山口真弘のおすすめ読書タブレット比較

お風呂で読書するデバイスを選ぶときのポイントは?「Kindle Oasis」vs「Kobo Libra H2O」

 入浴中に読書をする人は意外と多いようだ。紙の本であればふやけてしまい、読み終わったあとに本棚に並べられなくなるが、防水機能を備えた端末ならばそうした問題もない。Wi-Fiさえつながっていれば、どの本を浴室に持ち込もうと考える必要もなく、浴室の中から本は選び放題、さらには買い放題だ。

 今回はこうした、浴室内での利用に向いた電子書籍端末を紹介する。また後半では、防水規格についての基礎知識も併せて触れる。

防水機能を備えたデバイスであれば浴室内で水をかぶっても問題なく利用できる。半身浴をしながらの読書にも最適だ。写真はAmazonの「Kindle Oasis」

浴室での読書に向いた電子書籍端末はこれだ

 最初に紹介するのはAmazonの電子書籍端末「Kindle Oasis」だ。E Ink電子ペーパーを採用した読書端末「Kindle」のラインナップで最上位にあたる本製品は、7型のスクリーンを備え、タップやスワイプに加えて、画面の横にある2つのボタンを使って、ページめくりを行える。

 ボディサイズはスマホを横に2台並べた程度、タブレットで言うと「iPad mini」よりもわずかに小さい程度だが、重量は「iPad mini」の300.5gに対してわずか188gと、長時間手に持っても負担になりにくいことが特徴だ。

Amazon「Kindle Oasis」。Kindleストアに対応した電子書籍端末だ。容量は8GBと32GBから選べる
画面サイズは7型。E Ink電子ペーパーを採用している
スクリーン側は薄く、本体側は厚みのあるデザイン。グリップになっており持ちやすい

 もうひとつの候補は楽天の電子書籍端末「Kobo Libra H2O」だ。楽天KoboがラインナップするE Ink電子ペーパー端末のひとつで、画面サイズは前述の「Kindle Oasis」と同じ7型、こちらもやはり画面の横にボタンを搭載し、ボタンでのページめくりも行える。

 重量はこちらも192gと、同等サイズのタブレットなどと比べて軽量で、長時間の利用に向いている。写真のホワイト以外にブラックモデルも用意されており、好みに合わせて選べるのもプラスだ。

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Kobo Libra H2O (ホワイト)
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楽天「Kobo Libra H2O」。楽天Koboに対応した電子書籍端末だ。容量は8GBのみ
画面サイズは7型。E Ink電子ペーパーを採用するなど、前述の「Kindle Oasis」に似ている
正面寄りに反ったように見えるデザインを採用。こちらも握りやすい

 この両製品はいずれもE Ink電子ペーパーを搭載しており、表示はモノクロである代わりに目に優しく、バッテリーも週単位で持つので、毎日充電する必要はない。また両製品ともフロントライトを搭載しているため、浴室内のように読書ライトが使えない環境であっても、快適な読書が楽しめる。

両製品とも7型、かつ画面の横にページめくりボタンを搭載するなどデザインは酷似している。上下を反転させ、ボタンが左側に来る状態で使うことも可能
背面の比較。段差のある「Kindle Oasis」に対し、「Kobo Libra H2O」は滑り止めの凹凸パターンが全面に刻印されている

 実際にどの程度、水がかかっても大丈夫なのだろうか。この両製品については、いずれもIPX8等級の防水機能を備えており、水深2mの真水に60分沈めても有害な影響がないとされているため、水がかかった程度で故障するような心配はまったくない。

 もちろん、水滴が画面についたまま使おうとすると、タップがまれに誤反応することはあるが、画面についた水滴を手で軽く拭きさえすれば問題なく使えるし、タッチスクリーンに触れずにボタンを使ってのページめくりにも対応する。浴室内でも安心して利用可能だ。

「Kindle Oasis」はIPX8等級の防水機能を備えており、水がかかっても問題なく使用できる
「Kobo Libra H2O」もIPX8等級の防水機能を搭載。画面とベゼルに段差があるためやや手で拭いにくい
「Kindle Oasis」は水が勢いよくかかっている状態でもタッチパネルの誤反応が少ない
Kobo Libra H2Oは、水をかけ続けると不意に文字列が選択されたり、オプション画面がポップアップしたりと、誤反応はやや多め

スマホやタブレットではなく専用端末をおすすめする2つの理由

 ところで最近では、多くのスマホやタブレットが防水性能を備えており、上記のような専用の防水端末をわざわざ用意しなくとも、浴室内で読書を楽しむことは可能だ。そうした中、敢えて専用端末をお勧めするのは、大きく分けて2つの理由がある。

 ひとつは、ボタンを使ってのページめくりに対応することだ。スマホやタブレットの場合、電子書籍のページをめくるにはタッチスクリーンでの操作が必要になるが、水滴がついたままだとどうしても誤反応が発生する。たまに水滴が飛ぶくらいなら拭えばよいが、ひんぱんに水滴が飛ぶようであれば、画面を拭いても拭いても追いつかない。

