山口真弘のおすすめ読書タブレット比較
いま「Kindle Oasis」の最新モデルへ買い替えるべき旧モデルはどれ?
Kindleの最上位モデルの全世代を徹底比較
2022年6月16日 06:55
Amazonの読書端末「Kindle」の最上位モデルと言えば「Kindle Oasis」だ。初めて登場したのは2017年と比較的最近だが、歴代のモデルにはいずれもその時点で最高のスペックと、ほかのモデルにない機能が盛り込まれており、価格こそ高価ながら、Kindleのヘビーユーザにとって垂涎の製品だ。
今回は、この「Kindle Oasis」の歴代3モデルに加えて、「Kindle Oasis」登場前のハイエンドモデル「Kindle Voyage」を含めた計4製品について、それぞれの特徴を紹介しつつ、2022年6月上旬時点での買い替えの必要性についてチェックする。コミックの表示サンプルには、「Kindle Unlimited」で配信されている、森田 崇/モーリス・ルブラン著『怪盗ルパン伝アバンチュリエ 第6巻』を使用している。
なお基本的な知識として、Kindle各製品の「第○世代」という表記は、製品そのものの世代とは異なることに気をつけたい。例えば「Kindle Oasis」の初代モデルは、「Kindle Oasis(第8世代)」、3代目にあたる現行モデルは「Kindle Oasis(第10世代)」と呼称するのが一般的で、本稿での呼び名もこれに従っている。Amazonのサイトにも関連情報が掲載されているので、参考にしてほしい。
「Kindle Oasis」(第10世代)~2019年発売
第10世代にあたる現行の「Kindle Oasis」は2019年に発売されたモデルで、画面は薄く、グリップ部分だけが厚みがあるという、それまでの「Kindle Oasis」のデザインを踏襲している。もっともこれはひとつ前の第9世代モデルとまったく同一であり、ページめくりボタンや、IPX8規格に準拠した防水機能を備える点も共通している。
第9世代モデルと異なるのは、Kindleとしては初めて、フロントライトを暖色に調整する機能を搭載したこと。また第9世代モデルに用意されていた無料3G対応モデルは、本モデルでは無料4G対応モデルへとアップデートが図られている。とはいえ実体としてはマイナーチェンジであり、パフォーマンスの違いもそう大きくはない。
「Kindle Oasis」(第9世代)~2017年発売
第9世代の「Kindle Oasis」は2017年に登場したモデルで、現行の第10世代と外見は同一、違いと言えばフロントライトの暖色をサポートしていない程度の違いしかない。
一方、その前の初代モデルとは、ページめくりボタンと、グリップ部が厚いデザインを除いては、まったくの別物といっていいほど設計が一新されている。初代モデルの特徴だったバッテリー内蔵カバーは廃止され、防水機能が追加。さらにディスプレイが6型から7型へと大型化している。ちなみにKindleで6型以上のモデルは、日本上陸前に存在したKindle DXを除けば本製品が初となる。
ただし分割されていたバッテリーが一体化され、本体に内蔵されたことで、重量は他製品と大きく変わらない190g台と、第8世代モデルの大きな特徴だった131gという軽さは失われた。また容量32GBのモデルが追加されたのもこのモデルからで、現行のKindleに通ずる大容量、大画面という傾向は、この第9世代モデルから顕著になってきたといっていい。
「Kindle Oasis」(第8世代)~2016年発売
2016年に発売された初代の「Kindle Oasis」は、画面は薄く、グリップ部は厚みがあるという現行モデルに通ずるデザインで、タッチスクリーン化によって消滅しかけていたページめくりの物理ボタンが復活したことでも話題になった。
最大の特徴は、バッテリーを分割して外付けのカバーにも搭載することで、本体と組み合わせれば長時間駆動、単体では軽量で持ち歩きやすいという、2つの使い方を実現したことだ。単体で131gという軽さは、Kindleのほかのモデルを含めても飛び抜けて軽い。
その一方、カバーと合わせると238gとかなりのヘビー級であるほか、防水には非対応、さらに画面サイズは6型と小さいなど、現行モデルと比べるとネックとなる点は少なくない。当時併売されていた後述の「Kindle Voyage」と比べると1万円以上も高価で、販売期間はわずか1年半という短命なモデルとなった。
「Kindle Voyage」~2014年発売
