山口真弘のおすすめ読書タブレット比較
カラーE Inkの登場で違いがわかりにくくなった「Kindle」と「Fire」 ~それぞれの特徴
2026年3月31日 14:42
これまで十数年にわたり、電子書籍を楽しむためのAmazonの端末といえば、テキストやコミックを中心に読書に集中したければE Ink電子ペーパー採用のモノクロ端末「Kindle」、カラー表示が必要でさらに音楽や動画も楽しむならメディアタブレットの「Fire」といった具合に、明確な区分があった。
しかし近年になってKindleにカラーE Inkモデルが登場したことで、この区分はかつてよりも曖昧になりつつある。今回は、そんなKindleのカラーE Inkモデル「Kindle Colorsoft」と、メディアタブレットFireの8型モデル「Fire HD 8」を比較し、両者の特徴および利用シーンごとの向き不向きを改めてチェックしていく。
なお画質比較のサンプルには、『Kindle Unlimited』で配信されている、森田 崇/モーリス・ルブラン著『怪盗ルパン伝アバンチュリエ 第1巻』を、許諾を得て使用。またテキストは夏目漱石著『坊っちゃん』を、雑誌は『DOS/V POWER REPORT』の最終号を、サンプルとして使用している。
まずは両製品の特徴をざっとおさらい
まずは両製品の特徴をひととおり把握しておこう。「Kindle Colorsoft」(以下Kindle)は、7型のスクリーンを採用したカラーE Ink端末で、目に優しく、消費電力が少ないことが大きな特徴だ。Kindleシリーズとしては初のカラーE Ink搭載モデルだが、液晶と比べると色の鮮やかさという点ではやや遅れを取るほか、ページ切替時に残像が発生するなど、E Inkならではの挙動はモノクロE Inkから大きくは変わっていない。
対応するのは「Kindleストア」のみで、他の電子書籍ストアに対応しないのはもちろん、動画や音楽再生などにも非対応だ。一方E Inkは消費電力が低いことから、一旦充電すれば数週間は充電なしで運用可能な特徴は見逃せない。さらに防水機能を備えており、水がかかる場所で利用できるのも利点のひとつだ。
一方の「Fire HD 8」(以下Fire)は、8型の液晶タブレットで、KindleストアのほかプライムビデオやプライムミュージックなどAmazonのコンテンツに最適化されている。ベースはAndroidだがPlayストアに対応しないことから、利用できる電子書籍ストアは「Kindleストア」以外では「dマガジン」のみと、汎用のAndroidタブレットに比べ制限はある。
ハードウェアとしては一般的なAndroidタブレットと大きな違いはなく、ワイドサイズの画面にスピーカーを搭載。最近のタブレットとしては珍しくイヤホンジャックも利用できる。カメラも搭載しているが、性能的にはおまけ程度とみなして差し支えない。また防水機能には非対応だ。
同じカラー対応でも色合いはまったく異なる
ではこの2製品をざっと見比べながらチェックしていこう。
まず目につくのは色合いの違いだ。IPS液晶採用で色鮮やかなFireに対して、KindleのカラーE Inkは全体的に彩度が低く、薄く色がついて見えるという程度でしかない。そのため色合いが重視される写真や、繊細なディティールが売りのイラストの表示には向かない。
一方で、色によって違いを表現しているグラフや図表などのコンテンツの表示においては、たとえ彩度が低くとも十分すぎるほど役に立つ。本のライブラリやストアページも同様で、モノクロE Inkと比べた場合の判別のしやすさは明らかだ。色の鮮やかさを求めるのであれば、設定画面で[標準]を[ビビッド]に切り替えることで、わずかながら彩度が向上する。
ただしページ書き換え後も画面に表示されたままになる前ページの残像、それを消去するために定期的に発生するリフレッシュなどの挙動は、モノクロE Inkの時と変わらず存在している。E Inkパネルの進化でかなり改善されたとはいえ、人によってはかなり気になる挙動であるため、E Ink未体験の人はモノクロモデルで構わないので、購入前に店頭のデモ機などで確認しておくことをおすすめする。
両製品ともに見開き表示は難あり。ライトの違いにも注目
