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OpenAI、「ChatGPT」の“記憶”システムを刷新。時間の概念をもつ「Dreaming V3」を展開

計算コストは約1/5、「Free」「Go」プランへの展開も

「ChatGPT」が新しい記憶システムを採用

 米OpenAIは6月4日(現地時間)、「ChatGPT」に新しい記憶システムを導入したと発表した。まずは米国の「Plus」「Pro」ユーザーから順次ロールアウトされ、今後数週間で他の国や、「Free」「Go」プランへも展開される予定だ。

 「ChatGPT」には、ユーザーとのチャット履歴を記憶する「メモリ」(Memory)という機能が備わっている。この機能はユーザーの好みや進行中のプロジェクト、暗黙の決まりごとといった過去のコンテキストを記憶し、次の会話に引き継ぐことで、その人にあった(パーソナライズされた)応答を返す。わざわざ一から説明しなくても「ChatGPT」が意図を汲み、ユーザーの状況を把握した上で、賢く答えてくれるわけだ。

 このメモリ機能はこれまでも何回かアップデートされており、そのたびに着実な進歩を遂げてきた。

  • 2024年:保存型メモリ(saved memories)。明示的に依頼することで、メモリが記録される仕組み
  • 2025年:Dreaming V0。過去のチャット履歴をバックグラウンドで自動キュレーション(選別)する方式(明示的な依頼は不要)
  • 2026年:Dreaming V3。今回導入された新システム

 とくに、バックグラウンドでこれまでの会話を分析し、メモリ状態を自動で合成する「Dreaming」は画期的で、メモリの保存を明示的に依頼しなくても、「ChatGPT」が自動で大事なことを記憶し、どうでもいいことは忘れてくれる。寝ている間に記憶を整理するようなシステムだ。

 しかし、従来の「Dreaming」は時間の概念がなく、記憶が古くなったり、不正確になったり、スケールしないという課題があった。たとえばユーザーが旅行の話をしても、「ChatGPT」にはもう行ったのか、すでに帰ってきたのかがわからない。そのため、会話がかみ合わなかったり、覚えておいてほしいのに忘れたように見えることがあった。

 第三世代の「Dreaming」はこの課題に取り組んだ成果で、よりよいメモリを合成するようになっているとのこと。

 たとえば以前シンガポールに旅行したことがあるユーザーが「今夜のテイクアウトを教えて」と尋ねた場合、従来のシステムは過去の「シンガポール旅行」というメモリに引きずられ、ユーザーがすでに帰宅していてもシンガポール周辺の店を案内してしまうことがあった。「Dreaming V3」では、時間の経過に応じてメモリを「以前にシンガポールへ行った」(今はそうではない、文脈から判断すると家にいるようだ)といったように自動的に更新するため、現在の所在地に合った提案ができる。

メモリシステムの改善で、よりよいメモリを合成するように

 また、「ChatGPT」が覚えている内容を「メモリ要約」(memory summary)として確認・編集できるユーザーインターフェイスも提供されるとのこと。ユーザー側で「ChatGPT」の記憶を把握できるようになるため透明性が向上するほか、問題があれば修正するといったコントロールも可能となる。気に入らなければ、従来のメモリシステムに戻すこともできる。

「ChatGPT」が覚えている内容を確認・編集できるユーザーインターフェイスも提供

 なお、「Dreaming」自体はこれまで有料の「Plus」「Pro」プランで提供されてきたが、最近の改善により、必要な計算コストが約1/5に削減された。そのため、今後は「Free」プランにも開放される予定。「Plus」「Pro」プランでは記憶容量が従来の2倍に引き上げられる。