山口真弘のおすすめ読書タブレット比較

物理「ページめくり」ボタンがあると読書はより快適に! 搭載デバイス5製品を比較

「Kindle Oasis」「Kobo Libra 2」「BOOX Leaf」「Kobo Sage」「BOOX Nova Air」

ページめくりボタンがあればより快適な読書が可能になる。上段左から、「Kindle Oasis」、「Kobo Libra 2」、「BOOX Leaf」。下段左から「Kobo Sage」、「BOOX Nova Air」

 電子書籍用に開発されたデバイスの中には、専用のページめくりボタンを搭載したモデルが存在する。物理ボタンは押し込んだ感触があることから、タップやスワイプなどと比べてもより確実にページめくりの操作が行えるほか、冬場に屋外で手袋をしている場合や、水に濡れていてタップやスワイプが反応しない場合でも、問題なくページをめくれるメリットがある。

 ページめくりボタンを搭載する電子書籍向けのデバイスは、E Ink電子ペーパーを搭載した端末に多く見られるのも、ひとつの特徴と言える。今回は、2022年2月時点で入手可能な、ページめくりボタンを搭載した各社の電子書籍端末5製品について、それぞれの特徴を見ていく。

Kindleの場合

Amazonの電子書籍リーダー「Kindle」シリーズでページめくりボタンを搭載しているのは、「Kindle Oasis」1製品だ。シリーズの中で最上位機種に相当し、操作のレスポンスは他を圧倒するレベルで速い。画面サイズは7型、解像度は300ppi、対応する電子書籍ストアはKindleストアのみとなっている。

「Kindle Oasis」。8GBと32GBモデルをラインナップ。ほかにはない無料4G対応モデルもある

楽天Koboの場合

 楽天Koboの電子書籍リーダー「Kobo」シリーズは、8型の「Kobo Sage」と7型の「Kobo Libra 2」の2機種がページめくりボタンを搭載している。上位の「Kobo Sage」は、電子書籍用途のほか、別売のスタイラスを使って手書きでノートを取ることも可能だ。いずれも対応する電子書籍ストアは楽天Kobo電子書籍ストアのみ。解像度はともに300ppi。

「Kobo Sage」。スタイラスを使った手書き機能にも対応する
「Kobo Libra 2」。前述の「Kobo Sage」と違ってホワイト・ブラックの2色展開
左が「Kobo Sage」、右が「Kobo Libra 2」。8型と7型ということで、サイズはひとまわり異なる

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Kobo Sage
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BOOXの場合

 E Inkを搭載したAndroidタブレット「BOOX Nova Air」「BOOX Leaf」は、ページめくりボタン付保護カバーがオプションで用意されている。音量ボタンを使ってページをめくれる電子書籍アプリのほとんどに対応するので、ライブラリが複数の電子書籍ストアに分散している人には最適だ。

 画面サイズは7.8型と6.8型。7.8型の「BOOX Nova Air」は、同梱のスタイラスによる手書きノート機能も搭載している。いずれもGoogle Playストアが利用できるため、電子書籍アプリをはじめ任意のAndroidアプリをダウンロードして利用できるのが大きな特徴だ。解像度はともに300ppi。

「BOOX Nova Air」。ページめくりボタンを含むカバーは分離式。スタイラスによる手書きにも対応する
「BOOX Leaf」。こちらもページめくりボタンを含むカバーは分離式で、カバーなしでは約170gという軽さが特徴
左が「BOOX Nova Air」、右が「BOOX Leaf」。7.8型と7型ということで、サイズはひとまわり異なる
ページめくりボタン付保護カバーを閉じた状態。デザインはまったく異なる


それぞれどんな違いがある?

