山口真弘のおすすめ読書タブレット比較
Amazonのコスパ良好タブレット「Fire HD 8」は最新モデルへ買い替えるべき?
~旧モデルとの違いを徹底比較!
2022年7月12日 06:55
Amazonのタブレット「Fire」シリーズの中で、もっとも人気が高いのが、8型の「Fire HD 8」だ。持ち歩きやすいコンパクトなボディサイズで、実売価格が1万円前後から手に入る激安ぶりが人気の秘訣だ。同等サイズのiPad miniと比べて表示解像度は低いとはいえ、これだけ安ければ導入のハードルは極めて低い。
この「Fire HD 8」、本稿執筆時点(2022年7月10日)の最新モデルは、2020年に発売された第10世代モデルだが、それ以前に発売された過去モデルとはどのような点が違うのだろうか。また買い替えた場合、どのような点でメリットがあるのだろうか。
今回は、歴代の「Fire HD 8」すべてを紹介しつつ、現行モデルに買い替える利点、また見逃されがちなポイントについて紹介する。手持ちのモデルからの買い替えにあたって参考にしてほしい。なお画質比較のサンプルには、「Kindle Unlimited」で配信されている、森田 崇/モーリス・ルブラン著『怪盗ルパン伝アバンチュリエ 第9巻』を、許諾を得て使用している。
なお基本的な知識として、Fireの各製品における「第○世代」という表現は、原則として発売年によってつけられるため、数字が連続していないことに気をつけたい。例えば現行モデルは第10世代だが、もうひとつ前は第8世代であり、第9世代というモデルは存在しない。見分け方はAmazonのサイトにも掲載されているので、参考にしてほしい。
「Fire HD 8」(2015、第5世代)
「Fire HD 8」の初代にあたるモデルで、光沢のあるボディと、311gという歴代最軽量ボディが特徴。ただしメモリ容量はわずか1GBで、ストレージも8GB/16GB構成であるなど、いまとなってはスペックが低く、動作のもっさり感もかなりのもの。またOSはFireOS 5系列で、現行モデルのFireOS 7系列へのアップデートは行えない。モデル番号は「KFMEWI」。
「Fire HD 8」(2016、第6世代)、「Fire HD 8」(2017、第7世代)
初代である第5世代モデルと比べ、メモリが1GB→1.5GB、ストレージが8GB/16GB→16GB/32GBへと底上げされているが、Wi-Fiの11ac対応が省かれたほか、ボディが大幅に厚くなり重量が増すなど、第5世代モデルより退化した箇所も見られる。OSもFireOS 5系列で、現行モデルのFireOS 7系列は非対応。なお翌2017年に第7世代モデル(モデル番号:KFDOWI)がリリースされているが、ポート類の配置を除きほとんど違いはない。
「Fire HD 8」(2018、第8世代)
第7世代をベースに音声アシスタント「Alexa」のShowモードを追加したモデルで、外観やスペックは第6・7世代と同様。ただしこちらはOSがFireOS 7系列であることから、現行の第10世代モデルとほぼ共通の機能が使え、設定画面の分類などもより直感的だ。またメモリカードも最大400GBまでサポートするよう改められている。モデル番号は「KFKAWI」。
「Fire HD 8」(2020、第10世代)
本稿執筆時点での最新モデルで、メモリ3GBでワイヤレス充電対応のPlusバージョン(「Fire HD 8 Plus」)と、メモリ2GBの標準バージョンの2モデル構成。両モデルともメモリ以外にCPUも大幅に強化されているほか、ストレージも16GB/32GB→32GB/64GBへと大容量化が図られている。さらに本体を横向きで利用することを前提としたデザインへと改められ、ポートもUSB Type-Cを採用している。モデル番号は「KFONWI」。
第10世代モデルへの買い替えにあたり知っておきたいこと
以上が各モデルの概要なのだが、結論から言ってしまうと、第8世代以前のモデルはすべて、現行の第10世代モデルに買い替えるメリットは十分にある。
というのも現行の第10世代モデルは、CPUやメモリのスペックアップはもちろん、microSDも最大1TBまで対応、さらにUSB Type-Cを採用するなど、フルモデルチェンジといっていい進化を遂げているからだ。少しでも快適に利用したい人にはPlusバージョン、コスト重視ならば標準バージョンと、用途に応じた選択肢があるのも評価できる。
また第7世代以前のモデルは、FireOS 5のアップデートが終了しており、現行のFireOS 7に対応しないことから、なおさら買い替える価値は高い。グループでくくると「第10世代」「第8世代」「第7世代以前」という3つがあり、その中でも第10世代は頭一つ抜けているイメージだ。上位のPlusバージョンともなるとなおさらである。
ただし注意しなくてはいけない点はいくつかある。ひとつは画面解像度だ。歴代の「Fire HD 8」は画面がすべて1,280×800ドット(189ppi)なので、解像度の低さが気になるからといって現行モデルに買い替えても解決にはならない。高解像度を求めるならば、同等の画面サイズで高解像度のタブレット、すなわちiPad miniなどを検討すべきだろう。
また現行の第10世代モデルは発売からすでに丸2年が経過しており、いつ次期モデルが発表されてもおかしくないことは指摘しておきたい。「Fire HD 8」は過去のモデルチェンジの間隔が2年以上空いたことがなく、現在はすでにそれを超えているため、明日いきなり第10世代モデルが型落ちになる可能性はあることは、念頭に置いておきたい。
ただし新モデルが登場しても、前回フルモデルチェンジを行った直後であることから、次の新モデルでがらりと内容が変わることも考えにくいのもまた事実だ。唯一の例外は「高解像度化」だが、それさえ行われなければ、それほど差異のないアップデートにとどまると予想される。
また円安基調の影響でiPhone/iPadをはじめとするガジェットの大幅値上げが相次ぐ昨今、次期モデルでこれまでの価格水準が維持できるとは限らない。これらを踏まえて考えると、たとえ近日中に次期モデルがリリースされるにしても、現行の第10世代モデルがリーズナブルな価格で手に入れられる機会があれば、買い替えは決して間違った選択ではないだろう。