山口真弘のおすすめ読書タブレット比較
Amazonの「Fire HD 8(第12世代)」はどのモデルを選ぶべき? パフォーマンスを比較
新旧合わせてハードウェアの構成違いが4種類
2024年10月17日 12:39
Amazonからメディアタブレット「Fire HD 8」の最新モデルが2024年10月に登場した。呼び名は従来と同じ「第12世代」で、さらにストレージ容量ごとにメモリ容量が異なることから、従来の「第12世代」と合わせてメモリ容量が3種類(2GB/3GB/4GB)も存在するという、非常にわかりにくいラインナップになった。
さらに従来のワイヤレス充電対応の上位モデル「Fire HD 8 Plus」を加えると、実に4種類ものモデルがあり、性能的にはどのモデルが上位なのか、また用途によってどれを選ぶべきなのか、混乱は必至のラインナップとなっている。
今回は、この「第12世代のFire HD 8」4モデルの実機を用意し、見分け方を紹介するとともに、ベンチマークアプリによるパフォーマンスの差についてお届けする。
各モデルの見分け方は?
改めて、この「第12世代のFire HD 8」のラインナップをざっと列挙する。カラーバリエーションや子供向けのキッズバージョンを除外しても、これだけのモデルがある。
2022年発売
- メモリ2GB/ストレージ32GBモデル
- メモリ2GB/ストレージ64GBモデル
- メモリ3GB/ストレージ32GB/ワイヤレス充電対応モデル(Fire HD 8 Plus)
- メモリ3GB/ストレージ64GB/ワイヤレス充電対応モデル(Fire HD 8 Plus)
2024年発売
- メモリ3GB/ストレージ32GBモデル
- メモリ4GB/ストレージ64GBモデル
ストレージ容量以外に違いがなければ性能は原則同じと考えられるので、2022年発売モデルは実質2種類とみなせるが、2024年に発売された新モデルはストレージ容量ごとにメモリ容量も異なるので、性能的にも相違があると考えられ、別モデルとして扱わざるを得ない。
つまり「第12世代のFire HD 8」には、ワイヤレス充電対応の「Fire HD 8 Plus」も含めて、性能差のある4モデルが存在することになる。そもそもこの世代の数字自体、「世代の数字は発売年ごとに決まる」というAmazonのレギュレーションからも外れており、非常にややこしい。もう少しどうにかならなかったのかと思わずにはいられない。
ではこれらのモデルはどうやって見分ければよいのだろうか。どのモデルも、「端末オプション」の「Fireタブレットのバージョン情報」では「Fire HD 8(第12世代)」と表示されるので、モデルを判別するにあたっての手がかりにならない。
外見での見分け方としては、ワイヤレス充電対応の「Fire HD 8 Plus」だけは、ボディカラーがほかにないグレーなので、見た目ですぐに判別できる。
それ以外の3モデルについては、見た目はほぼそっくりなのだが、背面に細かい凹凸の加工が施されているかどうかで、2024年モデルと2022年モデルを判別できる。具体的には以下の写真を見てほしい。
最後に残るのが、2024年発売の2モデルをどう見分けるかだ。これらは外観も完全にそっくりなのだが、ストレージ容量が違うことに着目して、設定画面の「ストレージ」でストレージ容量を見ることで判別できる。
この画面における容量はあくまで「利用可能容量」なので、32GBモデルは25GB前後、64GBモデルは55GB前後とズレがありわかりづらいが、差があるので取り違えることはないだろう。ちなみに2022年発売のメモリ2GBモデルもストレージ32GB/64GBの2種類が存在するが、同じ方法を使って判別できる。
このほかシステム情報の表示に対応したアプリを導入して、メモリ容量で判別したり、Amazonが用いている「KFRAPWI」などの型番で見分ける方法もある。ただしそれらはほかの情報と組み合わせなくてはいけない場合が大半なので、基本的には上の方法のいずれかを用いるのが手軽だろう。
パフォーマンスの差は? 表示性能に違いはある?
さて問題となるのは、これらのモデルの違いによるパフォーマンスの差はどの程度あるのかということだ。これらモデルはワイヤレス充電対応の「Fire HD 8 Plus」も含め、すべて同じSoC(MediaTek MT8169A)を採用しているため、性能で差がつくとすれば、事実上メモリ容量の違いによって決まると考えられる。
実際に、ここまで見てきた4モデルのベンチマークを測定してみた。もっともスコアが高いのがメモリ4GBモデルなのは、どのベンチマークアプリでも共通なのだが、その他の3モデルはメモリ容量と無関係にスコアが前後する場合もある。またそもそもスコア自体、あまり大きな差が見られない。
一方、体感的なレスポンスはかなりの差があり、なかでも2GBモデルと4GBモデルは、アプリの起動にかかる時間などの点において、明らかな差がある。一方の3GBモデルは、そこまで明確なレスポンスの差は感じないが、どの操作でも比較的きびきびしている4GBモデルよりは、2GBモデルに近い印象を受ける。
これらを総合して考えると、もっさりした動きを解消したいという理由で買い替えを考えるのであれば、候補は4GBモデル一択だろう。その一方「Fire HD 8 Plus」からの移行であれば、たとえこの4GBモデルでも、あまりインパクトは感じない可能性があるので、ワイヤレス充電機能が使えなくなる点も踏まえ、買い替えには慎重になったほうがよい。
もっとも、電子書籍アプリのように負荷の低い用途であれば、スペックが低い2GBモデルでもまったく使えないわけではない。本を閉じてストアを起動する、アプリを終了してホーム画面に戻る、などの操作で、上位のモデルに比べて反応がワンテンポ遅れがちなだけで、ページめくりなどの基本操作においては差を感じない。
特に電子書籍ユースでは、8型という画面サイズ、および1,280×800ドットという解像度が共通である以上、表示性能はまったくの横並びだ。パフォーマンス面でストレスを感じたくなければ4GBモデル一択だが、予算ありきであればほかの選択肢も視野に入ってくる、といったところだろう。本稿執筆時点では2022年発売の2GBモデルも継続販売されているので、これらの情報が参考になれば幸いだ。