残業を減らす!Officeテクニック

ExcelのWhat-If分析を使って引っ越しで増える自由時間の時間あたり価格をシミュレート

条件を変えながら結果を比べられる「What-If分析」

 条件を変えた時の計算結果を、まとめて比較したい場合、どの機能を使えばいいでしょうか。例えば、商品の値引率と販売数を変えた時に、利益がどう変わるかを一覧で確認したい状況です。Copilotに質問してみると、「What-If分析」の「データテーブル」が適しているとの回答でした。

条件を変えながら計算結果をまとめたい場合の機能について、Copilotに質問すると、「What-If分析」の「データテーブル」が適していると回答された

 続けて、Copilotに使い方を教えてもらうのも手です。ただし、What-If分析には「シナリオ」「ゴールシーク」「データテーブル」の3種類があり、利用するシーンが異なります。特にデータテーブルは使い方を想像しにくい機能です。

What-If分析には、「シナリオ」「ゴールシーク」「データテーブル」の3種類がある。シナリオは複数の条件を組み合わせたパターンを保存して切り替える機能、ゴールシークは目標とする結果から必要な値を逆算する機能、データテーブルは1つ、または2つの値を変えながら、その結果を一覧で比較する機能

 そこで今回は、データテーブルの仕組みを理解しやすいように、「家賃」と「通勤時間」という身近な例で試してみます。

 家賃と通勤時間のバランスは人によって異なります。複数の組み合わせを同じ尺度、通勤時間を月1時間短縮するために増える家賃で一覧にして、自分にとっての落としどころを探してみましょう。

複数の条件をまとめて確認できる「データテーブル」

 職場が都市部にあると想定すると、職場に近いエリアに住むことで通勤時間を短くできる場合があります。しかし、都市部の家賃は郊外よりも高くなります。例えば、家賃を3万円上げることで通勤時間を片道40分、往復80分短縮できるとします。月20日出勤するなら、1カ月で約27時間の自由時間が増えます。

家賃5通り、通勤時間5通りの組み合わせは25通りになる。1つのセルごとに損得の計算をするのは非常に手間がかかる。「データテーブル」でまとめて計算してみよう

 家賃を5通り、通勤時間を5通り用意すると、組み合わせは25通りになります。もちろん、セルの値を1つずつ計算することもできますが、非常に手間がかかります。このように、まとめて計算結果を確認したいシーンで役立つのが「データテーブル」です。

家賃と通勤時間をシミュレーションする

 現在の住まいの家賃が10万円、片道通勤時間が60分としましょう。1カ月に20日間出勤します。これらの値を基準として、自由時間1時間あたりの追加家賃(円/時間)を、家賃11~15万円、片道通勤時間10~50分の組み合わせで比較してみます。

 データテーブルを利用するには、まず試算用の計算式を作り、比較したい値を行方向と列方向に並べておきます。さらに、行見出しと列見出しが交差する左上のセルには、一覧にしたい計算結果を参照する数式を入力します。今回なら、自由時間1時間あたりの追加家賃(円/時間)の結果セルを参照します。

 ここでは、試算する家賃(円)に「130,000」、試算する片道通勤時間(分)に「20」と入力しました。追加の家賃(円)、1カ月に増える自由時間(時間)、自由時間1時間あたりの追加家賃(円/時間)は自動的に計算できるように数式を入力してあります。

テーブルの列見出しには片道通勤時間の50~10分、行見出しには家賃の11~15万円を並べてある。ここでは、試算する家賃(円)に「130,000」、試算する片道通勤時間(分)に「20」と入力した。追加の家賃(円)は「=I5-I2」の結果として「30,000」、1カ月に増える自由時間(時間)は「=(I3-I6)*2*I4/60」の結果として「26.7」、自由時間1時間あたりの追加家賃(円/時間)は「=IF(I8<=0,"",I7/I8)」の結果として「1,125」が表示されている。行見出しと列見出しが交差する左上のセル(A2)には「=I9」と入力してある

 ここまで準備できれば、データテーブルの設定自体は単純です。ここで、求めたいのは、家賃11~15万円、通勤時間10~50分の組み合わせなので、テーブル全体を選択した状態で[データテーブル]ダイアログボックスを呼び出します。

 横方向に並べた通勤時間を代入するセルとして、[行の代入セル]にセルI6を指定します。縦方向に並べた家賃は、[列の代入セル]にセルI5を指定します。Excelは、これらのセルへ50、40……と110,000、120,000……のように、順番に値を入れたものとして計算します。

 例えば、11万・50分の交点なら、Excelは内部的に「試算する家賃=11万円」「試算する片道通勤時間=50分」として数式を再計算し、その結果である「1,500円/時間」を交点のセルに表示します。同じ計算がすべての組み合わせで繰り返され、交点のセルに結果が表示されます。

テーブル(A2~F7)を選択した状態で、[データ]タブにある[What-If分析]-[データテーブル]をクリックする
[行の代入セル]には、試算する片道通勤時間(分)のセルI6、[列の代入セル]には、試算する家賃(円)のセルI5を指定する
それぞれの家賃と通勤時間について、自由時間1時間あたりの追加家賃(円/時間)がまとめて計算された

 今回の計算は単純なので、家賃が高いほど負担は増え、通勤時間が短いほど自由時間は増えるという傾向は、[データテーブル]を利用する前から想像できます。

 しかし、自由時間1時間あたりの追加家賃(円/時間)という尺度で一覧にすると、「11万・50分」「13万・30分」「15万・10分」が、同じ1,500円/時間になることが明確になります。また、「13万円・30分」では1,500円/時間ですが、家賃が1万円高い「14万円・30分」では2,000円/時間になります。

 What-If分析のデータテーブルは、意外な答えを導き出す機能ではありません。条件を1つずつ入れ替えて試算する作業をまとめて実行し、結果を一覧で比較できることがメリットです。

 実務では、固定費、手数料、金利、原価率などを含む試算の数式を使えば、複雑な条件を踏まえた一覧をまとめて得られます。

 条件を1つずつ書き換えて結果を確認している作業があれば、What-If分析のデータテーブルでまとめて比較できないか考えてみてください。