山口真弘のおすすめ読書タブレット比較

カラーE Ink搭載の「Kindle Scribe Colorsoft」登場! 「Kindle Colorsoft」との違いは?

画面サイズ以外の違いも実機で比較

左が7型の「Kindle Colorsoft」、右が11型の「Kindle Scribe Colorsoft」。いずれもカラーE Inkを搭載している

 Amazonから、カラーE Inkを搭載したKindleの大画面モデル「Kindle Scribe Colorsoft」が登場した。カラーE Ink採用のKindle端末としてはすでに7型の「Kindle Colorsoft」が存在しているが、今回の大画面モデルは単なるサイズ違いにとどまるのか、そうではなく機能や使い勝手にも違いがあるのかは気になるところ。実機を比較しつつ、その違いを見ていこう。

 なお画質比較のサンプルには、『Kindle Unlimited』で配信されている、森田 崇/モーリス・ルブラン著『怪盗ルパン伝アバンチュリエ 第1巻』を、許諾を得て使用。またテキストは夏目漱石著『坊っちゃん』を、雑誌は『DOS/V POWER REPORT』の最終号を、サンプルとして使用している。

まずは両製品の特徴をざっとおさらい

 まずは両製品の特徴をひととおり把握しておこう。「Kindle Colorsoft」は、Kindleシリーズとしては初のカラーE Ink搭載モデルとして2024年に登場(日本国内での発売は2025年)した製品で、画面サイズはモノクロ版の普及モデル「Kindle Paperwhite」と同じ7型を採用している。

 この画面サイズを始めとして、フロントライト搭載、防水機能など、多くの特徴は「Kindle Paperwhite」と共通しており、実質的にはカラー版「Kindle Paperwhite」と言っていい特徴を備えている。ただしカラー化の影響か、ページめくりなどの挙動は「Kindle Paperwhite」よりも若干もっさりした部分も見られる。またカラーゆえ実売価格は39,980円からと、モノクロ版(27,980円から)に比べやや高価だ。

「Kindle Colorsoft」。画面サイズは7型で、片手で鷲掴みにできる大きさ
USB Type-Cポートおよび電源ボタンはボディ下部に集約されている

 続いて紹介するのが、今回新しく登場した「Kindle Scribe Colorsoft」だ。名前からも分かるように、既存のカラーE Inkモデル「Kindle Colorsoft」と、大画面モデル「Kindle Scribe」の特徴を兼ね備えた製品で、タッチペンにも対応し、手書きでの入力が行えるのが「Kindle Colorsoft」との大きな違いだ。

 Kindleデバイスの中で最上位にあたるモデルだけに、実売価格は106,980円からと、読書端末としてはかなり高価となっている。読書用途だけではなかなかポンと出せる金額ではなく、導入にあたってはハードルとなりがちだ。ちなみにラインナップはいずれもタッチペンとのセットとなっており、タッチペンなしでの単体販売は用意されていないのも特徴だ。

「Kindle Scribe Colorsoft」。画面サイズは11型
USB Type-Cポートはボディ下部に、電源ボタンは側面にと、各面に分けて配置されている。背面隅の4箇所のゴム脚も特徴

両者ともにカラーE Inkを採用。画面サイズの差はおよそ2倍

 では両製品を画面周りから順に比較していこう。画面サイズは7型と11型ということで、ボディの面積は2倍ほど違う。11型の「Kindle Scribe Colorsoft」を横倒しにして見開き表示にしても、1ページのサイズは実質7.8型と、「Kindle Colorsoft」を上回っており、十分すぎる大きさであることが分かる。見開き表示のほか、雑誌などの単ページ表示を余裕を持って行えるのは、11型の「Kindle Scribe Colorsoft」の強みだ。

両製品の比較。7型と11型ということでサイズ差は一目瞭然だ
画質の比較。左が「Kindle Colorsoft」、右が「Kindle Scribe Colorsoft」。色合いは若干異なるが表現力は同等

 モノクロ時の解像度は、7型の「Kindle Colorsoft」は1,680×1,260ドット、11型の「Kindle Scribe Colorsoft」は2,640×1,980ドットで、どちらも白黒300ppi、カラー150ppiとなる。ちなみに「Kindle Scribe Colorsoft」を見開き表示にした場合、1ページあたり1,986×1,324ドットになるので、7型の「Kindle Colorsoft」よりもひとまわり大きく、かつ解像度は同等ということになる。

コミックを比較したところ。左が「Kindle Colorsoft」、右が「Kindle Scribe Colorsoft」。圧倒的なサイズ差がある
「Kindle Scribe Colorsoft」(右)を横倒しにして見開き表示にしても、1ページのサイズは「Kindle Colorsoft」(左)よりひとまわり大きい

 画面の色合いは、フロントライトを100%、暖色をOFFにした状態では、「Kindle Colorsoft」のほうがやや青白い。使われているパネルが異なるのか、それとも単にロットの違いなどの要因かは不明だが、近い色にするためには暖色を若干プラスするなどの調整が必要だ。とはいえどちらも彩度の低いカラーE Ink独特の色調であることに変わりはない。液晶とまったく異なるこの色調に馴染めるかは、ひとつのポイントになるだろう。