続いて表示性能について。同じコンテンツを表示した場合のサイズは、Kindleは7型、Fireは8型ということで、Fireのほうが大きく表示できる。Fireはアスペクト比の関係で画面が細長く、そのぶんページの横幅が圧縮されるが、それでもKindleより大きく表示されることに変わりはない。ただし7型/8型というサイズから想像されるほどの極端な差はない。
画面を横向きにしての見開き表示は、両者ともに不可能ではないが、Kindleはそもそものサイズが小さすぎて実用的ではなく、一方のFireはサイズ的には問題はないものの解像度が低いせいで細い線がつぶれてしまいがちだ。基本的には両製品ともに、縦向きで1ページずつ表示することが前提になるだろう。
一方でこのカラーE Inkは、画面を背後からではなく上下左右から照らすフロントライトを採用している。バックライト方式で目に光が直接飛び込んでくる液晶と異なり、長時間閲覧していても目が疲れにくいのは大きな利点だ。個人差もあるので一概には言えないが、液晶は目が疲れて仕方がないという人は試してみる価値はあるだろう。
その他の相違点をまとめてチェック
これ以外の機能を見ていこう。「Kindleストア」が使えること自体は両製品ともに同一だが、Fireはさらに「dマガジン」も利用できる。電子書籍系でもうひとつの選択肢があることに、魅力を感じる人はいるだろう。ただし8型ということで雑誌コンテンツはページ全体を表示するには向かず、たびたび拡大表示が必要となる点は気をつけたい。
このほかFireは音楽や動画も楽しめるが、読書に専念したい場合はほかの選択肢を余計に感じることもあるはずで、対応の幅が広いことでイコールFireが有利とはならないだろう。このあたりは評価に個人差が出てくる部分だ。
Webブラウザーによるインターネットアクセスは、両製品ともに対応している。ただしKindleについては、E Inkにつきものの残像が、上下スクロールと決定的に相性がよくないことから、お世辞にも快適とはいえない。カラー表示に対応したことでモノクロに比べて実用性は向上しているが、読み込みも遅く、あくまでもおまけ機能と考えたほうがよいだろう。
端末の持ちやすさはどうだろうか。かつてKindleが6型だった頃は、片手で掴めるKindleに対してFireはかなり難しいという、持ち方による棲み分けがあったのだが、現行のKindleは7型、かつアスペクト比の関係で8型のFireとは横幅はそう違わず、どちらも片手で掴むのは難しい。特に寝転がって仰向けで読書するような場合は、バンドなどの補助ツールがないとつらいのは、両製品ともに共通だ。
両製品で大きな違いがあるのはバッテリーだ。充電は週単位で行えばよいKindleに対して、Fireは実質2~3日に1回程度の充電は欠かせず、自宅内での利用であれば、未使用時は充電ケーブルに常時つないでおく形になるはずだ。通勤通学の電車内で使うのが前提ならば、普段はバッグに入れっぱなしにしておき、週末にだけ取り出して充電するルーティンで回せるKindleのほうが扱いやすいだろう。
セールを活用して賢く購入したい
最後に価格について見ていこう。かつては低価格が売りだったKindleだが、今回のカラーE Inkモデルは実売価格が39,980円からと、お世辞にも安価とはいえない価格設定になっている。一方のFireは、エントリークラスの性能は数年前から据え置きとはいえ、実売1万円台(17,980円)というコスパの高さは健在で、スマホよりも大画面で楽しめるデバイスを探している場合には格好の選択肢だ。
もっとも両者ともにAmazonの製品ということで、不定期に開催されるセールで大幅に値引きされることが多く、通常時の価格だけで判断するのは早計だ。今回紹介してきた両者の違いをもとに優先順位を付けておき、セールのタイミングを狙って購入するというのが、ユーザーとしては賢い方法と言えそうだ。



































![【Amazon.co.jp限定】1冊ですべて身につくHTML & CSSとWebデザイン入門講座[第2版] (特典:「Webデザイナーのポートフォリオの作り方入門講座」データ配信) 製品画像:5位](https://m.media-amazon.com/images/I/51skMJ-OVcL._SL160_.jpg)



