#モリトーク

第120話

スタートメニューが象徴するユーザー志向

「Winamp」

 本来は昨年末に取り上げるべきだったものの、日程の関係でタイミングを逃したため、年明け一発目のネタとして2014年を総括したい。印象に残っている昨年の出来事は『やめるのをやめる』という方針転換だ。

 たとえば、「Winamp」の存続劇。2013年11月に同ソフトの開発・公開終了が発表されると、それを惜しむ声が相次いだ。すると、細かなアップデートを繰り返したあとに、所属企業を移籍した上で継続することが2014年1月に決まる。

 廃止された機能の復活に焦点を当てれば、Windowsのスタートメニューが真っ先に思う浮かぶ。Windows 8でスタートメニューが廃止されたとき、実際にそれが移行の妨げになったかどうかはわからないが、評判上ではそれが受け入れられず、次期バージョンのWindows 10で復活することが期待されている。

 また、ブックマーク機能がないことを特徴のひとつとして売り出そうとした「Opera」も、最終的にはそれを復活させた。

「Kinza」

 これらの『やめるのをやめました』に共通することは、ユーザーの声だろう。TwitterなどのSNSが普及したことも関係しているのか、以前よりもユーザーの意見を取り入れるような傾向が垣間見える。

 実際、2014年の窓の杜大賞で銅賞に輝いた「Kinza」はユーザー志向の開発スタイルを貫いており、それが多くのユーザーに受け入れられている。2015年もその傾向が続くのか、オンラインソフト界の動向をそういう視点でも追いかけてみてはどうだろう。

(中井 浩晶)