「Kindle Voyage」は「Kindle Oasis」が登場するよりも前、2014年に登場したハイエンドモデルで、本体の両側に感圧式のページめくりボタンを備えるのが特徴だ。「Kindle Paperwhite」並にスリムなボディでありながら、2012年のKindleストア国内上陸の時点で姿を消していたボタンによるページめくりに対応しており、ヘビーユーザの人気を集めた。
リリースから3年後の2017年になって上位モデルとなる「Kindle Oasis」が登場したものの、同じページめくりボタン搭載モデルながら特徴がまったく異なることもあり、ミドルエンドという位置づけで併売されていた。しかしその後継である「Kindle Oasis」(第9世代)の発売後は徐々に影が薄くなり、2018年9月にラインナップから姿を消した。1世代のみだったとはいえ、実質5年間も販売されたロングセラーモデルだ。
買い替えが必要かをモデルごとにチェック
それぞれの製品の特徴をチェックしたところで、買い替えが必要かどうかを見ていこう。
「Kindle Voyage」は買い替え時だが、乗り換え先の選択が難しい
まず「Kindle Voyage」は、そもそもが古い製品であり、E Inkの画面書き替えのスピードも、旧世代のそれのままだ。さらに画面サイズが小さいほか、防水機能に対応しないなど、現行モデルと比べても見劣りする部分が多い。ソフトウェアのアップデートも5.13.6で終了しており(現行モデルの最新バージョンは5.14)、買い替えの必然性は高いだろう。
ただしどの機種に乗り替えるかは難しい。ボタンにこだわるのであれば「Kindle Oasis」一択だが、ボディ幅が増すので、ニーズに合わない人もいるだろう。スリムさを優先するなら最新の「Kindle Paperwhite」(第11世代)が候補だが、こちらはページめくりボタンが使えない。DNAを受け継いだ直系のモデルが存在しないせいで、乗り替えしづらいのが「Kindle Voyage」の難しいところだ。「Kindle Oasis」の次期モデルを待つのも手だろう。
第8世代の「Kindle Oasis」はそろそろ現行モデルに
初代こと第8世代の「Kindle Oasis」は、バッテリーの分離機構や、本体の軽さなど見るべきところはあるが、画面サイズは小さく、単体でのバッテリー持続時間も短いほか、E Inkの書き替え速度もいまとなっては決して速くない。
いまのところソフトウェアのアップデートも継続して行われているが、発売から数年経ち、外付けのバッテリーも劣化してきているであろうことも考慮すると、そろそろ買い替えを検討したほうがよいだろう。買い替え先は、現行の「Kindle Oasis」一択だろう。
「Kindle Oasis」は新モデル待ちがベター
現行モデルよりもひとつ前、第9世代の「Kindle Oasis」は、フロントライトの違いぐらいしか相違点がないので、わざわざ2万円以上のコストをかけて現行モデルに乗り替えるメリットはない。長期間の利用でバッテリーが劣化してきているなど、直接的な理由があって初めて検討することになるだろう。そうでなければ、次に来るであろう新モデルを待つほうがベターだ。
無料4Gモデルは現行モデルが最後かも?
ところで、いま買い替えを行うにあたって考慮すべきなのは、無料4Gモデルの存在だ。エントリーモデルを除くKindleの各製品は、無料の4G接続に対応したモデルがラインナップされており、Wi-Fiが使えない場所でコンテンツをダウンロードしたり、既読位置の同期をするのに役立つ。コミックなど容量の大きいコンテンツのダウンロードには非対応だが、外出先で使う場合には重宝する機能だ。
しかしこの無料4Gモデルは、Kindleシリーズの最新モデルである「Kindle Paperwhite」(第11世代)ではラインナップから省かれてしまっている。Amazonが公式に終息をアナウンスした訳ではないが、かつてと違ってスマホのテザリングを使えば外出先でのクラウドへの接続は容易というトレンドの変化もあり、「Kindle Oasis」でも次期モデルで無料4Gモデルが消滅する可能性は高い。
従って無料4Gにこだわるならば、いまのうちに現行の「Kindle Oasis」の無料4Gモデルに買い替えておくというのは、ひとつの手だろう。また、すでに無料4Gモデルを所有している場合は、いったん手放すと再入手は不可能になる可能性があるので、後悔しないようくれぐれも注意したいところだ。