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「Microsoft 365」(Office)と「LibreOffice」でフォントが違う問題、AIで緩和へ

フォント置換テーブルの活用と専用拡張機能の充実でカバーへ

「Microsoft 365」(Office)と「LibreOffice」でフォントが違う問題

 「LibreOffice」を使い始めてまず気になるのは、ドキュメントを開いたときの見栄えが「Microsoft 365」(Office)アプリと異なることだろう。とくに既定のフォントが異なる点は大きく影響する。11月12日付けで公式ブログ「The Document Foundation Blog」に掲載された記事で、この問題を解決する取り組みが紹介されている。

 作成したドキュメントをプラットフォーム(Windows、Mac、Linuxなど)、オフィスアプリ(Microsoft 365、LibreOffice)を問わず扱いたい場合は、「Google Fonts」で公開されているフォントを使うのがおすすめだ。こうしておけば、「Microsoft 365」ライセンスのないユーザー・環境でも、同じフォントを利用できる。

「Aptos」(後述)へのフォント置換で解決した例

 「LibreOffice」には、他のアプリで作られたドキュメントのフォントをどの「LibreOffice」フォントに割り当てるかを指定する機能(フォントテーブル)が古くから備わっているので、これを活用すれば「Google Fonts」のフォントに置き換えられる。具体的な方法は2020年のブログ記事で紹介されているが、それに触発された「FontsSubstTableExporter」「FontSubstTable」といった「LibreOffice」拡張機能を利用するのが簡単だ。

フォント置換テーブルをエクスポートする「FontsSubstTableExporter」。バックアップなどに用いる
プロプライエタリフォントを互換性のある「LibreOffice」フォントに置き換える「FontSubstTable」

 また、Microsoftは2023年に既定のフォントを「Calibri」から「Aptos」へ変更している。この「Aptos」フォントは依然としてプロプライエタリだが、ライセンスは比較的緩く、「再配布禁止」以外の制約は少ない。そのため、同社の公式サイトからダウンロードすれば、Linux環境などでもフォントの表示を統一することが可能だ。

 そこで、2026年2月公開予定の「LibreOffice 26.2」までに、「Calibri」時代のフォントを「Aptos」フォントへ置き換えられるように「FontSubstTable」拡張機能をアップデートするとのこと。DOCX、XLSX、PPTXでよく使われるフォントの置換テーブルも追加されるという。

 ちなみに、以前はこうしたフォントのリストを手動で集めるには数週間かかっていたが、現在はAIのおかげでわずか数秒で行えるようになっているとのこと。「LibreOffice」でフォント互換性問題に取り組めるようになったのも、AIによる効率化が寄与する部分が大きいようだ。