 ページめくりボタンを備えたデバイスがほしい時、本稿執筆時点で候補となるのはここまで挙げた5製品となるが、それぞれどんな違いがあるのだろうか。また、どのような基準で製品を選ぶべきだろうか。

 製品選びでまずポイントとなるのは、何と言っても、どの電子書籍ストアに対応するかだろう。これら5製品のうち、KindleとKoboは両社の自社ストアの専用端末、BOOXはさまざまな電子書籍ストアで使える汎用端末にあたる。

 ストアを問わず使えるぶん汎用端末が有利──と言いたいところだが、カラー表示を前提に開発されたAndroidアプリをモノクロで動かしているBOOXと異なり、KindleやKoboなどの専用端末は自社ストアに表示を最適化しているぶん、ページめくりなどのレスポンスは高速だ。なかでも「Kindle Oasis」は、今回紹介する中では突出して速い。

 ただしBOOXも、画質を落としてパフォーマンスを優先させたり、その逆だったりと、自分好みの設定が可能なので、手間をいとわなければ快適に使える。基本的には、Kindleないしは楽天Koboだけを使う場合はそれぞれの専用端末、2つ以上のストアの併用や、専用端末を持たないストアを使いたい場合はBOOXという位置づけになるだろう。

BOOXはAndroidタブレットゆえ、Android向けに開発されたさまざまな電子書籍ストアアプリが利用できる。ただしカラー表示向けのアプリをモノクロで表示しているため、濃淡の調整などの最適化は必要
自社ストア用にチューニング済のKindleやKoboなどの専用端末と異なり、BOOXは表示および挙動の細かな設定は自身で行う必要がある。これにより快適に利用できるようになる

 解像度はいずれの製品も300ppiで、表示のクオリティはほぼ横並びといっていい。E Inkパネルの世代が若干異なることから、厳密にはコントラストなどの違いはあるが、E Inkの見え方はフロントライトの光量ひとつでガラリと変わるため、そう違って見えないのが実情だ。ちなみに暖色寒色対応のフロントライトは、すべての製品が搭載している。

どの製品もフロントライトは暖色(右手前)寒色(奥)の両方に対応する。実際には両者をパーセンテージ指定で調整し、ほんのり暖色が混じったような状態で使う

 これ以外で大きな違いがあるとすれば、防水機能の有無だろう。浴室内、また水滴が飛びやすいキッチンなどで使う場合は、防水に対応しているのは大きな利点だ。「Kindle Oasis」と楽天Koboの2製品はいずれも、IPX8規格に準拠した防水機能を備えている。

 価格面では、同じ32GBで比較すると、「Kindle Oasis」が34,980円(広告なしモデル)、「Kobo Sage」が30,800円、「Kobo Libra 2」が23,980円、「BOOX Nova Air」が43,800円、「BOOX Leaf」が32,800円となる。ただし後者2つはページめくりボタン付保護カバーが別売ということで、それぞれ5,980円と5,800円のプラスになる。

 重量は、「Kindle Oasis」が188g、「Kobo Sage」が240.8g、「Kobo Libra 2」が215g、「BOOX Nova Air」(カバーあり)が424g、「BOOX Leaf」(カバーあり)が289g。BOOXの両製品はカバーが分離できるので、ページめくりボタンを必要としない用途ではさらなる軽量化も可能だが、ボタンありという条件ならば「Kindle Oasis」の軽さが頭一つ抜けている。

 バッテリー寿命はどの製品も週単位で持つが、KindleやKoboに比べると、BOOXはややバッテリー消費が速い印象だ。とはいえこれも、スリープ設定の内容いかんで大きく違ってくる。どれも週1程度は充電が必要と考えておけば問題ないだろう。あまり製品選びで違いになるポイントではない。

Androidデバイスでは音量ボタンによるページめくりが可能

 以上のように、細かい機能に差異はあるものの、いずれのモデルもE Ink電子ペーパー搭載の電子書籍端末としてはシリーズの上位機種で、機能も「全部盛り」であるため、仕様はよく似ている。ボタンの形状および配置もそっくりで、本体の上下を反転させればボタンを反対側に配置することもできるので、どれを選んでも快適に使えるだろう。

 ちなみにAndroid向けの電子書籍アプリの多くでは、音量ボタンを使ってのページめくりに対応している。Koboなど一部のストアが非対応なのでオールマイティというわけではないが、これらAndroidのスマホやタブレットが手元にあるのならば、物理ボタンによるページめくりの操作感を、専用端末を使う前に試しておいてはいかがだろうか。

Android向けの電子書籍アプリの多くは、音量ボタンを使ってのページめくりに対応している。これはKindleの設定画面