまるものではないが、単純に「Fire Max 11」との差ということで言えば、「A12」は一抹の不安がある。ちなみに両製品ともUSB PDによる急速充電には対応しないので、充電にそこそこの時間がかかるのもネックだ。

表示性能は十分。大画面で雑誌表示などに強みも

 一方で表示性能については、両製品ともに実用性は十分だ。解像度は「Fire Max 11」が213ppi、「A12」が195ppiと、おおむね同等。コミックを見開きで表示して細部のディティールを見比べても、違いは感じられない。

 一方で画面の明るさについてはやや差があり、「Fire Max 11」に比べると「A12」は最大輝度が低く、全体的に画面が青みがかって見える傾向がある。スマホのように直射日光下で使う機会が多いわけではないので、多少暗くても露骨な影響があるわけではないが、このあたりは実機で比較して初めてわかる差ということになる。

コミックを見開きで表示したところ。上が「Fire Max 11」、下が「A12」。表示サイズは「A12」が二回りほど大きい
細部のディティールの比較。左が「Fire Max 11」、右が「A12」。ほぼ同等といった印象だ。なお「A12」はFireほど画面が明るくなく、並べるとやや青みがかった印象を受ける
雑誌の単ページ表示にも向く。アスペクト比の関係で上下にはやや大きな余白ができるが表示サイズ自体は十分

 画面サイズはどうだろうか。両製品とも同じ2000×1200ドットではあるものの、画面サイズの1インチ差というのは想像以上に開きがある。コミックの見開き表示ならばまだしも、雑誌の単ページ表示ともなると、「A12」のほうが有利だ。天地にできる余白がやや目立つが、これはiPadのようなアスペクト比4:3の製品を除けば、昨今のほとんどのタブレットで条件は同じだ。

 一方で、画面サイズが大きいということは、ボディの重量がそのぶん重いということでもあり、実測495gの「Fire Max 11」に対して「A12」は実測605gと、100g以上の差がある。画面サイズはそこまで重視しておらず、軽さのほうが重要な場合、むしろ「Fire Max 11」のほうがニーズに合致するはずだ。

両製品を重ねたところ。ボディサイズには思いのほか差があることが分かる

電子書籍にこだわる人には「A12」はありうる選択肢

 以上のように、実機を使って見えてくるのは、まずは性能差だ。本来、Fireと比較した場合のAndroidタブレットの強みは、さまざまなアプリをインストールして使える汎用性にあるが、「A12」は性能がそれほど高くないことから、電子書籍などのライトな用途ならばともかく、それ以外の用途には積極的にお勧めできないのが困りものだ。

 向いているのは、Kindle以外のさまざまな電子書籍ストアを使う用途だろう。これならばそこまでパワーがなくても問題ない上に、Google Playストア経由でさまざまなアプリが使える強みも生きてくるので、「A12」を選ぶ必然性もある。価格は「Fire Max 11」の約半額なので、なるべくコストを抑えたい人にも向いている。

 一方で前述のように画面サイズが大きいことを活かして、雑誌コンテンツの閲覧を行いたい人にも向く。予算の制約が厳しく、その上で電子書籍にこだわる場合には、十分に考えうる選択肢と言えるだろう。

 ただし電子書籍以外のウェイトが高いようであれば、今回紹介した2製品はひとまず置いて、もう少し予算を確保したうえで、別のGoogle Playストア対応のAndroidタブレットを探したほうがよいだろう。「A12」に関しては、さまざまな用途に使おうとすればするほど、性能の低さがネックになってくる可能性は、織り込んでおいたほうがよさそうだ。