画質の比較。左から「Kindle Colorsoft」、「Kindle Scribe Colorsoft」(単ページ)、「Kindle Scribe Colorsoft」(見開き)。カラーE Inkならではの彩度の低さが特徴だが、見開きにした状態でもクオリティ自体は十分に高いことが分かる

防水機能やタッチペン対応の有無を除けば相違点は少なめ

 次にボディ周りについて見ていこう。本体重量は、「Kindle Scribe Colorsoft」は約400g、「Kindle Colorsoft」は約215gと、おおむねサイズ差に準じた重量差がある。ちなみに同等サイズの液晶タブレットは、11型クラスは500g前後、8型クラスは300g前後が一般的なので、両製品とも液晶タブレットよりも2~3割軽い計算になる。長時間手で持っても疲れにくいのはプラス要因だ。

 これ以外のボディ周りの相違点としては、「Kindle Colorsoft」がIPX8の防水性能を持ち、水がかかる場所でも使用できるのに対して、「Kindle Scribe Colorsoft」は防水は非対応であることが挙げられる。これはタッチペンの利用可否などとも関係していると考えられる。

 そのタッチペンについては、ノートを取る用途以外に、電子書籍に注釈を記入する用途でも使用できる。これまでは指先でなぞるしかなかったのが、タッチペンで正確に範囲を指定できるのはプラス要因で、なおかつメモを書き込むことも可能だ。先に「Kindle Scribe Colorsoft」に慣れたユーザーがあとから「Kindle Colorsoft」を使うと、タッチペンが使えないことを不便に感じる場合もあるかもしれない。

両製品を重ねたところ。かなりのサイズ差があることが分かる。ちなみに「Kindle Colorsoft」のほうが厚みがある
「Kindle Scribe Colorsoft」はタッチペン(プレミアムペン)が標準添付される。タッチペンなしの本体のみ単体売りのパッケージは用意されていない

 その他の仕様については、Wi-Fiはどちらも2.4GHz/5GHz帯の両方に対応するほか、駆動時間は両者ともに8週間と横並び。充電時間は「Kindle Colorsoft」が9Wの以上充電アダプターで2.5時間、「Kindle Scribe Colorsoft」が20Wの充電アダプターで3時間。時間としては若干の違いだが、充電アダプターの性能を考慮する必要があるだろう。

 大きな違いとして挙げられるのはストレージ容量で、「Kindle Colorsoft」が16GBなのに対して、「Kindle Scribe Colorsoft」は32/64GBというラインナップ。後者は電子書籍だけでなくノートを取ることも可能であるため、そのぶん容量を多めに確保していると考えるのが自然だ。

 また両製品とも対応する電子書籍ストアは「Kindleストア」のみで、他の電子書籍ストアに対応しないのはもちろん、動画や音楽再生などにも非対応。例外的にWebブラウジングには対応するが、読み込みが遅くネットサーフィン用途での実用性はほぼ皆無だ。読書中にWikipediaを参照するなどの用途が精一杯と考えたほうがよいだろう。

タッチペンよりもやはり画面サイズがポイント。問題は価格か

 以上ざっと見てきたが、基本的には画面サイズの差、およびタッチペンへの対応の有無が相違点ということになる。細かいところではストレージ容量の差、および防水対応の有無もあるが、どちらかというと些細な相違点だ。

 また電子書籍ユースでは、常時タッチペンを使うわけではないため、やはり大画面に魅力を感じるかがポイントということになる。前述したように見開きでの1ページあたりのサイズは7型の「Kindle Colorsoft」を上回るので、見開きで、なおかつなるべく大きな画面で読みたいという、わがままなユーザーのニーズにも適している。

背面の比較。「Kindle Colorsoft」(左)のような背面の滑り止め加工は、「Kindle Scribe Colorsoft」(右)には施されていない

 その上でネックとなるのはやはり価格で、「Kindle Colorsoft」は39,980円からなのに対して、「Kindle Scribe Colorsoft」は最小構成で10万円オーバーと、2.5倍程度の差がある。モノクロ版のKindle Scribeであれば64,980円と予算は大幅に抑えられるが、いちどカラーE Inkを見てしまうと、モノクロは手が出ないというのは紛れもない事実。

 特に「Kindle Scribe Colorsoft」を求めるユーザーは、雑誌や技術書などのカラー表示や図表の色分けを魅力に感じているケースも多いはずで、モノクロを選んだ場合は得られるはずだった体験の多くが失われると考えられる。そのあたりの折り合いがつかなければ、コンパクトな「Kindle Colorsoft」でひとまずカラーE Inkを体験し、タッチペンが使える「Kindle Scribe Colorsoft」はいずれ追って……という判断もありかもしれない。

 いずれにせよ、Kindleの各モデルはセールなどで大幅値引きになることも多く、それによっても判断は変わってくる。どちらも致命的な欠点はなく、買って後悔することはないと考えられるので、予算重視でまずはカラーありきという人は「Kindle Colorsoft」を、大画面に惹かれつつタッチペンにも可能性を感じる人は「Kindle Scribe Colorsoft」といった具合に、優先順位をつけて判断するのが吉ということになりそうだ。