 その点、今回紹介した2つの端末であれば、ボタンによるページめくりが行えるので、画面に多少の水滴がついていても、無視して操作を続行できる。結果的に、使っていてもイライラさせられることがなく、読書に没頭できるというわけだ。

ページめくりボタンがついていれば、水滴がついたままの状態でも影響なくページをめくれる。何度拭ってもすぐ水滴がつく場所での利用には便利だろう

 そしてもうひとつは、万一壊れた場合のリスクだ。いかに防水対応とはいえ、電子機器である以上、一般的な環境で使用している場合に比べると、故障の危険は伴う。例えば、USBポートに入り込んだ水滴をきちんと拭き取らないままケーブルを差し込むなどの行為は、故障に直結しがちだ。

 これが単価の高いスマホやタブレットだと、金銭的なダメージも大きいし、汎用的な端末だけに、ひとたび壊れると読書以外の用途への影響も大きい。その点、今回紹介したような専用端末は、読書専用ということもあって万一の場合もほかへの影響が少なく、単価的にもダメージは比較的小さい。バッテリーが長寿命なので、故障につながりやすい充電の回数そのものを減らせる利点もある。

 とはいえ今回の2製品はいずれも2万円台と、読書端末としては高価な部類に入るので、さらにリスクを減らしたければ、「Kindle Paperwhite」のような、防水機能は備えつつも1万円台で入手できる端末を選ぶ手もある。前述のページめくりボタンがないなど機能は控えめだが、リスクとコストを重視するならばありうる選択肢だろう。

Kindleのミドルエンドモデル「Kindle Paperwhite」(右)も防水機能を搭載。ページめくりボタンはないが、予算を抑えて調達する場合は選択肢に入ってくる

デバイスの防水機能について知っておきたい基礎知識

 ところでこうした端末につきものの「IPX8」や「IP68」などといった防水防塵の等級については、その意味が正しく理解されていないことも多い。最低限知っておくべき点を挙げて、本稿の締めとしよう。

 まず知っておくべきなのは、今回の製品が対応している「IPX8」をはじめとした防水規格は、すべて「真水」かつ「常温」が前提ということだ。いかに防水だからといっても海水は厳禁だし、プールも塩素を含むのであまり好ましくない。浴室内でも、石鹸やシャンプーがかかるのは避けたいし、高温になるサウナもリスクが高い。

 ところがこうした製品の使用例写真では、海と砂浜をバックに読書を楽しんでいるなど、優良誤認にあたる写真が掲載されていることがある。今回紹介している端末の過去のモデルでも、発表の時点でそうした写真を載せていて、外部の指摘で引っ込めた例もあるほどだ。仮にこうした写真を見かけても、「真水」「常温」以外はNGであることは肝に銘じておきたい。

 また防水の等級はさまざまで、多少濡れても大丈夫というレベルから、短時間ならば水中でも耐えうるレベルまで幅広い。今回紹介している製品の「IPX8」は、IECないしはJISが定める8段階の防水等級の中ではもっとも安全性が高いが(水深2m・最大60分耐久)、あくまで生活防水の延長線上にあるもので、水中で使えるわけではない。「どれだけ持つか試してみよう」などと、おかしなチャレンジはしないのが肝要だ。

かつて端末に防水機能がなかった頃は、こうしたビニール製の防水ウォレットにスマホを入れて浴室に持ち込むこともあった。もっとも湿気で曇りやすい上、ケースの上からの操作しづらく、買ったはいいいがすぐ使わなくなった人も多かったはずだ

 さらに、水が侵入しやすいUSBポートは、使い終わったら入念に水滴を拭き取るのが常識だ。これらは製品ページなどにも注意事項として記載されているのだが、それらをよく読まず、ポートに水が残ったまま充電ケーブルを差し込んだりすると、容易に故障につながる。今回の2製品はいずれもバッテリーが数週間持つので、毎日充電する必要があるスマホなどと比べるとリスクも低いが、充電にあたっては十分気をつけたい。

 ちなみに、これらUSBポートに水滴が浸入するのが気になるのであれば、ポートの形状に合わせた保護カバーを差し込んでおく方法もある。防水のための製品ではないので過信は禁物だが、シャワーが勢いよくかかるようなケースでは、浸入防止には有用だ。

 特に今回紹介した2製品は、防水スマホのようにUSBポートが軟質のカバーで覆われず、露出したままになるタイプなので、使用後はティッシュなどで水を吸い出す作業が必須になる。こうしたカバーがあれば、それらの手間から解放される(くどいようだが過信は禁物だ)。数百円程度で売られているので、気になる人は調達しておくとよいだろう。

市販のコネクタ用キャップ。数百円で入手できる。写真はmicroUSB用キャップが6個セットになった、テクノベインズ「USBMCBLCK-I0-6」
USBポートに差し込んでおけば水滴の浸入防止に役立つ