石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』

その『-32%』は真実か? Amazonのセール価格が本当に安いのか一目でわかる「Keepa」

「Keepa」を導入したAmazonのWebサイト

Amazonのセール価格は正しいのか?

 Amazonでは10月10日まで、プライム感謝祭と名付けられたセールが開催されている。PCゲーマーがAmazonでゲームを買うことはほぼない時代だが、PC本体や周辺機器、さらには衣食住に関わるほとんどのものが揃うので、この際に買いだめする方も多いと思う。

 ただ、Amazonはセールだから安いとは限らない。価格の変動が大きい商品も多く、セール価格とされていても実はあまり安くなっていなかったり、直前に大幅値上げをしてからのセール価格付けだったりというものもある。

 おそらく年末に向けてもう1度くらいは大型セールが待っているだろうし、果たして今買うべきかどうなのか、そもそもこれは安いのか……。こんな悩みを軽減するために、「Keepa」を導入しておくといい。

「Keepa」があれば過去の価格が一目瞭然

 「Keepa」は、Amazonの商品の過去の価格を参照できる、「Google Chrome」の拡張機能。Chrome ウェブストアから無料でダウンロードできる。

 Chrome ウェブストアにアクセスするには、Google Chrome」のウインドウ右上にある[⁝]ボタンをクリックし、[拡張機能]-[Chrome ウェブストアにアクセス]と選ぶ。続いてChrome ウェブストアで『Keepa』と検索し、「Keepa - Amazon Price Tracker」のページで[Chrome に追加]をクリック。これで準備完了だ。

「Google Chrome」からChrome ウェブストアにアクセス
上部にある検索ボックスで『Keepa』を検索
「Keepa」をChromeに追加する。この画像はインストール済みの状態なので、[Chrome に追加]の部分が[Chrome から削除]に変わっている

 まずは導入するとどうなるか見ていただこう。「Google Chrome」でAmazonのWebサイトを開き、適当な商品のページを開く。今回は例として、セール価格になっている「エルゴトロン LX モニターアーム」を見てみよう。

モニターアーム定番商品「エルゴトロン LX モニターアーム」のページ

 現在の価格は、プライム感謝祭セールで32%OFFの15,980円とある。ただ基準となるのが、Amazonが『参考価格』としているもので、商品に明確な定価がない場合、何を参考としているのかはっきりしないことがある。本製品は参考価格が23,601円となっており、そこから32%OFFという表示だ。

 「Keepa」の導入後、この商品ページを下にスクロールすると、このようなグラフが表示される。

「Keepa」のグラフが表示されるようになる

 グラフの縦軸は価格、横軸は日時となっている。つまり、この製品の価格が、いつ何円だったかをグラフィカルに示している。

 グラフの上にマウスカーソルを動かすと、その日時に価格がいくらだったかを確認できる。グラフのオレンジ色で表示されているのがAmazon本体による販売価格。青色の表示はAmazon以外の販売者による価格となる。

過去の販売価格をマウス操作で簡単に確認できる

 それによると、セール開始直前の10月3日の価格は、Amazonでは19,800円だったことがわかる。

セール期間の直前は19,800円

 そしてセールが始まった10月4日には、Amazonの価格が23,600円に値上がりすると同時に、Amazonプライム会員限定価格として15,980円が付けられている。直前の価格と比べれば、確かに4,000円ほど下がっているものの、参考価格の23,601円はいささか苦しい表示だ。

プライム会員向けのセール価格が付けられると同時に、通常価格が上がっている

 過去の価格を確認すると、8月末から17,000円で販売されていた時期があることがわかる。

8月末にも安い時期があったようだ

 さらに過去の価格を見たいなら、右下にある[期間]で調節できる。初期状態では直近3カ月となっているので、[1年間]を選んでみよう。最も安いのは昨年11月末のブラックフライデーセールで、15,980円だ。ということは、今回のセール価格は、直近1年間では最安値のようだとわかる。

 つまり、「エルゴトロン LX モニターアーム」が欲しかったら、今は買い時と言っていいだろう。ただし先に言ったとおり、年内には次のセールもありそうだし、そこでもっと安くならないという保証はない。あとは各々の判断で決めていただこう。

昨年のブラックフライデーセールの時と同価格で、直近1年間では最安の模様

 「Keepa」には価格履歴のほかにも、その商品の価格が変更されたらアラートを送信するトラッキング機能なども用意されている。この辺りは好みで使ってみるといいと思うが、セール時の価格の見極めに使うなら価格履歴グラフだけで満足できるだろう。

トラッキング機能もある

 注意点としては、「Keepa」による価格のチェックはリアルタイムに反映されているわけではなく、ある程度は間隔が開く。例えば入荷後すぐ在庫切れになるような人気商品では、グラフに価格情報が反映されないこともある。いま在庫切れの商品が最近いつ入荷されていたのかを調べるのにも使えるが、結構抜けることがあると思っておく方がいい。

 また「Keepa」のスマートフォン版アプリも用意されているのだが、Chrome ウェブストアはPC専用のサービスなので同じものは使えず、操作が煩雑になる。可能ならPCで利用することをおすすめする。

著者プロフィール:石田賀津男(いしだ かつお)

1977年生まれ、滋賀県出身

ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。

・著者Webサイト:https://ougi.net/

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