いまさら聞けないExcelの使い方講座

【Excel】時間の計算がうまくできない!給与計算で必須となるエクセルのテクニック

 Excel(エクセル)は、仕事や普段の生活で使う機会の多い、最も身近なアプリケーションのひとつです。しかし、「イマイチよくわからないまま使っている」「実は少し苦手……」という人も多いのではないでしょうか? この連載では、いまさら人に聞けないけど、知っていれば必ず役に立つ、Excelを使いこなすためのノウハウを紹介します。

時刻データや日付データを正しく計算する

 Excelを使った業務の中で、時刻データや日付データの計算を行った経験のある人は多いのではないでしょうか。例えば、出社時刻と退社時刻をもとに勤務時間を計算したり、残業時間を計算したりすることがあると思います。「9:00」や「0:30」のように表示される時刻データを計算するのが面倒に感じたことはありませんか?

 今回は、出退勤表の例を使って、このような時刻データを正しく計算する方法を解説します。まず、毎日の勤務時間の合計を求めて、最後にその値を使って給与を計算するという流れで説明します。

ステップ1:毎日の勤務時間を計算する

 毎日の出社時刻と退社時刻を記録した出退勤表(①)があるとします。

 毎日の勤務時間を計算して、この表のE列に入力していきましょう。勤務時間は、「退社時刻-出社時刻-休憩時間」で求められます。まずは、10月2日(月)の勤務時間を求めてみましょう。セルE3に「=C3-B3-D3」(②)と入力して[Enter]キーを押します。

 10月2日(月)の勤務時間(③)が表示されました。

 E列の他のセルにも同じように数式を入力します。セルE3をクリックした状態でマウスポインターをセルの右下に合わせると、マウスポインターの形が変わります(④)。そのままセルE7までドラッグして選択(⑤)します。

 E列のすべてのセルの値が計算されました(⑥)。

ステップ2:勤務時間の合計を計算する

 次に、勤務時間の合計を計算しましょう。セルH2(①)をクリックして、[ホーム]タブ(②)の[オートSUM](③)をクリックします。

 合計するセル範囲(E3:E7)をドラッグして選択(④)します。セルH2に自動的に数式が入力される(⑤)ので、もう一度[オートSUM](⑥)をクリックして計算結果を確定します。

 計算結果が表示されました(⑦)。しかしながら、勤務時間の合計が「12:15(12時間15分)」というのは変ですよね。

 Excelで24時間を超える時刻データを正しく表示するためには、セルの書式設定を変更する必要があります。

 [ホーム]タブ(⑧)の[フォント]にある矢印ボタン(⑨)をクリックして、[セルの書式設定]ダイアログボックスを表示します。[表示形式]タブ(⑩)の[分類]欄にある[ユーザー定義](⑪)をクリックして、[種類]欄に「[h]:mm」(⑫)と入力します。“[h]”のように大括弧で囲むと、24時間を超える時刻データを表示できるようになります。

 [OK](⑬)をクリックしてダイアログボックスを閉じます。

 今度は正しく表示できました(⑭)。1週間の勤務時間の合計は36時間15分ということが計算されました。

ステップ3:数値表示に変換して給与を計算する

 給与を計算する前に、時刻表示を数値表示に変換する必要があります。実際に給与を計算する場合、例えば、30分(00:30)は0.5時間として計算する必要があるからです。

 ここで、「シリアル値」という概念について少し説明しましょう。Excelは時刻データや日付データをシリアル値という値で表します。シリアル値は24時間(24:00)を1として扱います。例えば、12:00はシリアル値だと「0.5」、6:00は「0.25」になります。

 つまり、シリアル値で表現されている時刻データを数値に変換するには、24を掛ければよいということになります。少し複雑ですが「数値に変換するには24を掛ければよい」と覚えておいてください。

 実際に時刻表示を数値表示に変換してみます。セルH3に「=H2*24」(①)と入力して、[Enter]キーを押します。

 セルH3が選択されている状態(②)で、[ホーム]タブ(③)の[数値]にあるドロップダウンリストメニューから[標準](④)を選択します。

 「36:15」という時刻データが「36.25」という数値に変換されました(⑤)。

 最後に、時給を掛けて支給給与を求めます。セルH5に「=H3*H4」(⑥)と入力して[Enter]キーを押します。

 1週間分の支給給与が計算できました(⑦)。

もう時間の計算で迷わない!

 今回は、出退勤表を使って、時刻データを正しく計算する方法を解説しました。

 時刻データを数値データに変換するなど少し複雑ですが、一度覚えてしまえば、時刻を扱うさまざまな場面で応用できます。

 ぜひ、活用してみてくださいね。