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Mozilla、「Firefox」のテーマ機能に関する今後の計画を明らかに

“完全テーマ”を廃止し、“軽量テーマ”の機能を拡充

公式ブログ“Mozilla Add-ons Blog”

 Mozillaは24日、公式ブログ“Mozilla Add-ons Blog”で、「Firefox」のテーマ機能に関する今後の計画を明らかにした。

 現在、「Firefox」では“軽量テーマ(LWT:旧名、Personas)”と“完全テーマ”という2つのテーマがサポートされており、いずれも“addons.mozilla.org(AMO)”から入手できる。

 “軽量テーマ”は動作の負荷が少なく、若干のコードと画像を用意するだけで簡単に作成できる。また、互換性が高く、古いテーマでも現行の「Firefox」で問題なく利用できるのも強みといえる。現在は“完全テーマ”よりも“軽量テーマ”が主流で、“AMO”に掲載されているだけでも40万個以上にも上るという。ただ、ブラウザー画面の背景程度しか変えられない柔軟性の低さは課題といえる。

 一方、“完全テーマ”は古くからある「Firefox」のテーマ機能だ。「Firefox」の外観を完全に置き換えるため柔軟性が非常に高く、すみずみまで思い通りにカスタマイズすることができる。

 しかし、ユーザーインターフェイスに必要なすべてのリソースを開発者が提供しなければならない上、「Firefox」の複雑で刻々と変化する内部構造を細部まで理解しておく必要があり、保守性と互換性に難があるのが欠点といえる。内部構造に関するドキュメントもソースコード以上のものはほとんどなく、開発者がテーマの互換性を保ち、保守を継続するのは非常に困難だ。

 実際、“AMO”に掲載されている“完全テーマ”は500個あるが、そのうち現行の「Firefox」と互換性があるのは60個に過ぎないという。また、“完全テーマ”を利用するユーザーは全体の0.089%だが、これは“軽量テーマ”を利用するユーザーの4%未満でしかない。

 そこでMozillaは“完全テーマ”を廃止し、“軽量テーマ”の機能を拡充する。“軽量テーマ”のコアとなっているマニフェスト(定義ファイル)の仕様を拡張し、“完全テーマ”で人気の機能が使えるようにする一方で、この仕様を文書化し、メンテナンスしていく方針だ。これにより、作成の容易さを保ちつつ、保守性と互換性を保つことができるだろう。

 また、より高度な機能を実現するために、「Firefox」のスタイルを“軽量テーマ”から直接操作する機能が実験的に提供される。また、テーマ用の“WebExtensions”のAPIも追加され、たとえば「f.lux」などのように時刻や天候に応じて外観を変えるテーマなども実現できるようになるという。