使ってわかるCopilot+ PC
第75回
Arm版WindowsがAVX/AVX2命令に対応。AVX2必須の「Cinebench」を動かしてみた
2025年12月26日 14:15
AVX2を使うプログラムをArm版Windowsで動かす
今回はSnapdragon Xシリーズを搭載したPCの互換性の話をしたい。12月1日に公開されたWindows 11のプレビューパッチ「KB5070311」にて、Arm版Windowsに搭載されたx86/x64エミュレータ「Prism」がAVX/AVX2を含む拡張命令セットに対応した。
AVX/AVX2命令は、クリエイティブ系のソフトやゲームソフト、機械学習などで使われている。これまではAVX/AVX2命令を使うx86/x64向けプログラムはArm版Windowsで動作しなかったが、今後は動かせるようになる。さらに互換性が向上する、大きなアップデートとなる。
筆者が記憶しているAVX/AVX2命令を使うソフトとしては、ベンチマークソフト「Cinebench 2024」がある。今回はこちらでテストしてみる。
「Cinebench 2024」は無事動作するのか?
「Cinebench 2024」は、CPUのマルチスレッドとシングルスレッド、およびGPUの性能を調べるベンチマークソフト。古くからある「Cinebench」シリーズの最新版である。特にCPU性能を調べるソフトとしては知名度が高く、CPUのオーバークロック時に長時間の負荷をかけ続けても安定動作するかどうか調べるストレステストにもよく使われる。
以前はx64版の「Cinebench 2024」をSnapdragon Xシリーズを搭載したPCで実行すると、『AVX2をサポートするCPUが必要』というメッセージが表示され、起動できなかった。しかし「Prism」がAVX2命令をサポートした今は、問題なく起動する。
表示を見ると、プロセッサはSnapdragon Xではなく『Virtual CPU』となっており、「Prism」経由で実行されているのがわかる。
ベンチマークテストを実行してみると、[Run All Tests]で動かすと実行されずに止まってしまう。こうなると何もできないので、PCを再起動した後、CPUテストを個別に選ぶとベンチマークが動いた。最初にGPUテストを試そうとしたところで問題が出るのかもしれない。やや不安定な部分もあるが、一応スコアも確認できた。
| x64版 | Arm版 | |
| マルチコア | 458pts | 789pts |
| シングルコア | 64pts | 106pts |
結果を見ると、Arm版「Cinebench 2024」で実行した時と比べて、スコアは6割程度になっている。「Prism」を経由したことで、見た目上のパフォーマンスが落ちたということだ。動作の不安定さから正確な結果が出ているかどうかも保証できないが、参考として掲載しておく。
あくまで「Cinebench 2024」を使った例であり、他のソフトでもこれくらいのパフォーマンス差が出るとは限らない。ただ今回の結果を信じて言うなら、Arm版Windowsでx64のプログラムをエミュレートしてこの差であれば、やはり「Prism」はとても優秀だ。
説明が前後するが、「Cinebench 2024」にはArm版が存在する。今回はAVX/AVX2命令に対応した「Prism」のテストとして、あえてx64版を実行したが、同じソフトにArm版があるならそちらを使えばよい。
現状ではまだArm版を用意しているソフトは少なく、大半は「Prism」によるエミュレート動作に頼ることになる。AVX/AVX2命令の対応で、動作するソフトが一段と増えることは大いに歓迎したい。手元にあるWindowsがx64なのかArmなのか、意識しないで済むくらいになるのが、誰にとっても幸せであるはずだ。
1977年生まれ、滋賀県出身
ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。
・著者Webサイト:https://ougi.net/




















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