#モリトーク

第108話

IPAフォントにライバル登場

 Adobe社やGoogle社、イワタなどが先週、共同開発のオープンソースフォント「Source Han Sans(源ノ角ゴシック)」を公開した。そのダウンロード・利用はもちろん無料。日中韓の漢字を網羅するゴシック体フォントであり、7種類のウエイトに対応している。

「IPAフォント」の派生版である「スマートフォントUI」

 収録漢字が充実したオープンソースのフォントといえば、「IPAフォント」を真っ先に思い出す。「IPAフォント」はそのまま使われるほか、本コラムやレビュー記事でも取り上げているように、派生版の素材としても活用されている。

 個人作者が日本語フォントを制作するとき、漢字のデザインには膨大な作業を強いられる。そのため、必要な漢字を網羅する無料フォントはその数が限られていたが、「IPAフォント」のおかげで、多種多様な日本語フォントが次々と誕生することになった。

「Source Han Sans(源ノ角ゴシック)」

 しかし、「IPAフォント」は優等生タイプなので、デザインとしてはおもしろみに欠け、その派生版を制作することの人気も最近はピークを過ぎた印象だった。そんな中で登場した「Source Han Sans(源ノ角ゴシック)」は、派生フォント制作の再ブームを予感させる。

 「Source Han Sans(源ノ角ゴシック)」は「IPAフォント」と比べて、モダンかつポップであり、制作意欲をくすぐるはずだ。また、ライセンスの違いも大きい。「IPAフォント」の派生版はオリジナルライセンスを引き継がなければならないが、「Source Han Sans(源ノ角ゴシック)」のライセンスにはその制限がないので、活用の幅が広がるだろう。

(中井 浩晶)